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表現力、空気感、温度感など他とは比較にならない!!


今井 明 
 
 心地好く音楽に浸りたい人向き

 ローゼンクランツがその魂まで込めて作った電源タップ、ナイアガラを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。

 今回書くに当たって集中視聴をした時の記事(56号)を読み返してみたが今読んでもまったく変わらず、その時の興奮がそのまま文章になっている。また似ているようで微妙に好みが異なる三人がほぼまったく同じような評価をしている事も珍しい。リアル・温度感の暖かさ・空間のスケール・音楽に引き込まれる等々疑われても仕方ないほどの書き方だったがその場の空気が一変したのは紛れもない事実だったのだ。

 これらの評価からカイザーサウンドの音の傾向は推察出来ると思われる、つまりいかにもオーディオっぽい音や切れ味やエッジ感、迫力のみを追求する人、もっと大雑把に言うならば音を追求する人にはもしかしたら向かないかもしれない、心地好く音楽に浸りたい人のために作られた製品なのである。

 しかしいくらすごいと言っても50万円ではちょっと手が出ない(もちろん買える人には安いとさえ思われる逸品だしその価値は十二分にある)。なんとかこの感動をなるべく伝えながら安く出来ないかという無理な要求に応えたものが6月に発売されたナイアガラJr.であった。

 価格は三分の一以下(15万円)ながら電気関係ではナイアガラとまったく同じ物を使用して性能を受け継いだもの。スケール感と空気感ではやや譲るものの印象としてはナイアガラの80%ほど、他のタップと比較すればその音楽の存在感は圧倒的で聴いてすぐに購入を決意した人を何人も知っている。個人的にも事情が許せばすぐに購入してしまいそうなほどの魅力を感じてしまったものである。

 Jr.からSt.(スタンダード)へ

 そしてJr.でも高いという人のために、またローゼンクランツの音を電源タップでも広く知ってもらうために開発されたのがナイアガラSt.である。St.とはスタンダードの意味でありこれからの電源の基準となってほしいとの願いが込められているらしい。

 これ以上は妥協出来ないところで配線や構造・材質などについても細心の注意をもって製造と言うよりは制作されているものである。ここでその特徴的な部分を書いても良いのだがそれだけで1ページは越えてしまいそうだしそんな意味のないカタログ的な事よりもどんなものだったかの印象を伝える方が大事なので割愛する、詳細は直接尋ねてほしい。


 20万円ぐらいのタップさえ越える?

 11月某日エンゼルポケットにニコニコして訪れた貝崎社長が取り出したのがナイアガラSt.だった。「まあ聴いてみて」と言われてつなぎかえて出た音の最初の第一印象は「あれ? あんまり変化ないな」である。正直に言えばちょっと音が軽くなり空間も少しコンパクトになった。

 そこで気付いたのだが比較していたのはナイアガラJr.だったではないか!普通の音として馴染んでいたから気が付かなかっただけでやはりJr.は凄かったのだがそれと良い勝負をしたSt.はただものではない。


 後日、他のタップも合わせて数人で四種類ほど聴いてみた結果面白いように意見が一致した。今まで聴いた中でもやはりJr.は相当良い、無理出来るのだったらコレだろう。比較出来るものは三倍以上の価格になってしまう、何よりこの表現の方向ではナイアガラしか他にないだろう。

 Jr.に譲るとはいえ表現力、空気感、温度感などでは他のタップとは比較にならない。特にカイザーサウンドの特徴とも言える音楽の躍動感、血の通った音についてはもはや書く必要もないと感じるほどだ。

 5万円ぐらいのタップを考えているなら電源ケーブルは付属でも良いのでSt.を聴いてみるべきだ。こと音楽のエネルギーでは20万ぐらいのタップさえ越えるものがある、恐るべきタップだ、とにかく是非聴いてみてほしい!

AVvillage 2004年1月号 No.65 P186より転記

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