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改革派経産官僚の古賀氏が辞表提出、26日正式辞職へ

2011.9.23 10:43

「改革派官僚」として知られる経済産業省の古賀茂明氏(56)は22日、経産省に辞表を提出した。古賀氏によると、26日付で正式に退職する。古賀氏は自身の退職に当たって枝野幸男経産相が判断することを希望していたが、枝野氏は20日の会見で「事務方に任せる」と発言。経産省の官房長からも退職を促されたため、辞表を提出した。


仙谷由人官房長官に、昨年10月15日の参院予算委員会で、政府参考人として菅内閣の天下り対策に批判的な答弁をしたキャリア官僚に対し「彼の将来が傷つき残念だ」と、公衆の面前で発言された事が人事権の発動とも恫喝とも取れるとして、自民党から声が上がり大問題となった人物がその古賀茂明氏である。

官僚内から自浄作用が働こうとしていた国民サイドに立った古賀氏が、利権を離そうとしない主流派にはじき出されたのだ。最後は枝野経産大臣の判断が待たれたが、事務方に任せると逃げた枝野大臣には大いに失望した。

今後古賀氏がどんな生き様を見せてくれるのか大変楽しみである。是非総理大臣を目指して欲しいものである。

以下は古賀氏が経産省官僚時代にインタビューに答えたものだが、全てに核心を突いていて、日本が沈没していく様子が赤裸々に語られている。官僚は国の為ではなく、省庁の為に働き、自己の利益に奔走している。


「霞が関」批判の現役経産省官僚、古賀茂明氏インタビュー

2011.7.1 11:30

政治主導失敗、利権に酔う官僚

現役の経済産業省の官僚でありながら、現政権や「霞が関」のあり方を批判し続けている異色の官僚がいる。近著「日本中枢の崩壊」がベストセラーになった古賀茂明氏だ。古賀氏は、首相や大臣の手足になるスタッフ制度の設立など国家公務員制度改革の実現を提唱する一方、民主党が掲げる政治主導は失敗し、その裏で官僚が利権拡大に走っていると指摘する。

古賀氏の主張の根幹にあるのは「官僚が国民のために働く仕組みになっていない」との思いだ。所属省庁別に実績を評価する現行制度の下では、官僚にとって天下り先の拡大が最大の目標になり、こうした人事制度を改革しなければいけないとしている。

古賀氏が掲げる改革案は、自らが成立に関わった平成20年の国家公務員制度改革基本法に基づく。政治主導での省庁横断的な幹部人事や首相、大臣直属の国家戦略スタッフ、政務スタッフ制度をベースにしたもので、縦割り人事と年功序列を改め、「国民のために仕事をしたかどうかで評価する制度」を求める。

政治主導を進めるとして政権交代を果たした民主党については、「官僚抜きで政策を進めようとして失敗した。結局、多くの分野で官僚が好き放題やっている」と指摘する。菅直人首相に対しても、「人気とりで政策を選んでいる」と批判的だ。

また、菅政権が進めるエネルギー政策に関し、天下りに象徴される官僚と電力業界のもたれあいの構造を解消しないままでは、政府が原発の安全性を強調しても国民は信じないと強調した。東京電力福島第1原発事故の対応の遅れも、「政治主導の失敗などの問題が凝縮して表れた」とした。

官民のもたれあいの解消策では、海江田万里経産相が電力会社に天下った経産省OBの辞任や原子力行政に携わった幹部を更迭すれば、「国民が『海江田さんだけは信用してもいい』と思う」と語った。

古賀氏は6月24日に経産省から退職勧奨を受けたが、海江田氏の真意を確かめたいとして態度を保留している。


国民のために働く仕組みない/原発事故対応、まずさ露呈

−−なぜ公務員制度改革が必要か

「最大の問題は、公務員が国民のために働く仕組みになっていないことだ。多くは、自分たちの役所の利益のために働いている」

−−役所の利益とは

「天下りをすれば70歳くらいまで生活が保障される公務員にとって、天下り先を増やし、そこに金が落ちる仕組みを作ることが最大の利益になる。政策や法律と一緒に天下り団体も作り、そうした天下り先はいつまでも廃止されずに残っている」

−−天下りに執着する

「例えば国際協力銀行は平成20年に分割され、日本政策金融公庫と国際協力機構に吸収されたが、原子力発電所などのインフラ輸出を増やすと決まると、国際協力銀行を独立させることになった。官僚はそうした巻き返しまでやる」

−−改革案はあるか

「今は役所ごとに仕事が評価されるので、自分の役所の利益を拡大した人が評価されるし、何もしなくても年功序列で確実にポストや給料が上がる。縦割り人事や年功序列を改め、国民のために仕事をしたかどうかで評価される人事制度にすべきだ」

−−民間と比べると評価方法に差がありすぎる

「民間も昔は公務員と似たところがあったが、他企業との競争上、能力による人事評価に変えていった。役所には競争がないので、昔の仕組みが残っている」

−−民主党は官僚依存から脱却するはずだった

「政治主導とは、政治家が官僚を上手に使って政策を進めること。だが、民主党は官僚抜きで政策を進めようとして失敗している。政治家がすべての政策に関心を持てるわけではないので結局、政治家が目を向けない多くの分野で官僚が好き放題やっている」

−−本来の政治主導をどう進めればいいか

「首相や大臣になる人なら、実現したい理念や政策があるはず。それを共有してくれるスタッフを持つべきだ。理念や政策に反対しそうな勢力を見据え、その勢力を説得する戦略を練ることができる人材を、民間からでも官僚からでも登用すればいい」

−−現政権への評価は

「個別の政策では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加や消費税増税といったものがあるが、確たる理念が見えない。『最小不幸社会』という言葉は非常に抽象的で、浜岡原発を止めたときも、エネルギー政策の中で原発をどう位置づけるかという理念との結びつきがなく、人気とりで政策を選んでいるように思える」

−−民主党政権の問題か

「小泉純一郎政権は『民でできることは民で』の理念を掲げ、郵政民営化という個別の政策を実現した。安倍晋三政権も『美しい国』という理念のもとで、教育基本法を改正した。福田康夫政権以降はそういう姿が見えてこない」

−−資源エネルギー庁前長官が東京電力に天下っていた

「こういう天下りが国民の電力行政への不信感を増幅させている。東電福島第1原発の事故後に電力会社が安全対策を取って、それを経済産業省が確認したといっても、国民には『お手盛りの検査』に見える」

−−事故対応に響いた

「天下りや政治主導の失敗などさまざまな問題が、事故対応のまずさに凝縮して表れた。首相が現地に乗り込み、事故対応が遅れるという事態はあってはならないことだった」

−−どうすればいい

「海江田万里経産相が、各電力会社に天下りしている経産省OBに辞任を求めるとともに、過去の原子力行政に関わった幹部を更迭すれば国民の疑念は薄らぐ。官僚の反対を押し切って実施すれば、国民だって『海江田さんだけは信用してもいい』と思うだろう」

−−一方で、官民の人事交流は必要だとしている

「究極的には、優秀な人材ならば、能力本位で行政にもビジネスにも関われる世界になるべきだ。若い官僚が民間でのコスト管理、競争、顧客志向の考え方を学ぶことは有意義だ」

−−官僚は抵抗する

「今のままでは、40代の国際企業の役員を役所の課長として採用できない。年功序列を崩すことが必要だ。民間人が1人か2人では、官僚は仕事に協力しないだろう。やるなら大量に民間人を入れる必要があるし、政治の強い意志も求められる。霞が関の若手には改革を支持する声もある。優秀な人材を抜擢(ばつてき)するためにも、縦割り人事や年功序列の改革が必要だ」

−−経産省は退職を勧めている

「6月24日に退職勧奨を受けたが、人事権を持つ海江田大臣の意思かどうかが不明確だ。直接、大臣に会ったうえで、退職するかどうか決めたい」(小雲規生)


プロフィル 古賀茂明

こが・しげあき 昭和30年、東京都生まれ。55年に東京大法学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。産業組織課長や産業再生機構執行役員などを経て、平成20年に国家公務員制度改革推進本部事務局審議官。国家公務員制度改革基本法の成立に尽力したが、21年12月から経産省大臣官房付。5月発売の「日本中枢の崩壊」(講談社)は16万部のベストセラーに。

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