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JBLのDD65000のクリニック依頼を頂きました

システムの概要は以下の通り。

レコードプレーヤー アコースティックソリッド
トーンアーム SME 3012RS
カートリッジ イケダ 9TS
トランス マイソニック STAGE1030
フォノイコライザー フィデリックス レジェロ
プリメインアンプ レビンソン NO.585
CDプレーヤー ナカミチ MB-3S
スピーカー JBL 65000
スピーカーケーブル ゾノトーン 6NSP-600S

『買って4年近くになるのですが、聴いているのが辛くなるんです・・・』

『今では、手放したいと思うほどです』

『ローゼンクランツのウェブで、DD65000の加速度組立なる記事を読んで、すぐに電話した次第です』

『買った店の人からも、最低でも鳴らし込みに一年は掛かりますよ!』

『そう言われておりました』


時が経ち、使い込みによって音が良くなってくれるものと期待し、我慢しながら聴く毎日を過ごし、変わった部分と変わらない部分との区別が分り、

さすがに、何かおかしい?? と思い始めるようになったとの事。

一年、二年、時の経過と共にこなれた感はあれども、高域がキツくて聴くのが、苦痛である事には変わりない・・・ オーディオでイイ音を、紡ぎ出すのは本当に難しい。

そう感じずにはいられない深刻な相談内容です。こうした人達が後を絶たない事に苦慮して、カイザーサウンドではオーディオセッティングの技術研究に情熱を注いで来ました。そのたゆまぬ努力の結果、今ではどんなシステムを前にしても悠然と構えて居れます。

何故ならば、鳴っている音の中に答が見えるようになったからです。

見えざるを見!

見えるを見ず!


音の結果から原因が判るのです。原因が見えれば何をすれば良いのか判ります。
それが読めないから何をして良いかが判らないのです。試みなければ何も起こりません。試みた数だけその音の傾向とパターンが脳に刻まれます。

それが充分でないと先読み力が働きません。では、そうした場合に多くの人はどういう行動を取るのでしょう・・・ 機器やアクセサリーの組み合わせで起こる、偶然の中でのイイ音に出会う事しか方法を見い出せません。

一般のオーディオセッティング技術とは、多少の違いこそあれ、基本的アプローチは、その域を超えるものではないのです。だから、まぐれはあっても普遍的再現性はありません。

機器の買い替えを繰り返し、お金を使い果たし、手の打ちようが無くなって初めて、誰か救ってくれる人はいないだろうか・・・?  真剣に音の調整のプロを探す事になります。キーワード検索して探せば探すほど”カイザーサウンド”に辿り着きます。数え切れない程のシステムや機器をセッティングして来た経験を有しているからです。

とにかく、狙って音を創れるプロが居ないのが実情です。
それ程ステレオの音の調整というものが難しいのです!


そこで一縷の望みで、

カイザーサウンドへ連絡くれたのでした。


「心配要りませんよ!」

「多少の予算は掛かりますが」、

「簡単にイイ音にしてみせますよ!」


そう勇気付けるのが、

私の第一声であります。

ステレオを触らしたら誰にも負けない自信があるからです。


音の何たるか!

音楽の何たるか!


それらの道理を掴んでいるから、

何度でも再現性があるし、

環境が変わっても、

何の心配も要らないのです。

だから訪問先で落ち着いていられるのです。


DD65000のクリニック開始

数日後に、H.Yさんのお宅にお邪魔して驚きました。

こんな立派な大工仕事をする人が今時居るものか・・・?!

先ずは建物の素晴らしさに目を奪われました!


古くから伝わる日本の大工の技や誇りが至る所に感じられるのです。

大手が行う最近の建築工法は工場でプレカットした材料を、現場で電動ドリルを使って組み上げるだけの大型模型としか呼べないものであります。日本の国力の衰退を見る思いです。

他の現場で、「大工さん何年位やっているんですか?」

と、尋ねた事に対して返って来た答えに驚きました。

『大工と呼べるものじゃないよ!』

『ただの組み立て屋だよ!』

自嘲した口調の返事に、その仕事に誇りを持てていないというのが分りました。

職人でなくても、ただの作業員で代わりが効く工法なのです。

それは家に限った事ではなく、飲食産業のフランチャイズ化等、今日の物作り殆どに言える事です。

だからこそ、H.Yさんの家の素晴らしさに驚いたのです。


同じものを見ても受け止め方が違う

それが事もあろうか、オーディオ店の担当者は柱や梁の木組みを指して、『これが音を難しくしている原因です』と、言ったそうです。

普通の四角い部屋に比べると確かに難しいかもしれないが、良い音にならないのをそのせいにするのは如何なものかと悲しくなってしまう。

その音はと言うと、低音が殺ぎ落とされホーンの鋭い音だけが耳を刺します。
16センチの低音にも負けているでしょう。エネルギーバランスが崩れれば、かくも酷い音になるという見本のようなセッティングです。

他人の悪口を言うつもりはないが、何事にも限度というものがある。顧客の立場と自分を入れ替えてみれば、これで満足出来るはずがないと言うのは分ると思う。本当に音楽が好きなのだろうか・・・? 好きであればこの音で良しとは出来ない筈。しからば、そこから勉強して欲しい!

高額なオーディオ機器の販売を許されるという事は、

良い音を提供する責任を負う事である!


私の見立ては違う!

「これはイイ音になるぞ!」

この木組みこそ、振動の走りを生み出し、生きた音楽になる!

同じ物を見ても、発想力や経験の違いでこうも違うのです。


「では、始めるとしますか!」

おもむろに腰を上げ集中力を高めます。

H.Y邸の一番の問題はスピーカーが動かす空気と、部屋の反射によって起こる空気の波の周期が全く合っていない点です。左右のスピーカーの背面の形や条件がまるっきり違います。


複雑な音の反射や回り込み、その難解な位相角を耳と目で見切り、スピーカーのフロントラインを決めます。右のスピーカーを周回遅れで左と並走するイメージを持てばシメタものです。

ずらして合わす! 

今日のクリニックのキーポイントはここです。


これで一発で決まるはずです。

読み通り見事にパワーを引き出せました。

65000から力のある音が解き放たれた瞬間です。


ネットワークの加速度組み立て


5枚の連結真鍮プレートの電気信号の流れ方に目を向け、信号の流れる方向を前後裏表をチェックし、尚且つ適材配置します。片側だけでも15個あるボルトを左右一緒に集めた後に加速度組立を行います。


先ずは左右にグループ分けしますが、両者の間に近いところに都合の良い物は中央部に置いておきます。それから、精細な振り分けに入ります。


これにて、方向性管理と適材配置が決まり、次は適切なトルクで締めて、低周波から高周波まで淀みなくスムーズに電気信号が流れるようにしてやります。本来は真鍮のプレートではなく、スピード、エネルギーを考えるとケーブルで結線した方が良いのです。

こうした試みを、最近ではオーディオだけでなく車の走りの研究にも力を入れております。現在Anarog誌で「オーディオアスリート」というタイトルでこれらの研究の成果を公開しております。

この音の効果はユニット間を繋ぐ滑らかさに現れます。ウーハーユニットとドラーバーユニットの繋がりがシームレスになり、楽器間のハーモニーが見違えるようになります。従って、ホーン臭い音は無くなり楽器の音色として脳が認識するようになります。 そのリアルさのあまり、目の前には音楽のシーンが広がるのみです。


クリニックの仕上げ

65000は内容積の小さいエンクロージャーに強力な二基のウーハーを搭載しているのが特徴です。ユニットが短い波長の風圧を受け、逆起電力により電源及びケーブルの電気的位相も狂わす悪循環に陥ります。とにかくスピードとタイミングが問われる両刃の剣なるスピーカーです。寸分の狂いも許さないと思って間違いありません。

だから、箱に起こる振動の処理如何で良くも悪くも鳴り方が変わるのです。だから、何一つ甘いアプローチが許されません。ただ、パワーのあるアンプを繋げ良いというものでもないし、太いケーブルを繋げば良いというものでもない。

背面にあるバスレフポート周りも一体化されたパーツがねじ止めされている。
ユニットを止めているネジも合わせるとかなりの数になる。最後の仕上げはこの全てのネジのトルクコントロール加速度組立を行うのです。

肺と横隔膜の関係のようにお互いが塩梅良く連鎖するようにチューニングするのですが、これは、なかなかできる技術ではない。押さば引け、引かば押せの感覚が要求される。


これにて、本日のクリニックは一件落着!

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