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ローゼンクランツ依存症から見たナイアガラJr.とSt.


 ----- Original Message -----
 From: Y.A
 To: kaisersound@rosenkranz-jp.com
 Sent: Wednesday, December 24, 2003 4:43 PM
 Subject: St.とJr.の試聴について感想文です


 かく言う私はクランツファンである。

 PB-JRUから始まって、PB-REXU、PW-3、
 そればかりか、
 ケーブルは全て1Sシリーズで揃えてしまうと言う、徹底した血迷いよう。
 そして、
 ジャンパーケーブル、スピーカーアタッチメントまでをも揃えてしまったのだから、
 これはもう、キチガイである。

 そこに今度、
 新たに電源タップが発売されると聞いては堪らない。
 ナイアガラSt.である。
 大御所ナイアガラであれば、値段が値段なだけに、あきらめもつくものだが、
 新しく発売されるという電源タップと言うのは、
 ちょっと背伸びすれば届くという、ある意味絶妙な価格設定の代物なのである。
 〜さながら猫に小判の誘惑〜

 とりあえず、
 私は貝崎さんに連絡を取ってみる事にした。

 しかし、
 向こうも結構、強(したた)かなもの。
 私の弱点をよくご存じだ。

 「どうせなら、ナイアガラJr.も一緒に試聴されてはいかがですか?」

 グッドなアドバイスは、往々にして懐に深く突き刺さる。
 背伸びに加え、ジャンプまでをも、覚悟しろと言うのである。

 でも、
 良いのである。
 結構な事なのである。
 今まで私は、先述のクランツ製品をコツコツと取り揃えて来たのだが、
 その度に、Very Niceな幸せな時間を手にする事ができた。
 音に困れば、貝崎さんに相談すれば良いのである。

 そして、
 先日ようやく、件(くだん)の電源タップが到着した。
 もちろん、兄弟揃って、St.とJr.が梱包されている。

 早速取り出してみると、
 どうだろう、
 この重厚感、そして、このどっしり感。
 オーディオは見てくれだ、と普段言って憚(はばか)らない私にとって、
 彼らの面構えを見るだけで、ホントに惚れ惚れしてしまう。

 「ホントに良いモンはねぇ、エージングなんか関係なく、一発目で出てしまうモンなんですよ。」
 以前に貝崎さんは、こんな事を仰っておられたが、
 St.を装着してみると、
 なるほど、その事をとっくりと実感させられた。

 PW-3もクランツ製品の古株で、
 こいつも素性の良いタップには違いない。
 が、しかしである。
 こいつが生み出された頃と、現在とでは、
 職人の熟練度が違うようである。

 まず、スケールが拡がった。
 今まで気持ちよく伸びきっていると思われた音色が、
 実は、まだまだ、こぢんまりした世界だったのである。

 つまり、
 私のリファレンス、ステイシーケントの歌声に、更に華が加わったのである。

 彼女が部屋に舞い降りて、辺りを速やかに包み込む。
 鮮やかであり、たおやかであり。

 実に、この雰囲気を醸し出したくて、
 私は今まで、機器の放蕩三昧を繰り返してきたのであるが、
 たかがタップ一つで、易々と、その醍醐味を充分に味わえてしまうのである。
 そして
 職人の洗練された技術を、まざまざと体感できてしまう。

 次に、
 兄貴分のJr.に変えてみる。

 そう言えば、
 他の方々の試聴記を拝見させて頂いた際に、
 St.を強く押す方が大勢いらっしゃった。
 確かに、値段的な問題もあって、
 St.でも、クランツ魂を十二分に満喫できるだろうから、
 「私もSt.を購入する事になるんだろうなぁ?」などと考えていたのであるが、
 実際、Jr.を繋(つな)いでみて、驚いた。

 拡がりが、まるで違うのである。
 響きの伸び具合が、全く別のシロモノなのである。

 匂やかに舞い降りて、
 辺りを優しく包み込み、
 するとそこから、
 彼女が、しゃなりと頬を撫で始める。
 鮮やかに撫で、たおやかに撫で。
 その息遣いを感じる距離が、確実に近付いた。

 それにしても、
 St.も優秀なタップである。
 貝崎さんが心血を注いで、苦心惨憺、やっと拵(こしら)え上げた素晴らしいタップである。
 しかし、
 Jr.と比べてしまうには、やはり、まだ幼いようである。

 実在感、
 〜まるで本当にそこで演奏している錯覚に囚われる〜
 そいつを是非是非体感してみたいと願ってやまない私にとっては、
 どうにも、
 ジャンプを決心しなければいけなくなった。

 しかし、
 Very Niceな幸せな時間と言うものを味わえるなら、
 時には、少しの無理をする事も必要なようである。

 私は早速、貝崎さんに電話を入れた。

 <了>

 ありがとうございました。


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