ドライビングコースを変えて気分転換

 Music Spiritの音は「夢と希望」をテーマにしております。

 いつまでも瑞々しい「エバーグリーンサウンド」です。

 生を彷彿とさせるような音楽性の高い音を生み出そうと、連日連夜ネットワークとイコライザーの調整に余念がありません。調整しては走って、音の確認を取るのはいつもと同じですが、「景色が変わればグッドアイディアが浮かぶかもしれない・・・」そう思って、今回は気分転換にドライビングルートを変えてみました。

 深川線の塩浜から高速に入り、右に行けば羽田方面、左は千葉です。東関東道で千葉浦安方面へ向かい、途中で左に曲がって中央環状線に入り荒川沿いを上ります。掘切JCTを左に入り隅田川に沿って下りながら、箱崎JCTで銀座方面へ進路をとります。その後左回りでレインボーブリッジを渡り湾岸道路に戻ってきました。

 それで終わりにしょうと思いましたが、私も車もあまりにも調子がいいのでついつい勢いでもう一周してしまいました。それも更に大外を回る江北JCT経由で池袋線のコースを取りました。ガソリン代が高い事も忘れ、気がつくとスタート時にゼロに戻したはずの積算メーターの距離は100キロを超えていました。

 走っていてある事に気がつきました。お台場を中心とした臨海副都心の景色を目にしながら走っている時の音楽が一番魅力的に感じるのです。こればっかりは不思議ですが、私自身無意識下で景色と音楽が一体化するべく音を調整していたのではと思います。自然体でやっていれば自ずとそうなるのでしょう。

 銀座からは晴海埠頭で行き止まりでしたが、その先の豊洲と橋で繋がったのでビッグサイトやお台場まで一直線で行けるようになりました。築地市場もこの地に移転する計画です。このように湾岸地区は日に日に景色が変わりつつあり、今東京の中で一番注目を浴びているところです。


 ネットワークとイコライザーの調整はピアノの調律とそっくり

 カーオーディオの音が良くなるにつれ車の走りもリンクするように良くなって行きます。このプジョー407も完全に化け、ローゼンクランツデモカー/シトロエンXMに近づくほどの快適な走りになって来ました。不思議ですけど音楽の力によって車に魂が宿っていくようです。

 家の近くに戻っても車を停めて更にミクロの調整をします。そろそろ、あちらを立てればこちらが立たず状態になりつつあり、問題はどこにシワ寄せするかになります。正にピアノの平均律的な調音調律法と同じです。それでもそんな繰り返しをもう既に数十回はやったでしょうか。32バンドをしらみつぶしのようにやって行くのですから気がついた時は6時も過ぎて徹夜になってしまいました。

 多少欠点があっても魅力を感じる音にはこうしてカーオーディオチェックシートに記録しておきます。その時に気がつかなくても後になって解明出来たり利用出来たりするものです。

 数年前に著名なピアノ調律師を訪ね、その仕事ぶりを見学させて頂いた時にピアノの倍音構造や調律の方法を教わった事が今になって大変役立っております。その時に弾かれたのはべヒシュタインのピアノの音でした。余談ですが、ドイツにローゼンクランツというピアノのメーカーがあるそうです。


 日本全国をオーディオクリニックして回ることが揺るぎない自信になっています

 デモカーもこれで二度目の経験ですから、新しいひらめきもあったりで調整法も広がり、きめ細かな音作りのノウハウが身に付いてきました。そんな陰には日本中を回り、オーディオクリニックを手掛けているのが何より大きな自信となっています。

 その最大の成果は、音を聞いた瞬間にそのシステムの特徴がつかめ、問題がどこにあるのか、そしてどうすれば解決出来るのか当たりをつけられることです。数年前までは繋いで聴いてみなければ解らない「暗中模索」と「試行錯誤」の時代が長かったのですが、今では狙って音が作れるようになったので製品の設計が大変楽になりました。


 ネットワークの使いこなし技術

 特に今回のデモカーは完全な3ウェイマルチですから、どのようにでも音の調整が出来るので私にとっては大変有り難いです。しかし、調整ヶ所が多い分音楽を豊かに感じ取る感性が乏しいと、かえってマルチチャンネルは難しいものになるので注意が必要です。

 デジタルプロセッサーはアナログ式に比べると、ふくよかさや響きの美しさを出しにくいのが唯一の難点です。その分ハンドリング技術がシッカリ問われます。

 特にネットワークのつなぎどころは非常に重要な役割を持っていて、この分割周波数とお互いの帯域をどの程度重ねるのか、またオクターブあたり何dBの減衰にするのが良いか、とにかく経験と耳が頼りの本当に熟練を要する仕事です。


 ウーハーのクロスポイントの考え方

 定説のように教わったのでしょう・・・。後ろからボーカル帯域が出ては駄目という考えで、40〜63HZあたりの低いところでサブウーハーとミッドユニットをクロスさせる人が多いようです。更にはこの時点でネットワークの問題は解決したと勘違いしている向きがあります。

 こうして出て来た音は一見問題ないように思えるかもしれませんが、オーディオはそんな簡単なものではありません。確かに物理的に後ろから声が聞こえなくてフロントに音像定位出来ているように聞こえますが、それだけでは肝心なハーモニーや倍音は作り出せません。何故ならば時たまサブソニック的低音が鳴るだけでは、音楽にとって一番重要な気配感を常時表現するには限界があるからです。

 その分ドアー部のユニットに過度の頑張りが要求されるようになり、デッドニングに頼らざるを得なくなります。正直言って、1、2ヶ所のヒンジで取り付けられてあるだけのドアー部にその仕事を託すには所詮無理があり酷です。

 過ぎたデッドニングはその言葉通り音楽が死んでしまい、高性能な音だけをよりどころにした音作りを余儀なくされます。ホームオーディオでもこの考え方が主流なのですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」で、これこそが音楽が遠のいて行く決定的な原因と私は結論づけています。


 サブウーハーという考えを捨て、ウーハーとしてみるべき

 リズミカルで反応が速く軽やかな低音を出す為にはウーハーの受け持ち周波数を思い切って100〜125、あるいは125〜160HZ位まで上げ、ミッドバスユニットはサブウーハーと多少重なり合うようにしてやります。

 ウーハーのエネルギーをミッドに取り込むこの方法は簡単ではありませんが、音楽的感性を磨き、耳を澄まして集中力でイコライジング調整すればフロントに音像定位させる事が出来ます。2ウェイ+サブウーハーという考えではなく、あくまで理想は3ウェイスピーカーとして完成させる事をテーマにするべきだと考えます。

 ここは車にとって一番強度のあるシャーシー部に性能の良いインシュレーターを介してウーハーボックスを取り付け、サブウーハーとしてではなく、ファンダメンタルな低音部を常に受け持つようなウーハーユニットとしての巾広い役割を担わせます。これこそが高品位なカーオーディオサウンドを創り出すキーになります。


 最重要ポイントは「音のスピードとタイミング」です

 最重点にスポットを当てるところは「音のスピードとタイミング」です。その他に留意すべき点は、音の骨組み構築の段階でスローテンポなバラード曲で調整するのはタブーです。この方法だとディスクの数だけ確認が必要になり全く無駄な作業と化してしまいます。歌い手のイモーショナルな部分に目を向けるのは後回しで良いのです。低中高のユニットの反応とタイミングを揃えない限り、音から音楽に変わることはありません。

 最初はどうやっても上手く行かず、時間ばかりが過ぎるでしょう。特にカーオーディオは施工してなんぼですから、調整に掛ける時間はお金を生まないのでおろそかにされがちです。しかし、この技術を身につけない限りカーオーディオの音質向上はありません。その分調整が難しいのは事実ですが、素晴らしい音楽を紡ぎ出した時には格別の感動がありますから是非とも頑張って欲しいと思います。


カイザーサウンド有限会社
担 当
貝崎 静雄(かいざき しずお)
E-mail
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