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その10 これまでになかった画期的な「音の物差し」に唖然


 ● 今井 明

 カイザーサウンドが前から提唱している音の良い長さの単位1.05m=1カイザー。これを基準にした音の物差し、「カイザーゲージ」が発売された。これって「ケーブルを切る時に使えるぐらいなんじゃないか?」と使い道が良くわからなかったのが本音であり、実際実物を見ても良くわからなかった。赤い波が0.05カイザー毎に書かれていて青い波が0.15カイザー毎に書かれているだけだ。作りはシッカリしているけど・・・。

 それから数日後、カイザーサウンドのホームページに載った情報には、スピーカーの間隔をこの青い波に合わせて置くと良いというのがあった。早速S-520の間隔を耳で聴きながら良いと思う位置に合わせてからカイザーゲージで測ると、何と1.2カイザーでピッタリであった。

 「やっぱりこのゲージには何かあるぞ!」、とは思わなかったもののこれだけではまだわからない。こうなったら直接貝崎社長に使い方を伝授してもらう他ない。本当にこのゲージに言われるほどの価値があるのかどうか教えてもらおうではないか。半分挑戦のような気分でエンゼルポケットでの二回のデモンストレーションをして頂く事となった。

 良い音の場所を探す

 さて当日のシステムは届いたばかりのアッシャーのトールボーイ・スピーカー。バーティカルツィンなので低音の量はあるものの、いまいち切れと広がりにかける。これを「セッティングだけでどれだけ改善出来るものか?」。

 集まったお客さんは15人ぐらい。まずはインシュレーターの製造工程で音の良い点と悪い点が波のように連続すること、そこから「カイザーウェーブ」の発見につながったことを語られた。その中で強調していたのは「耳で選んだ音の良い長さ」であること、決して測定ではなく人間にとっての音の良さの追求であるということだった。

 そして本題のスピーカーセッティング。まずは現状の音を聴いてから前後にカイザーウェーブの半波長動かしてその音の変化を聴く。これで「正反対の音が出る」と前置きして、音が出ると事実その通りなので驚いてしまった。

 片方は低音は出てくるがふくらみ気味、他方は高音は伸びるが低音不足になる。お客さんの反応は前後で良いと思う人が半分ぐらいだったので片方に固定して、さらに1/4波長前後して追い込んでいく。つまり最初に置いた任意の位置から、カイザーウェーブの青い波1波長の間に良い音の場所があるはずだから、半波長ずつ動かしてその点を見つけようという方法だ。

 一度決まれば後はその点から1波長ずつ前後して生活空間と折り合いをつければ良い。最初は音の変化が良くわからなそうだったお客さんも最終的には1センチの前後差の音まで聴き分けてしまい、ほぼ全員が納得する位置まで前後を追い込んでいった。

 その結果の音は全体のバランスが整い、気になったりイヤな音が出たりすることがあまりない。二回目のイベントではさらに追い込み、1ミリ単位まで位置決めをした。この時全員が驚いたのは1センチ動かすよりも1ミリの方が違いが大きいということ。

 そして普通の人はこのようなセッティングの追い込みをしないで聴いているということだ。それはつまり、鳴らないように置いて鳴らしている人が大半だということ。スピーカーと部屋との関係がまず大事で、それをちゃんとせずに機材やケーブルのせいにするのは違うというのがカイザーの主張であり、これだけの違いを聴かされては素直に頷く他ない。好みや相性はその後に言うべきだとも思った。

 前後の位置を最初に決める

 特に前後の位置は壁に音が反射して聴き手に届く距離などが重要になるため真っ先に詰める場所だという。これを詰めさえすれば、どんなスピーカーでもまずは音楽が楽しめるようになり、機械を活かす事が出来る。

 だからこのゲージはただその物だけの価値ではなく、手持ちの機材を活かし無用な買い替えも防ぐという価値もある。ただの2,500円(通販価格3,000円)ではないんだ、場合によっては何百万円の価値があるんだという言葉も大風呂敷に聞こえない。

 なぜなら本来好みが違うはずの20人からの人間が一致して良いと感じた場所にセッティング出来たのだから。その他にも様々なノウハウが語られた非常に濃いイベントだった。カイザーのそのノウハウと情熱が詰まった結晶であるカイザーゲージ、これを使いこなしてセッティングすることが音楽再生のためのオーディオの初歩になるのは間違いないだろう!。

 他にこれだけ明示された基準になるものは、今までに存在しなかったのだから・・・。

A&Vvillage 62号より転載

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