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身体は嘘をつかないですネェ!・・・。


 広島に帰ってでしか出来ない仕事がいくつか出てきたので、そろそろ帰らなくてはなりません。途中、2週間ほど前に購入を決めていたシトロエンXMブレークを引き取りに一旦金沢へ行くことになっています。東京から上越新幹線で越後湯沢までは新幹線で、そのあと、特急=はくたかに乗って金沢です。

 前回金沢に行ったときの丁度逆ルートになります。普段見慣れない光景に感動を覚えましたので、今回は車窓からでもいいからカメラに収めようと最初から準備をしての乗り込みです。すると、どこか見覚えのある人が乗ってこられました。はて・・・?、「誰だったかなぁ?」・・・すぐには思い出せませんでしたが、声に特徴のあるお方だという印象が先に浮かんできました・・・。そう、「小沢昭一的こころ」というラジオ番組で有名な小沢昭一さんでした。

 そうこうしていると、おしぼりをくれるのですが、この上越新幹線のグリーンだけはお茶とコーヒーのサービスがあるのです。気に入っていつもよく利用する、東京駅八重洲口にある「大丸」地下の「ご馳走や」というところで弁当を買って持ち込んでいます。今日のは「てんころ幕の内」1,000円の物。

京都大丸の出店ですから薄味です。 名水大清水を使ったコーヒーとお絞り。

 確か大宮駅だったと思いますが、線路の枕木と枕木の間に格子状のゴムマットが敷き詰めてあります。初めて見るものでしたので興味を持ちシャッターを切りました。帰ってからJRに勤務の私のお客さんに聞いてみるつもりです。また、高崎あたりまで来ると上州特有の空っ風対策の防風林がよく目立つようになります。

謎のゴムマットです。

 長いトンネルを抜け、越後湯沢が近づいたかというようにあたりの景色は一変して高原となります。スキー場、ロッジ、ホテルといった建物が目に入り、仕事モードからレジャー、リラックスモードへと気持ちが変わって行きます。

山の斜面はスキー場です。

 冬の雪深さで有名な十日町で電車は止まりましたが、ここで目に付いたのは家の造りがまったく違う構造を採っています。一階部分が鉄筋コンクリートで作られていて、それも高さが普通の7〜8分しかない上に2〜3階部分があるのです。ですから、どう見てもその部分は物置か車庫としてしか使えないと思います。

雪の宝庫十日町です。

 雪国ならではなのでしょう、その腰ぐらいの高さのところにぐるりと配管が施されています。あとで、おみやげ物の売り子さんに聞いたところ、「消雪パイプ」という名の物で、温かい地下水を汲み上げて雪を溶かす物らしい。彼女は沿岸部の直江津の方でそこでは見かけないそうです。

 米どころ新潟ならではの一面が稲田。こうした景色を見ると、生きていくことに安心感を与えてくれるようで心がホッと致します。コンクリートジャングルの中で生活するよりも、子供達には是非こういう土地で生活させてやることが出来たら・・・と、ふと思いました。

圧倒されんばかりの広大な稲田。

 「食」に対する安心感も重要ですが、「職」の安心感を与えるのが世の経営者達にとって最も重要なことだと感じました。この「農」というものから感じ取れるものは生きることにおいて正に「本物」であり、自分の携わっている「商」や「工」は「農」の迫力の前に圧倒されっぱなしでした。

 季節は緑から黄金色に変わろうとしている時(9月5日)でした。田園地帯から次は日本海の海辺を電車は走ります。普段見かける瀬戸内の海の景色とは同じ海といってもまったく違います。島影一つ見えず広がる水平線はこれまた雄大なものです。

日本海大海原。

 富山、高岡と次第に電車は金沢に近づいていたころ、ブル・ブルッと携帯が震え、その相手はこれからお逢いする予定のSさんでした。もう金沢駅の方で待っているとのこと。着いてからも前回で要領は得ているので、指定の待ち合わせ場所まですんなりです。

 しかし、2週間前とまったく同じ場所で、同じ人に逢い、同じ車を見るわけですから、何かバーチャルな感じがして「記憶組織が狂ったかなぁ?・・・」と、不思議な感覚を憶えました。本物の時に疑問を感じるのですから、普段いかにバーチャルなものの中で生活しているかということを証明するかのような出来事です。早速、車の引渡しについて必要な書類関係を受け取り、説明を受けたあとほんの10分ほどでSさんとはお別れしました。

 さて、これから譲り受けたばかりのXMブレークで広島まで帰るのですが、前回乗せていただいた時には気がつかなかった、コン、コン、コンという音が最初は少し心配でしたが、持ち前の向こう見ずで行ってしましました。日石でガソリンを入れ、福井あたりまでは車の調子を見るべくあまり無理をしないで90キロくらいで走りました。

 それより何より一番ビックリしたのは、警報装置がけたたましく「ピロ!、ピロ!、ピロー!」と鳴った時です。私はこの手の物を付けたことがありませんので、てっきりXMからの警告かと思い、これには1本取られました。
  
 大体車の状態が分かって来ましたので、そのあとは110〜140くらいのペースで走っておりましたが、米原あたりに差し掛かったころでしょうか、山陽道の神戸北と三木の間で事故があり通行止めとの電飾情報が目に入ってきます。

 こうなったら少し時間稼ぎをするのが得策と思い、多賀のサービスエリアで30分ほど休憩をとります。吹田のジャンクションに差し掛かっても通行止めは解除されておらず、しかたなく、そのまま直進して阪神高速に乗ります。多賀からノンストップで兵庫県の明石まで一気に距離を伸ばしましたが、次第に眠たくなったのでそこで1時間ほど仮眠しました。

 その後は自分でも珍しいほど調子が良く、広島まで休憩無しで帰ることが出来ました。私の身体は正直に出来ていますので、疲労感無く走れた証なのだと思います。もう何年も乗っているかのごとくXMブレークは私に馴染んでくれたようです。

3リッターですが意外と高燃費で11km/L走りました。

 650キロの道のりでしたが、非常に快適な運転が出来、午前3時に広島に着きました。これからは商売の上で稼いでくれる頼もしい相棒となるわけですから、手を入れてやる必要がある所には入れてやり、愛情を持って接してやろうと思っています。また、もう一台のセダンであるXM-Xも今日確認したところでは致命的なところは無く、25万円強で車検が受けられそうです。

信じられないほどの積載量です。

 セダンとブレイク、「イグザンティア」から「XM」に変わっただけで、何一つ変わらなかったという結果は、途中で反抗期があったりして、親である私に心配を掛けたりしましたが、まるで二人の息子が学生から社会人に成長したようなものでした。

 一般的には維持費が掛かると思われていますが、デコレイティブな事にはあまり金を掛けず、実用面において決して金をケチらない、そうした思想がシトロエンからうかがえるフランスの強みなんでしょう。

イグザンティアVS-X イグザンティア・ブレーク
セルフセンタリング機構の付いたセダン。 5m近い大型ワゴン。

 今回の車騒動の結果は、私という人間をあるがままに泳がしてみることによって、微動だに狂いの無い価値観を自身で体得することが出来て大変有意義でした。「身体は嘘をつかないですネェ!・・・」。私にはシトロエンがピッタリ来るようです。私もこの会社ならサラリーマンが勤まっていたかもしれません。


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