ヘッドホンオーディオにも関心を寄せる事にしました
ヘッドホンで音楽を楽しんでおられる人達から頂くローゼンクランツのACケーブルの音の感想と、一般のオーディオシステムでのその聞こえ方の現象に違いがあることが明らかになってきました。
ローゼンクランツ製品は奥行き、広がり、高さの表現をテーマとして三次元的に設計していますので、リズム感も余韻もハーモニーも抑揚も正確に再現されます。性能面である周波数特性よりもわずかに音楽性を優先させた作りになっています。
そのローゼンクランツの電源ケーブルをヘッドホンオーディオに接続して再生すると、ワイドレンジ型のハイエンドケーブルに比べて、音場が狭く、音が凝縮したように第一印象は感じるようです。
もちろん、トランスポート、コンバーター、アンプとローゼンクランツ製ACケーブルが増えるに従って、響きの美しさと共に実在感のある音にどんどんなり、最終的には本当の素晴らしさを分かって貰えるようになります。
一番ウエートを置いて設計している音色の美しさ、実在感、音場感といった項目で、反対の結果になるのがちょっと意外でした。「普通のスピーカー再生では意図通りに鳴るのにどうして???」というのが私の素直な疑問でした。
Jポップはハイエンドでは上手く鳴らない
ある日若いお客さんがカイザーサウンドの試聴室に来られ、愛聴盤であるJポップを聴いた時に、『ヘッドホンでいつも聴いているけどこんなに酷くない』という感想を述べました。だけど、クラシックやジャズ等は普段とは比べ物にならないほど圧倒的に良いという感想も合わせて得られました。
今日のオーディオシーンはポータブルオーディオとしての使用がほとんどなので、ヘッドホンで聴く事を想定してレコード会社がディスクを作っているのが実情です。
特にJポップはそうです。ヘッドホンで聴いた時に問題なければ良しとする風潮が当たり前ですから、ハイエンドオーディオを対象とした音を望む方に無理があるのかもしれません。
脳は音と音楽をどう聞き分けるのか
私達が日常生活の中で音を感じるのは空気という媒質を経て、色々な方向や距離の違いを脳が識別しているのですが、ヘッドホン再生の場合はどんな音も鼓膜の直近で鳴るから、正確な距離感を脳が測れなくなるのではと思います。
本来、動物の耳と言うのは主に危険察知の為に付いているものですから、データーには無い非日常的な鳴り方をすれば、本能的な器官としての脳のコンピューターが戸惑いと共に誤動作を起こし微妙に誤差が出るはずです。
そうなると、脳は音の性能面にフォーカスされ、芸術面に意識が疎くなる症状をきたします。特に良い音を作ろうとする技術者が陥りやすいパターンです。
大半のメーカーは性能を上げる事に躍起になっていますので、音は良くなれど音楽はどんどん遠のいて行く事になります。誤解を招く事を承知で口を開けますと、ローゼンクランツでは総合的に見てチーム力が上がるのなら、わざと性能を落とすという余裕の手法も辞しません。
音楽はコミュニケーションです。遊びやゆとりが無くては一杯一杯になります。ここらあたりが、音と音楽の分岐点の秘密なのではないでしょうか。
ローゼンクランツは測定器と睨めっこしながら製品開発をしません。自らの音楽ハートセンサーで測定しています。一番曖昧なようですが、音楽という面で見た場合は訓練を積んだプロにとって一番正確な測定方法なのです。
必要以上にS/Nが良いのも自然界とはかけ離れていて、まるで無響室で聞いているようで身体が不調を訴えるようになります。測定データーが良いのに魅力を感じないのはそうした事が原因です。また、日本のオーディオ製品が世界に評価されなかった理由というのも頷けます。
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