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スピーカー遍歴の末の答え⇒究極のフルレンジ(Magic1)

朝早く浜松に向かって車を走らせているとプルルルと携帯が鳴った。こんな時間帯に誰だろう?。その電話の主はSP-JV[Perfect](ジョーワッツのモジュールユニットで組んだスピーカー)を10年ほど前に買って頂いたK.Sさんからでした。

『オーディオアクセサリーの136号に紹介されてるスピーカー"Magic1"を是非買いたいと思って電話しました』。『その写真を見た瞬間にこれだ!と閃いたんです』。<幾分興奮している様子。はて?、オーディオアクセサリーではこの最近スピーカーの紹介記事は無かった筈?!・・・>。「えっ、載っていましたっけ?・・・」。

『電源タップ等と一緒に出ていますでしょう?』。「はいはい!」<久しぶりに出した広告だったものだから、すっかり忘れていました>。「それよりも、とにかくご注文有難うございます」。

「音も聴かないで買うなんて、良いんですか?」。『スピーカー選びも最後にしようと思って、沢山聴きも買いもしました。この最近だけでもローサー、アルテック604、励磁型スピーカー等のヴィンテージをメインに、最新のハイエンドスピーカーにも手を出しました・・・』。

『自分でも不思議に思うんですが、何を買って聴いても最後はカイザーさんから買ったジョーダンワッツに必ず戻るんです。音楽の何たるかを感じさせてくれるスピーカーなんですね』。

『それを掃除の際に落として壊してしまい、製造中止モデルではあるし、さてどうしたものか?、と考えていた時でした』。『そこに"Magic1"の存在を知り、カイザーさんが作った物ならばと思ってすぐさま電話をしたんです』。

「そうなんですか、そこまで信用して頂けるなんて光栄の限りです。一生懸命作らせて頂きますので、こちらこそ宜しくお願いします」。

『私の場合そんなに大きな音で聴く訳ではありませんが、小音量時でも音が痩せず音楽の表現が豊かであってくれる事が一番なんです』。『カザルスの奏でる無伴奏チェロ、そしてジョニー・ハートマンやメル・トーメの渋い声を好んで聴きます』。

「それなら打ってつけです!、安心してお任せ下さい!」。

一月近く待って頂き、何とか連休前に納品する事が出来ました。いつもは『自分でやるから』と仰るので玄関先に置いて帰るだけですが、"Magic1"ほどのスピーカーともなれば、セッティング次第で音に雲泥の差が出ます。従って今回だけは私がセッティングします。

スピーカーケーブルも同時に任されていましたので、近々発売予定のRGBaシリーズの最高級モデルとなる"SP-Rosenkranz"を用意して参りました。今までウェスタンの16ゲージをお使いでしたので、先ずはそのままでカザルスを聴きましたが、『良いですねぇ』と第一印象を口にされました。

"Magic1"の素晴らしさもさることながら、それよりも私のセッティングに従って、音が見違えるように変わって行くのに驚かれたようです。『不思議ですねぇ、ジョーダンワッツと同じ音楽を感じます。そして更に性能が良くなった音には大満足です』。

スピーカーの両サイドに置いてある"Sylvan"(日東紡のルームチューニング)は、大中小それぞれ太さの違う丸棒をランダム配置した構造をしており、その効果は床振動の付帯音を軽減すると共に、無垢木の持つ音色の魅力付けに効果を発揮します。

部屋とスピーカーの関係、更にお互いが良好関係に成るよう"Sylvan"を使って”カイザーウェーブ・セッティング”を行うと、音色面でかなりの効果がありました。過去に発売されたこの手の商品で私が誉めたいと思うに至る物は一つも無かったけどこれは唯一例外であります。

『今までどれだけスピーカー三昧したか分かりませんが、何か何処かが気になり音楽として楽しめなかったのに、どうしてカイザーさんが作るとこうも安心出来る音になるのでしょう?、不思議で仕方ありません』。

『この"Rosenkranz"というスピーカーケーブルは、音に深みがあって、より芸術性を感じます』。

『それはそれは絶妙のフィーリングで、すっかり気に入りました』。

アナログプレーヤーは懐かしいCECです。プリは往年の名機マランツモデル7、パワーアンプは6L6。とにかく自然。アンプの持つ素性の良さがそんな音を醸し出すのでしょう。

虚飾な音が多いこの時代には決して無い音。

土の匂いがするとでも云いましょうか・・・。

心は落ち着き、居心地が良い・・・。

もう一人の自分に向き合えるような素直な音。

経営者ともなるとそんな時間が何よりも貴重であり必要です。

手漉き和紙のユニット"Mgic1"は、きっとK.Sさんにとって終のスピーカーとなることでしょう。

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