ライブハウスでのイコライジング調整を何度もそばで見た事がありますが、ハウリングを起さないようにミキサーのレベルを一つ一つ上げて行って確認します。「ピー」と激しく発振したところのレベルを下げます。 ライブの現場では一番にその部分を重要視しますが、カーオーディオの場合はマイクがないので同じように考える必要はありません。お逢いした多くの方達から受けた私の印象では、カーオーディオのイコライジング調整もこの考え方がベースに定着しているようです。 ある帯域がキツク耳に刺すからといって、その部分を下げれば解決するものではありません。その調整方法ですと音はドンドンと分断され(特にデジタルプロセッサー式の場合)本来自然界にある音とはかけ離れたものになってしまいます。 音楽は沢山の音が混じり合っている複合倍音です。ガラスに反射して出る刺激音を緩和させる事に意識が行きますと、脳は楽器の持っている音色の部分やハーモニーに疎くなります。その疎くなった意識下で調整するから音楽が遠のいて行く状態に気がつかないのです。 今までに沢山のカーオーディオを聞かせて頂きましたが、一様なのは音楽性の欠如です。音に意識を奪われ過ぎるがあまり、音楽の和音やハーモニーに対する感受性が鈍麻し、それらの欠落状態に気がつかなくなります。それこそが一番怖いのです。 そこで発想を変え、不快な音を抑えるというのではなく、「魅力ある音を作ろう!」とプラス思考に変えてみたらどうでしょう。魅力ある音が出るようになると嫌な音は自然と出なくなるものなのです。 それを実現する何よりの良薬は身近にリファレンスとなる素晴らしいバランスのオーディオシステムを持つことです。安くてもいいのです。そういった意味ではフルレンジスピーカーが良いでしょう。そして沢山のジャンルの音楽を聴くことです。それが耳と感性を肥やす事に繋がります。 |
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