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石原氏の尖閣購入計画を支持する 国は何をやっているのか!

2012.4.22 12:00 MSN 【高橋昌之のとっておき】

東京都の石原慎太郎知事は16日、訪問先のワシントン市内での講演で、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島の購入に向けて、3島を個人所有する地権者と交渉を開始したことを明らかにしました。尖閣諸島をめぐっては、中国や台湾が領有権を主張していますが、歴史的に日本固有の領土であることは明白で、そのことを内外にはっきり示すためにも、石原氏の行動を強く支持したいと思います。

石原氏は講演で「日本人が日本の国土を守るために島を取得するのは、何か文句ありますか。ないでしょう。やることを着実にやらないと政治は信頼を失う」と述べました。まさにその通りです。とくに国にとって、国民の生命、安全とともに重要な領土の保全に関することですから、政治が責任をもたなければなりません。

それにしても情けないのは、購入するのが「国」ではなくて「東京都」であることです。石原氏の発言を受けて、藤村修官房長官は17日に「必要ならそういう(国有化の)発想で前に進めることもある」と述べ、野田佳彦首相も18日に「こういう動きが出てきたことについて所有者の真意をよく確認したい。そういう中であらゆる検討をする」と述べました。

尖閣諸島の国有化に前向きな発言ではありますが、「必要なら」とか「所有者の真意をよく確認したい」という前提つきで、明らかに腰は引けています。尖閣諸島の重要さと中国の脅威にさらされている現状を考えれば、私は本来なら国が購入して当然だと思いますが、中国の反発を恐れる現在の政府の姿勢を考えると無理だと思います。

ただ、中国が尖閣諸島の領有権を主張し、周辺海域で漁を繰り返し、漁業監視船などによる日本への威嚇行動が行われていることを考えると、島の所有を民間人に任せておくのは酷な話、危険な話です。したがって、「誰かがやらなければいけない話だ」として、石原氏が東京都の購入による公有化に乗り出したことは高く評価できます。

これに対して中国政府は早速、「日本のひと握りの政客の無責任な言行は中国の主権を侵犯するだけでなく、中日関係の大局も損なう」(劉為民外務省報道官)と批判してきました。今後も購入までの手続きの過程では、中国の反発が予想されますが、これにひるんではなりません。日本は自らの領土を守ることに誇りと気概を持つべきです。

尖閣諸島が日本に編入されたのは明治28年のことで、かつお節工場などが建設されましたが、戦後は無人島になってしまいました。中国が領有権を主張し始めたのは、昭和40年代に周辺海域で石油や天然ガスなど大量の地下資源を埋蔵する可能性が確認されてからのことです。したがって、中国の領有権主張は地下資源目当ての完全な言いがかりなのです。

石原氏が購入するとした3島は現在、埼玉県在住の男性(69)が所有しており、国が年間2450万円で賃借しています。ただ、平成16年4月の「あらかじめ認める場合を除き、上陸等を禁ずる」とする内閣参事官通達で、原則立ち入りは禁じられています。国は「民間人の所有地」であることを立ち入り禁止の表向きの理由にしていますが、実際は中国の反発を恐れての措置であることは明らかです。

日本の領土であるのに、国民が立ち入ることさえできないという状況に、日本の政府がしているわけです。こんな腰の引けた対応をとっていては、中国はますます強い姿勢をとってくるでしょう。それを防ぐために、「国ができないというのなら東京都がやる」というのが、石原氏の政治判断なのです。

地権者の男性と30年来の親交があり、石原氏とのパイプ役となった自民党の山東昭子参院議員によると、男性は平成22年9月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、中国人船長を処分保留のまま釈放するなど弱腰の対応をした民主党政権に不満や不安を覚えたそうです。

そして、男性は「国を守るために島を所有してきたが、個人で守っていくのは限界がある」として、山東議員に相談。山東議員の紹介で石原氏と数回にわたり会合をもち、「石原氏ならば」と売却の意向を示したとのことです。石原氏の「尖閣諸島を守る」という熱意に男性も動かされたのでしょう。

本来なら、尖閣諸島の購入は国が行うべきですが、現状を考えれば、購入は「尖閣諸島を守る決意」を明確にもっている石原氏が知事を務める「東京都」の方が望ましいと思います。

国が購入したら、それこそ中国の反発を恐れて、国民の立ち入りも禁止したまま何もしないでしょうから。石原氏なら尖閣諸島への国民の立ち入りも認め、漁業や資源開発の施設を作るなど開発も進めてくれるに違いありません。そうすれば尖閣諸島がわが国の領土であることは明確になります。

尖閣諸島の購入費用は「10億〜15億円」といわれています。東京都民の中には「なぜ東京都のカネで尖閣諸島を買わなければならないのか」と思っている方もおられるでしょう。しかし、東京都が国になり代わって尖閣諸島という日本の領土を守ることに立ち上がるのです。カネの問題ではありません。私も東京都民ですが、都民はそのことに大きな誇りをもっていいと思います。

それにしても情けないのは国、つまり現在の中央政界です。尖閣諸島への及び腰は民主党政権だけでなく、自民党政権時代から続いてきました。今回の石原氏の尖閣諸島購入計画で、中央政界のメンツは丸つぶれになりました。

つまり、石原氏の行動は「中央の政治が領土さえ守れない状況でいいのか」という強烈なメッセージです。「このままではいけない」という良心を持っている国会議員がいるなら、今回の石原氏の行動を機に、国民の生活と安全、領土という国家の基本を守れる中央政界に変えてもらいたいものです。

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