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その26 「大気圏を突き破ったかのような音宇宙」


 今日は、昨日のミラクルサウンド・スクリーンに続いて、スピーカーベースの部分をハードメイプルのボードからサウンド・ステーションに入れ替えての実験です。今あるベースの前に、これから入れ替えるサウンド・ステーションを置き、スピーカースタンドごと前の部分を少し持ち上げ、そのままスピーカーを前に滑らせ、一旦前の部分だけをサウンド・ステーションに移し変えます。

 その後、同じようにしてスピーカスタンドごと後ろの部分を持ち上げ、そのまま前に滑らせてスピーカーを完全に移し変えます。この時インシュレーターをスパイクにあてがってそっと下ろします。

 次は、以前にマーキングをしていた位置までサウンド・ステーションごと後ろにずらし、なおかつ細かな位置決めをして一応移設は完了です。前回も同じ試みはしたのですが、何せ一週間ほどでそのプロトタイプは売れてしまったものですから、久々に聴く素晴らしい音に感激ひとしおです。

 気のせいではなく前回の時よりも音の重厚感といい、一回りスケールアップされているのは間違いありません。それにしても、35ミリ厚のハードメイプルボードとこうまで音が違うのはどうした事でしょう?。



 値段が4倍も違うのですから、それは仕方のない事としてサラリと流しましょう。しかし、よく聴くと念入りに調整されていない問題点が音に出ています。両隅のサウンド・スクリーンは45度に置くのではなく、先ずはスピーカーの振り角と同じにして、スピーカーの後押しをするイメージで置いてやります。

 この状態で聴く音は、奥行き645pに対して315pと横幅が狭く、音の広がり感が前に出てくるエネルギーに対してどうしても物足りない感じです。出来れば8畳間の幅である360pは欲しいところです。無い物ねだりをしてもどうにもなりませんので、ここからがカイザーサウンドの腕の見せ所です。

 湾曲したミラクルサウンド・スクリーンの強い拡散エネルギーを上手く利用してやれば良い筈です。まずスピーカーの前に戻り目標を定め、サウンドス・クリーンの振り角をポール1本分外振りにしてやります。すなわち、7本のうちの左から3番目のポールがスピーカーの軸上に来るように合わせてやるのです。

 「さて、その音はというと?」。

 「バラバラで散漫になってしましました」。

 明らかに振り過ぎです。

 さて、もう一度やり直しです。

 今度はその半分に当たる40ミリの玉の部分を軸上にして聴いてみる事にします。大分良くなりましたが、まだ散漫な感じは少し残っています。さらに微調整は続きます。今度は中心のポールと左隣の玉との間を軸上に合わせるようにします。


 「これでどうだ!」。

 「来ました!、来ました!・・、来ましたよ!・・・」。

 「エブリシング・イズ・オーケー」。

 
 最終的にはポールの幅52,5ミリの1/2分外に振った状態で、前後のエネルギーと左右の広がりのバランスが取れました。これで殆ど解決かに見えたのですが、欲を言えばもう一つボーカルのセンター定位が明確でありません。

 次なる手は?、そうです、センターに置かれたミラクルサウンド・スクリーンの前後位置の調整です。建物の柱の関係で部屋の両角が20センチ前後出っ張っています。ですから同系列には置けませんので、必然として前後差をつけざるを得ません。


 勘で置いてある、今の位置関係をスケールで計ってみますと33pありました。意識して0,3kaiserに当たる31,5pに合わせる為に1,5p前に戻しますと如何でしょう?。それはピンポイントに入ったのがハッキリと分かりました。

 見事なプレゼンスが出来上がりました。

 一気に大気圏を突き破ったかのような音宇宙です。


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