トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅>ゴールドムンド・エピローグ1+2を調律する

ゴールドムンド・エピローグ1+2を調律する

Epilogue 1+2を調律出来る喜び

スイスのゴールドムンドは欧州のマークレビンソンとも言うべきステイタスを有するハイエンドブランド。数あるハイエンドブランドのなかでもいち早く振動の問題に取り組んでおり、「メカニカルグラウンド理論」は同社の代名詞でもあります。

そんな同社に対し一目置いてきた私は、T.T氏からセカンドシステムであるEpilogue 1+2のセッティングを依頼された時、躊躇なく引き受けたのです。

『買って10年、只の一度もこの子は良い音で鳴ってくれた事がない!』

『何度か手放そうと思った!』と打ち明けられました。

だが、『いつか、日の目を見る時があるのでは!?』

との思いもあって、今もこうしてそばに置いて居るのだそうです。

彼は、「鳴くまで待とうホトトギス」の家康タイプなのでしょう。エピローグをこの子と呼ぶ優しさや、感性の素晴らしさ、勘の良さ。それは彼の所有する車からも読み取れます。

そう、彼はマニア垂涎のデイムラー・ダブルシックス5300ccV型12気筒を20年も乗り続けているのです。メルセデスでもBMWでもなく、この車を選んだ事に彼独自の感性を感じるのです。

しかし、夏場のオーバーヒートが引き起こす修理代だけで車両価格を超えてしまったいう。それでも手放せない理由と秘密は12気筒ダブルシックスのシルキーな乗り味にあるのだそうです。機会があれば乗せて貰いたい。

そんな本物の味を知るT.T氏を唸らせるだけの音を、このエピローグから引せなければ私の存在価値はありません。

私、貝崎静雄は「オーディオ感動請負人」なのです!

今日を機に、ハッキリ名乗りましょう。

押忍! エピローグと真っ向勝負を挑みます。


エピローグはゴールドムンドがゴールドムンドたる存在

エピローグはゴールドムンドが威信を掛けて開発したスピーカーですから、間違いなく素晴らしい音で鳴る筈です。そう訴え掛けているのが唯一無二の姿から私には見えるのです。エンクロージャーがアルミ、真鍮、スティールから出来ていて指の甲で叩くとコツコツというリジッドな音がします。

太いスパイク棒で振動を大地に素早く落とすという、今までに無かった考え方のエンクロージャーです。当時ローゼンクランツでは大型インシュレーターを開発し、ダイレクトアース・セッティングという理論を展開している時だったので、メカニカルグラウンド理論によるスピーカーである、このエピローグには私も人一倍関心を抱いていたのです。

ストイックなまでに性能を追い求める、この手のハイテクスピーカーは私が大の得意とするところです。インシュレーターの設計で振動の習性を知り抜いているのと、ユニットのネジのトルクコントロールによって、各ユニットの振動の折り合いを紡ぎ出す独自のノウハウを持っているからです。

有難い事に低音部に対して中高音部のエンクロージャーが前後にスライド可能な構造になっているので、メカニカルフェイズ・コントロールが完璧に取れます。私のようにあらゆる手法で合わせ込む技を持っている者にとっては、これほど有難い機能はありません。

その逆にハンドリングが拙いと、寸分の狂いも許さないF-1カーなみの構造が牙を剥き襲い掛かって来ます。こんな攻めに徹したスピーカーを完璧に鳴らし切れる技量の持ち主は皆無だと思います。


車とオーディオほど人間に近い物はない

人間が作った道具の中でも車とオーディオほど人間に近い関係の物はありません。スピーカーに始まった「加速度組み立て」という技術が車の足回りにまで応用が広がり、1000キロのロングツーリングも疲れ知らずで快適に走破出来るコンディションに仕上げられるのです。

ハブとホイールを取り付けるボルトの締め具合は、エンクロージャーにSPユニットを取り付けるのと同じ理屈です。「回転力」と「振幅力」の違いこそあれ、エネルギーをどう伝えるかは車もスピーカーも全く同じなのです。

カイザーサウンドでは、常にこの両者を摺り合わせ検証し続ける事によって、顧客が言葉で伝え切れないニュアンスまでも汲み取るセンサー能力を高め、エモーショナルな領域まで紡ぎ出す感性と技術を磨いております。

今回、私はF-1マシンを相手にするような心構えでこのエピローグに相対しました。このマシンのメカニックでありドライバーとして音速の世界にアクセルを踏み込んだのです。


エピローグ 1+2を加速度組み立て

低音に力が無いとの理由で、アバンギャルド・トリオの余ったウーハー部を足す形で普段は聴いているとの事。その状態での音を聴かせて頂いたところ、低音部に関しては私の耳にはどんな楽器が鳴っているのか識別困難な状態でした。やはりこれは邪道です。

エンクロージャーの振動を瞬時放出してやりさえすれば、余りあるほどの重低音エネルギーが出る筈です。一目見た時から私の脳内にはその音が聞こえておりました。さて、トルクレンチ一つでそれを実現してみましょう。

一気にエネルギーが解き放たれるようになりました。ユニットの振動とエンクロージャーの振動がリンケージし始めたからです。T.Tさんは驚いています。しかし、喜んでばかりは居られません。金属エンクロージャー故に一発で振動が落ち着く事はありません。だから、本件に関しては今後3回までは加速度組み立ての修正をアフターサービスとしてお引き受けする約束をしました。

『加速度組み立てのお陰で一気に良くなった!』と、

T.Tさんには喜んで貰えました。


オーディオ感動請負人

ポテンシャルの高いスピーカーであっても調律の狂った状態で鳴らしていては、どんな高価なアンプを持って来ようが、どんな高級なケーブルを繋いでやろうとも絶対に鳴りません。上手く行かない真の原因を突き止めずして解決の道はありません。

それは、カイザーサウンドの格言で言うところの、

鳴るように出来ていない状態の物は、

鳴るようにしない限りは鳴りません。

本件はネジのエネルギー伝達(音の調律)が出来ていなかった事に尽きます。

一仕事終え、要した時間を携帯で確認している私です。自分で言うのもおこがましいですが、してやったりの表情はイケてます。やはり、男は仕事している時の顔が一番ですね。


オーディオファンの皆さん!

もしもエピーローグで辛苦されているようでしたら、

私貝崎に是非お任せ下さい。

目から鱗を取ってお見せします。

繰り返しますが、

私、貝崎静雄は「オーディオ感動請負人」なのです! 

← Back     Next →