トップ情報スピーカーB&W 800〜2ノーチラスインシュレーターの情報>RK-BW・・・その17-1 「無料クリニックキャンペーン!第1号」

RK-BW・・・その17-1 「無料クリニックキャンペーン!第1号」


 無料クリニックキャンペーン

 東京試聴室開設記念、無料クリニックキャンペーン第1号のお客様は、B&W802ノーチラスのインシュレーターRK-BWをお買い上げ頂だいた渋谷区のE様です。自分一人で取り付けられるだろうかと言う電話でのご質問からでした。

 「無理すれば、出来なくないかもしれませんが、初めてで、段取りが分からない場合でしたら結構重たくもありますし、必ず二人でなさったほうが良いですよ」。「そんな事より、ちょうど今日から無料クリニックキャンペーンをやっておりますから、私自身がお伺いして取り付け致しますよ」。

 「貝崎さん直々に来ていただくのは気が引けますねぇ」。とおっしゃる。

 直々も何もありません、当方は社員無しの私一人ですから、何があっても私がやるしかない訳です。

 「それでは、お言葉に甘えて今日これからでもお願い出来ますか?」。

 「はい、結構ですよ!、気を使うことなどありません」。

 「この度は、無料サービスのキャンペーン中で、お客様の堂々とした権利ですから遠慮なく私を上手く利用して下さい」。

 「商品の発送業務を終えたら、その後、今日は他に仕事はありませんので、暗くなるまでにはお伺い出来ると思います」。

 そんな事で、急遽決まった記念すべきクリニック第1号です。


 渋谷の密集住宅街で迷い子に

 東京へ来てからは、息子の時間が許す時はいつも手伝わせております。今日もその助手を連れての社会勉強です。渋谷という所へ行くのは今日が初めてなのですが、40分くらいで着くだろうと思っていましたら1時間半ほど掛かってしまいました。まぁ、夕方のラッシュ時ですから仕方ないですねぇ。

 目的地に着いて、一旦荷物を降ろし、駐車場に車を停めるべくうろうろするのですが、古い住宅密集地でそれらしき雰囲気ではありません。1本中に入ると迷路のような所です。一方通行はあるわ、行き止まりにはなるわ、とうとう最後には道幅が狭くなってバックするしかなくなってしまいました。

 仕方なく、悪いとは知りつつある病院の駐車場が空いていたので、心の中で”御免”と言って勝手に停めさせて貰いました。それから、歩いてEさんのお宅まで戻ろうとするのですが、グルグル回ったせいで全く方向感覚を失ってしまいました。その内、息子から携帯に電話が入り、何とか迷い子の一騒動は収まりました。それは、その後何かが起こる前触れだったのか?。


 一旦退却

 部屋に着くなり、座布団をお借りし、その上に早速スピーカーを横に寝かせ、802のキャスターを取り外しに掛かるのですが、何とも硬く閉めてあってやっとの思いで一つ外せました。しかし、2個目に入ったところでネジの頭をどうやらなめてしまいました。

 「あちゃ〜、やってしまった〜」。

 これ以上やるといい事がないのは分かっております。まして、今日は2,5ミリの6角レンチ1本とプラスドライバーしか持ってきておりませんので、何をやるにも手の打ちようがありません。外したネジを見てみますと、ネジ全体に渡ってボンドがくっついております。何度もこの作業はやりましたが、ボンドを付けて締めてあるのは初めてです。

 冷静に対策を考えると、ヒートガンでボンドを溶かしてやるのが一番いいみたいです。その後、力のよく入るグリップのしっかりしたドライバーの先にビットをつけて回すという、二段構えでやる必要があるみたいです。

 それで駄目な時には、ネジの頭をヤスリで削り落とし、キャスターを外した後、強く咥えられるプライヤーでネジを回して抜く。この様な対策で、明日もう一度取り掛かりたい旨をお伝えしました。


 何よりも正しい診断が不可欠
 
 「とにかく、やりかけた事ですからお任せします」。

 「はい、分かりました。それでは、今日はせっかくこうしてお邪魔した訳ですから、、802のインシュレーターの事を除いた上で、音を良くする為のクリニックを施したいと思います」。

 そのEさん宅の802の音ですが、「”こじんまり”と、”おとなしく”、”おとなしく”、まとまった音です」。スピーカーによって、「部屋の空気を根こそぎ攪拌出来ない」。そんな風に言えば、理解して貰えますでしょうか。そうであれば、レビンソンやマッキンの500など要らない訳で、モデルこそ違えど、同じ組み合わせで遠慮なく大音量で鳴らしていた、ヤスケンさんところの801の音とは好対照です。

 先ず、あらかじめ電話で床の事は大体お聞きしていました。その構造とは、大胆な設計の物でウエーブ状になった鉄板の上に生コンを流し込んだ物と思います。そして、その上に大豆大くらいの凸状の水玉模様のようなピータイルが貼られてあります。一般家屋ではめずらしい仕様の物です。土台は悪くは無い程度にしっかりはしていますが、少しウエットな感じ。

 我が試聴室で使っているスピーカーベースは持って来ております。これはB&W802専用に開発した物でして、明日インシュレーターをつけた後セットで使う為に用意していた物ですが、急遽CDプレーヤー(D-730U)の下のボードとして使ってみる事を考えました。

 そのCDプレーヤーの下には、磁石の反発によって浮いた状態を保つアクリル製のインシュレーションボードを使っておられます。私の「音のカラクリ」の説からすると、”ふわふわ”と浮いた物の上に振動する物を置くと、シッカリとした足場に踏ん張ると言うイメージからは程遠いのです。

スチューダーのD730Uとフローティングのベース。

 したがって、力強いと言う音の傾向より、「良く言えば澄んだ音」、「悪く言うと生気の無い音」。アクリルと言う素材その物も、透明な物から来るイメージでやはり同じ傾向にあります。こうした傾向の物は、低音が膨らみすぎて”ボワン、ボワン”の状態には特効薬のように効くポイズンです。


 正しい判断の後には、正しい処置

 特に低音の絶対量が乏しかったものですから、何がどのようになればそうした事を解決出来るのかを分かって頂く為です。しっかりと大地を踏みしめたような低音が出てくるようになって来ました。

 文章が後先になりましたが、実際にはその前に一切のケーブルは方向性を確認してつなぎ変えていました。ただ、バランスケーブルは構造上向きを反対にするということが出来ませんので、その点は不利になります。

 精査の結果、デジタルケーブルとプリ、パワー間の2ヶ所の信号ケーブルは反対という事が分かっていてもどうにもなりません。スピーカーケーブルも反対でしたが、これは結線し直しています。結局、ACケーブルのみ正しかっただけです。抵抗勢力がそれだけ多かった訳ですから、大きく音抜けの良い方向に変化していったのもうなずけますね。

 この後、クリニックはCDプレーヤーの下にPB-DADDYを入れて、ダイナミックレンジの拡大、エネルギーの増大、そして、音の切れと共に晴れやかで澄み渡った青空ような空気感が出て来るようになって来ました。試みる度に見る見る音が良くなって行くのは、元々、持っているコンポ自身の能力の高さを物語るものです。こうして、本来の力がどんどん出て来るようになるのを目の当たりにすると、Eさんは買った商品の10%ぐらいしか楽しめていなかったように思います。

 さらに、最高級のAC-5EX(Perfect)をCDとパワーアンプに装着して鳴らしてみました。一気に3次元方向へと音楽が広がり始め、やっとスピーカーが部屋中の空気を攪拌出来るようになって来たのです。ここまで来るとEさんは俄然ケーブルの方にも関心が向いたようです。

 今日1日目のクリニックはここまでです。


RK-BW・・・その17-2 「無料クリニックキャンペーン!第1号  2度目の訪問」


 必要な道具を買いに秋葉原へ

 東京へは充分な道具を持って来ておりませんので、足らない物は秋葉原へ買い物に出かけなければなりません。6角レンチのビットを探すのですが、これが案外無いのです。先がなめてはいけないと思い、何種類か予備も買っておきます。いざと言う時の為のヤスリも買っておく必要があります。

 私のよく行く所にはビットタイプの物が無く、車の中に待たせておいた息子に、「何処か心当たりは無いか?」と聞くと、「じゃ2〜3軒行ってみる」と言って走って行った。かれこれ、20分ぐらいは掛かったでしょうか、やっと目的の物を手に入れて帰ってきた。

 首都高速で一気に新宿まで

 徒町(おかちまち)方面に向いていた車を、信号が赤の間に強引にUターンして渋谷方面へ向かいます。昨日、あれだけ混んだから今日は首都高で行こうと言って、ナビを頼りに最寄の入り口から一路渋谷へと向かいます。渋谷と言っても新宿の都庁のすぐそばですから、実際には4番の新宿線に乗り新宿で降りるのです。

 3時頃ですから車は順調に流れて行きます。都心を離れて行く下り方向は混雑が少なく、あっという間に新宿です。昨日の今日ですから、迷う事無くEさん宅にも予定より少し早く無事到着しました。


 朝から晩までクラシック音楽三昧

 定年を終えたばかりのEさんは、もっぱら朝から晩までクラシック音楽三昧だそうです。廊下といい、部屋といい、所狭しとあるLP、CDの量は相当の数に上るでしょう。その数両方合わせれば数千から1万枚といったところでしょうか。

 昨日のリベンジ

 昨日、1回で出来なかった事を最初にお詫びし、すぐさま作業に取り掛かります。昨日のように座布団の上に802を寝かせ、持って来たヒートガンでネジを温めます。3〜4分位でキャスター全体がかなり熱くなったので、小手初めに緩めてみようとしますが未だのようです。

 無理をせず、さらに2〜3分熱してからもう一度トライです。今度は簡単に緩みました。

 「”ホッ”と一息・・・、もうこれで大丈夫!」。


 作戦は大成功です。昨日、無理をしないで本当に良かった。外したネジを見てみますと先の方までボンドの跡があり、これなら外れないのは当然です。外しついでですから、合板で出来たネットワークのふたの部分も外して、上下左右の方向を調べます。左に取り付けてあった物を裏返して、右に持って行けば良い結果になる響きの方向です。そのままインシュレーターを一気に付ければ良さそうなものですが、取り付けてしまってから微調整するのは厄介なところもありますので、それは後回しにします。


 空間の時間軸の微調整

 Eさん宅の床の状態を考えれば、その前にスピーカーの適切な位置決めを先にやってからの方が賢明です。そう決めた上で、その部屋におけるスピーカーの最適ポジションを探る「空間の時間軸」の微調整をやるわけです。

 ひとまず、大体良さそうなところに置いて音楽を聴きます。昨日より場所が良いみたいな感触の音がしております。一旦その場所に黒いテープでマーキングしておき、その「105ミリ」前に同じようにマーキングします。そして、その位置までスピーカーを前に出して聴きます。「これは、ダメ!」、さっきと比べると全然量感に欠け、カサカサの音になりました。

 基本は音の良い長さの単位=「1Kaiser」

 今度は、一気に最初の位置から105ミリ後ろの位置まで下げて聴きます。先ほどの前に出したポイントよりもさらに良くありません。今度の場合は、嫌な気持ちになるような雰囲気まで感じるのです。よっぽど最初の場所が良かったのが分かります。

 だから、次は当然最初の位置から52,5ミリの位置で聴く事になります。このようにして、「準々決勝」、「準決勝」、「決勝」と進んで行くのです。この準決勝では、一番初めに聴いた音と、甲乙つけ難いくらい良い感じで判断がつきそうもありません。

 すると、当然残るはその1/4にあたる場所に持って来るしかありません。

 どんどんと楽しみは膨らんできます。


 「波動コントロール」と呼ばれる、究極の追い込み

 やる前には、Eさんの口から「私にはそんな事、とても分からないでしょう!」といっておられたのが、すっかり調子に乗って、今では、いの1番に答えを出されるまでに変わったのです。それぐらい、違いがよく分かるのですから、この「波動コントロール」と言うのは重要なことなのです。

 「さぁ〜!、残るはたった1インチほどの微調整(1/4kaiser)で、どのような音に変化するのか?」。

 楽しみに息子と二人で左右のスピーカーを動かしますが、タイルの模様が一目盛り違っていたようで、それを”さりげなく”Eさんが指摘された。Eさんご自身、相当に集中力が上がって来ているようです。私達は慎重にもう一度やり直して、駅員宜しく指差し確認O.K!。

 思ったとおりのピンポイントに入りました。

 音が根こそぎ、エネルギー満開に出るようになりました。

 これで、一先ず安心です。


 RK-BWの取り付け

 しっかりとマーキングをして、これからが今回の本番であるRK-BWの取り付けです。面倒でも、もう一度座布団を用意して802を寝かせ、白い手袋をはめて丁寧に取り付けします。最初に私が手本を示して、もう一つは息子にやらせます。


 先ず802専用のスピーカーベースを床に置き、慎重にスピーカーを起こしそのベースの上の乗せます。底に入れてあった座布団を抜きながら、後ろにPB-BIGを挿入。その後、前の一つにBIGのオスをあてがい、そのままそっと下ろします。同じようにして斜めに片方を浮かし、もう一つのRK-BWにオスをあてがって完了です。


 左右が完了したら、とりあえず目検討で角度合わせをした上で音出しをします。

 「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、」思わず口元が緩むんです。

 先ず、その音楽の鳴り方が、暖かく、品位を伴って、豊かです。

 「いや〜いいですねぇ〜」。


 レーザーセッターによる理詰めのセッティング

 聴いてる暇無く、「一気に行きますよ!〜」。

 最後の調整、レーザーセッターを取り出し完璧に追い込みます。


 「高さ方向」と「前に来るエネルギー」が少しアンバランスだったのが、もう見事に部屋中に音楽が充満して、ステレオの姿などは目に入っても全く存在感などありません。そこには素晴らしい演奏と、素敵な歌い手が居るだけなのです。

 もう安心!、後はお好きなディスクをただ聴くだけです。

 ステレオの音がうるさく、テレビの声が聞こえないといって、隣の部屋からいつもぼやいていたと言う奥さんが、「この音ならいい!、気にならない!」とにこやかな顔をされました。しばらく、そのまま鳴らしていましたが、30分くらい経ってからぐいぐいと良くなってくるのです。Eさんは大満足の様子です。


back