第13回 音と人間の関係
A&Vvillage 3月号 第66号 P84〜P85

貝崎静雄(カイザーサウンド)

  ● 人間の耳と脳の関係
 人間というものは、何も高い音から低い音まで幅広く聞こえる事が、音や音楽に対してリアルに感じたり感動を覚えたりするものではありません。むしろ広くなる事によって、真中が薄く感じるようになり、かえってそれが判り難くなるのです。人間の耳は人間の声、すなわち人が何を考えているのか?その感情を聞き分ける為にあるのです。

 もっと積極的に私の考えを述べますと、生命の危険を感じた時に発する悲鳴、また赤ちゃんの鳴き声、これらの音域が音として一番遠くへ届きます。すなわち人間は生きて行く為にこの音域を基軸に声を発生したり、聞き耳を発達させてきたのです。


  ● 何の為に人間の耳は付いているのか?
 そうである以上、スピーカーもそうあることが自然と思います。あらゆる動物に対しては、武器を持ってすれば打ち負かす事が出来るので、今ではさほど怖い存在ではないのですが、人間は最初から、だまそうという考えを持って近寄ってくる事もあるので、それを見抜く事が一番難しいとされています。すなわち人間にとって、悲しいかな人間が一番怖い存在でもあるのです。その為に人間の耳はあるといっても言い過ぎはないと思います。


  ● 生命感に溢れた音
 ここで私が何を言いたいのか?それは、「エネルギー軸」と「時間軸」に対してリアルな音こそが、人間にとってその心の奧の感情まで感じ取るのに、何をおいても一番重要な要素なのです。それを一言でいうと、すなわち生命感に溢れた音という事になります。 この生命感に溢れた音が先ず最初にありきなのです。そうでない音は、いくらワイドレンジであっても私には何の魅力も感じません。ワイドレンジはそれが出来た後の問題です。


  ● 耳と口の関係
 同じ音を聞いても人によって聞こえ方に違いがあります。耳道の太さやカーブ、鼓膜の厚さや大きさの違いによっても大きく変わるでしょう。頭蓋骨の形状は脳内リスニングルームと考えられないでしょうか?。親子や兄弟の声が似ているというのは骨格が似ているからです。

 もっと正確には、聞こえ方が似ているからこそ、むしろ声が似ているのです。それは、耳が聞こえないと喋れない事からも分ります。すなわち耳と口は一体の関係にあり、常にプラスマイナスでゼロのバランスを保っていると思います。

 そして、その耳と口の周波数スペクトラムの関係は逆相関係にあるようです。ちょうど低音を圧縮して記録した物をフォノイコライザーアンプの逆相カーブによってフラットにする仕組みとよく似ています。また、ノイズリダクションの様に高域を持ち上げて記録した後、下げるのも同じメカニズムです。

 この関係が分ってくると、その人の声を聞いただけでどんな聞こえ方をしていて、どんな音を好むのかという事が解明されても何の不思議もありません。仮にそうなったとすれば、その人の欲する音が簡単に作れるようになるかもしれません。


  ● 正反対ほどの聞こえ方
 単線を好む方は元々の聞こえ方が低音過多気味なのでしょう。その為ソリッドで締まり気味の単線が丁度良いバランスに聞こえるものと思われます。また、寺島靖国さんの場合はそれとはどうやら逆で、低音が不足気味に聞こえるみたいです。だから、誰がどう聞いても膨らみ気味の低音を好むのです。それで彼にはちょうど良いのです。

 この両者の聞こえ方の違いをお互いがお互いを批評した言葉があります。4ミリ単線の主張者47研究所の販売元である、シュテルンの寺村氏が寺島氏の音を聴いて、「牛のよだれ」と言い放ったのは有名な話です。それに負けじと寺島氏が寺村氏の音を、「かえるの小便」とやり返したのです。

 どちらがどれくらい偏っているのかは別にしても、それほど両者の聞こえ方は正反対なのです。しかし、私が思うのはどちらの言っている事も正しく、また、どちらも自分で良いと思う音がこの先変わる事はないのです。それは10円玉の表と裏を両者が見ているようなものだからです。


  ● 同じ物を聞いても人によって感じ方が違う例
 前回B&Wスピーカー専用のエボニー製フェーズプラグの事を取り上げましたが、幸いにも多くの方達からその体験レポートを頂戴し貴重なデーターとなりました。同じ物を聞いても人によって感じ方が分かれるという好例です。


< 音と音楽の境目 >


 ★ 今までいろいろなフェーズプラグを購入し音の変化を楽しんでいましたが、どの商品についても一長一短でオールマイティで満足できる商品に出会いませんでした。いろいろなケーブル、インシュレーター、ボードも変えてみましたが、なかなか思ったとおりの音を奏でてくれなくストレスがたまっておりました。

 ・・・が、このフェーズプラグに換えた瞬間!、何もかもが無駄だったことに気づかされてしまった次第でございます。まるで、コンサート会場で生演奏を聞いているような気分になり、次第に瞼が重くなる自分に気づきました。

 今までの自分は、音楽を楽しんでいると言うよりも、音の違いを楽しんでいたような気がします。アクセサリーを変えることによって音自体は変わりますが、音楽性は思ったほど変わらなかったため、次から次へと無駄なお金と時間を費やし罠にはまってました。

 オーディオが音を出しているという状態から、音楽を奏でているという状態に変わった瞬間かもしれません。このフェーズプラグ”RK-PP”と、B&W専用インシュレーター”RK-BW”を装着した私の愛器N802は、やっと、思い通りの音ではなく、音楽を奏でることが出来満足しております。

 今まで録音は悪くないはずですが、ミニコンポのような音で再生されていたソフトが、こんなに良い録音だったと気づかされて、聴き直した物がたくさんできました。今から聴きな直すのは大変なことです。(うれしさ半分・・・)ということで、私の感想は終わります。

 こんな大変貴重な商品を開発していただきまして、大変感謝いたしております。今後共々よろしくお願い致します。九州に出てくる機会がございましたら、是非ともクリニックの方よろしくお願い致します。

 H.S


 ★ この度は、RK-PP及びDADDYを試聴させていただき誠に有難う御座いました。さて、約10日間 試聴させていただきましたが、当方現在某社純銅製のフェーズプラグを使用しておりましたが、どこか金属にありがちな生命感のない冷たさを感じており、RK-PPで、どこまで良くなるのだろう・・と思い試聴をお願いさせて頂きました。

 さすがにRK-PPに交換した途端、私が感じていた 生命感のなさは、うその様に解決し、ボーカルはもちろん各楽器に命が吹き込まれたような変化を感じました。また、試聴なされた方々が、おっしゃる通り、低域との繋がりが格段に良くなりユニットの一体感を感じましたのですが・・・・・・

 ただ、(個人の好みもあるでしょうが)現在の純銅製のプラグに軍配が挙がる様に思いました点がありました。それは、高域における空気感と、音場の広さ、奥行きそれに細かな分解能です。B&Wの良さである上記のポイントが、当方にはまことに残念ながらRK-PPに見出す事が出来ませんでした。

 K.K

< 否定派 >


 ★ 忠告に従って連続して聞きました。それなりに良い音で聞けました。しかしながら、真鍮に戻してみると明らかに音がクリアーになりました。長くエボニー製をつけていただけに衝撃的でした。最初は長く付けていればエボニーの方が良く聞こえてくると考えていましたが、そうはなりませんでした。

 真鍮の方が細かいニュアンスが出ることに気がつきました。また、暗騒音など明ら
かに真鍮製では聞こえるのに、エボニー製では聞こえない音もあります。前回は、エボニーと真鍮の差はあまりなく、音色的にはエボニーが若干優れていると思っていましたが、そうではなく明晰さがない分、音色が暖かく感じるだけとわかりました。明らかに真鍮製の方が優れています。

 S.N

< 肯定派 >


 ★ お世話になります、本日RK-PPが届きましてすぐ試聴しました。比較しましたのがこれも借り物ですが銅製のプラグです。これは2日程前に届いていた為、付け替えてそれなりに納得していたのでした。RK-PPに付け替えて聴き始めた最初の印象は”ちょっと地味かな?”でした。しかし聴き込んでゆくと、スピーカーの前に固まっていく自分を感じました。そうです、まさに音楽が鳴っていたからなのです。

 その後また銅製プラグに付け替えると癖のある音に感じられました。おそらく音楽を聴くのでなく、音を聴くのが目的であるならばこれ(銅製)でよいのでしょう。ですが私の目的は音楽を聴くことに他なりません。この音楽性溢れるフェーズプラグRK-PP、是非購入したいと思います。最後にお貸し頂きましたことに厚く御礼申し上げます。

 N.M


 ★ 音楽が生きている。聞いていて楽しい。(これは大事なことであります。)もう一枚LPが聞きたくなってしまう。フェーズプラグはそう言えば十分でしょう。アーゴやベツレヘムのズートの唇が濡れているのが分かるといったら大袈裟でしょうか。でも、そう表現したくなります。リーワイリーのマンハッタンに何度痺れたことか。

 クリスのバートランドも可愛らしいなー・・・アアー!。!10インチの世界にこのまま浸っていたい。この現世を超越した世界に我が魂を逍遥させていたい。しかし、もう寝ないと明日はまた、仕事、仕事。でも音楽が心を癒してくれるから、楽しい音楽があるから、また、明日も働く気力が湧いてくるのかもしれませんネ。

 H.K


 ★ RK-PP Selected 到着いたしました。天からの啓示のように、突然「音楽」が聞こえて来ました。いまは、その愉悦に身をゆだね、至福の時を持っております。貝崎様、本当にありがとうございました。

 N.T

A&Vvillage 3月号 第66号 P84〜P85に掲載されています。


 どんなご質問でもお気軽にお尋ねください。
郵便番号 135-0045
住 所 東京都江東区古石場2−14−1
ウェルタワー深川606
社 名 カイザーサウンド有限会社
担 当 貝崎静雄
TEL 03-3643-1236
FAX 03-3643-1237
携帯 090-2802-6002
E-mail info@rosenkranz-jp.com
URL http://www.rosenkranz-jp.com

backnext