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アキュフェーズ・フルシステムとタンノイ・カンタベリー/HE

ネット情報をよく調べてあるのには関心します

『カンタベリーのセッティング例が、
オーディオクリニックのページに載っていたので、
相談の電話をさせて頂きました』

『機器類は全てアキュフェーズで、CDがDP-700、
プリがC-2800、パワーはA-60を2台で、
BTLにてバイアンプ駆動しています』

『床は普通のフローリングですが、
サウンドステーションを敷くと、
大きな効果が得られるでしょうか?』

カンタベリーのHEタイプは初期のモデルとは違って、スパイクと受けが付属していて、3点支持セッティングが可能だと知りました。ケーブル類に関しては付属程度の物を使用していて、今までにこれといったアクセサリーを試した経験が無いそうです。

埼玉県和光市のM.Nさんからそんな内容の電話を頂戴しました。


"カイザー・オーディオクリニック"は最後の砦を守ります

「和光といえば東京に近いですから、
直接伺って音をお聞かせ頂いた上で改善提案させて頂くのが、
具体性があって一番納得して頂けると思います」

「車にはサウンドステーションも含めて、
沢山の試聴品を用意して参りますので、
必要に応じてご体験頂けます」

「スピーカーのセッティングだけでも、
音はかなり改善出来ると思いますので、
先ずはクリニックをお勧めします」

「今回の場合ですと、クリニックの費用は52,500円で承ります」


『分かりました、では、宜しくお願いします!』

話はスムーズに流れ、数日後に和光市のM.Nさん宅へ伺う事となりました。


スピーカーと部屋の気流が完全に逆相モード

シンフォニー、ピアノソナタ、声楽等、一通り聴かせて頂きましたが、押しなべて音が薄く力が感じられません。特に弦楽器の音が顕著で、低い方への伸びが無い為にピアノの音と弦楽器の音が鳴同しないのです。

勿論声に於いても同じ現象です。下腹から押し出すように出てくる低い声が無く、単に喉から出ているだけの軽い声であります。よくある現象なのですが、原因が分からないものだからあれこれと買い物に走り、物によって解決しようとする真理が働くのです。これが負のスパイラルに陥るメカニズムです。


スピーカーと部屋の位相整合

こうした症状はケーブルによっても起こりますが、大方の場合、部屋に於けるスピーカーの置き場所が原因となって、気流の動きにストレスを与え音にピークとディップが生まれるのです。

ありとあらゆる沢山のスピーカーセッティングをこなす事によって、このタイプの音であれば大体これ位動かせば良いというのが、私の場合に限っては今では完璧なものとして身に付きました。

名刺を置いたところが私が睨んだ音の良い場所です。スピーカーの底に見えるように、現在は付属のスパイクと受けを使った3点支持方式を採っています。受けの下に滑り易い素材を貼っているから楽々動きます。狙った位置に来た途端にカンタベリーの音に力が加わりました。この音の変化にM.Nさんは驚くと同時に大満足です。

前後・左右・角度までを考慮すると、スピーカーの置き場所は無限です。その中から当たりの音を見つけるのは九牛一毛の如く困難極まります。しかし、根気良く何度でも何度でも試みていると、必ず良い音のする場所に出会う筈です。

その過程で音が痩せたり肥えたりを繰り返します。その法則性を見つけた事が、「音を計る物差し"カイザーゲージ"」の発表に繋がったのです。一滴のしずくであっても、長い年月が経てば岩をも貫通してしまいます。そんな地味で地味な根気がいつかは花を咲かせるのです。


スピーカーの足場の検証

当初M.Nさんは、サウンドステーションに興味を持っておられた訳ですが、スピーカーの位置出しだけで思いもよらぬ音を作れたので、これならスパイク受けをCaptainに交換する事で、予想を超える音が半分の予算で引き出せると睨みました。

この作戦は大成功でした! 

当初私が予測していた三倍位いい音に変わったのです。個々の楽器の音色の生々しさは言葉に表せないほど魅力的です。音圧感がアップしたのも勿論ですが、ピアニシモの再現がそれはそれは素晴らしいものになりました。それ位カンタベリーHEは魅力ある音楽を奏でています。


アッテネーターの調整

この時は"ドボルザークの新世界"を聴いていたのですが、ホルンのホールの響き具合に耳を傾け、集中力を研ぎ澄ませてロック式アッテネーターを調整します。すると副次的効果としてタンノイでしか絶対に出ない、弦楽器のたおやかで衣擦れのような肌触りの音が目の前に現れるようになりました。何とも言えません。


バスレフ穴のルーバー開閉調整

もうひと踏ん張りして、低音楽器のピッチの正確さを求めて、サイドにあるバスレフ穴のルーバーを開閉しながら、コントラバスとチェロの音域の変化に耳を澄ませます。タンノイとアキュフェーズのコンビでからでは想像出来ない鳴り方に変わって来ました。アキュフェーズサウンドは潔癖症的なところがあって、清濁併せ呑むような懐の深い音は苦手な筈なのに意外でした。


カンタベリー初期モデルとHEタイプとの違い

ロールエッジ時代のタンノイの音とは隔世の感があります。昨今ではモデルチェンジ毎に改悪になる例が多い中にあって、カンタベリーHEは稀有な成功例だと思います。今の組み合わせから出ている音であれば、どこのアンプであれスピーカーであれ、オーディオ家としての私にも、個人としての私にも何の問題もありません。

カンタベリーHEタイプは初代に比べて本当の意味でのタンノイの長所が蘇って来たのです。今日のカンタベリーHEは、私がオーディオにのめり込むきっかけとなったTANNOY GRFとガップリ四つの相撲となるでしょう。こんな風に嬉しい誤算が起きるとお客さんはもう最高です。


TV画面が引き起こす定在波を解決

今日の最後に行うチューニングは大波動に合わせる中・小波動です。この言い回しは何の事かさっぱり分からないでしょう?! 大波動の波はスピーカーと部屋の壁の反射の筋妻合わせでした。更にTVの画面の反射波を上乗せするように合わせる作業です。

TV台のほこりの跡が示すように30ミリほど後ろに下げました。音の反応の速さや消え際の繊細さが際立ち、各楽器の持つ音色と音色の隙間を埋める風情等微細レベルの調和が誕生しました。

TV画面の反射が音に悪影響をもたらすから、使わない時には布を被せておくというのがマジョリティーな定説となり、伺った先でその多くの事例を見かけますが、臭いものに蓋をするとは正にこの事で、根本解決には至りません。

カイザークリニックは害を易に変えてしまいます!


ご他聞に漏れずM.Nさんはこの直前にもB&W802、B&W800Sと渡り歩いたそうですが、硬くて冷たくキツイ音には随分苦しめられたと打ち明けてくれました。そして、今は素晴らしい音に変身したカンタベリーHEにあっても、音楽に浸れずじまいで終わろうとしていた矢先のカイザークリックだったのです。

高いオーディオ授業料を払う前に、

カイザークリニックをお受けする事をお勧めします。

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