トップノウハウローゼンクランツ音の原点

ロ−ゼンクランツ 音の原点とその製品開発アプロ−チについて

ケ−ブル編

@ロ−ゼンクランツ・ケ−ブルの理論と構造

   「0.6ミリ」の線形径がすべての音のバランス点だ。
   独自の3パラ構造(3本寄り線)は、低〜高域の時間軸を一致させる絶妙のアイデア。
   ケ−ブルは見たまま、触ったままの音がする。極端はダメ。
   ちょうどいい状態が音質的にもベストなバランスになる。


  これがロ−ゼンクランツの考え方の基本です。例えばギタ−のガットを例にとってみましよう。太いスチ−ル弦をはじくと、「ジャ−ン」と太くて力強い音はするけれど、繊細さは出てきませんねその反対に細いナイロン弦を張ったギタ−だと、柔らかくて繊細なタッチ感は味わえても、今度は逞しいエネルギ−感のある音がでてこない。これは私たちがしばしば経験していることでしょう。
 音楽信号の通り道であるケ−ブルの場合も、全く同じことがいえます。
問題は「線径」が太いか細いか!……。
  一般的にいえるのは、多芯形の細いケ−ブルではクラシックの繊細感がでてきます。メロディラインや響きの美しさ、漂うような倍音成分を大事にするクラシック系ミュ−ジックの場合は、ある程度細い芯線のものでないと、この一番おいしい部分がうまく再現できませんね。
基本構造図  ジャズはこれとは正反対です。太いアタック感やリズムを中心としたキレ味やエネルギ−感というものは、やはり太くて固いケ−ブルで聴いたほうが断然リアルなサウンドとなる。というわけで、世の中のケ−ブルは大きくクラシック向きか、ジャズむきかに二分されているわけです。しかしそれはではいけない!とロ−ゼンクランツは考えます。
  ケ−ブルに得意、不得意があるのは可笑しい。ケ−ブルはスタ−トダッシュが勝負の短距離選手でもいけないし、持久力だけが自慢のマラソン選手でもいけない。短距離も長距離も何でもこなす、中距離ランナ−。あるいは十種競技の選手でありたいと願っているのです。 トライアスロンや跳躍、投てきなどあらゆる競技のバランスがよく、音楽でいうならジャズ、クラシックの区別なくどんなジャンル、いかなる楽器にもついていけるオ−ルマイティなフットワ−クをバランスよく持っていることが大事。
  この「音の強弱と緩急」が自在に表現できる、そして「低〜中〜高域で位相ズレの起こらない(あらゆる周波数領域での時間軸の一致)」ギリギリの線径として選んだのが「0.6ミリ」というサイズなのです。構造図を見ていただくと、「0.6ミリ」の芯線のまわりを6本の線が囲むような構造……
  このOFC純銅×7本がベ−スとなっています。しかも行きと帰りをきっちりと別けて、+の7本と−の7本を螺旋状によったもので、その上に綿布を丁寧に巻いて仕上げています。 この3つをパラでよじった3パラ構造が、ロ−ゼンクランツの大きな特徴となっているのです。
 
 このユニ−クな構造がタテ、ヨコ、タカサの立体的な空間表現(パ−スペクティブ)を可能にしているわけですが、わかりやすい例ではトンネルに例えられるでしょう。1車線のトンネルと3車線のトンネルの違いです。独立した通路が3倍あって、しかも行きと帰りの対面交通。これなら車同士(信号)の接触事故もなく実にスム−ズに流れますから、S/Nや分解能の向上にもつながるわけですね。
  また、アンプとスピ−カとの関係。電力伝送の面でいうと、高速道路のゲ−トに例えられかもしれません。交通量の多い道路でも、ゲ−トが沢山あればスム−ズに流れるように、無理をしないでスピ−カを悠々とドライブできるのです 。いくら500Wや1kWのハイパワ−アンプでしゃかりきになっても、スピ−カケ−ブルの部分が便秘を起こしていては無用な交通渋滞を招くだけです。
  これはエネルギ−の源である電力(AC電源)を供給するための、電源ケ−ブルについてもいえることですね。 但しRCAピンケ−ブルの場合は、より微弱でデリケ−トな信号を扱うので、スピ−カや電源ケ−ブルと同じままの手法、構造でいいというわけにはいきません。「0.6ミリ」だけでは、高域の繊細感や微妙なニュアンスがもっと欲しくなる。
 そこで、そのカバ−のためにさらにギリギリの太さ細さを研究して「0.07ミリ」の極細線を併用する手法を考案しました。これは髪の毛くらいの極細OFC純銅線で、770本を束ねて使用ているのです。 これでようやく、バイオリンやチェロなどの馬のしっぽでこする繊細極まりない感触、弱音のデリカシ−が再現できるようになりました。

A素材は大事だが、もっと大事なのは被覆を含むケーブル構造全体をどう作り込むかだ
天然綿100%の手巻き6重構造で、音の通気性、躍動感の高まりは圧倒的
ケーブル構造の図  では次に、被覆に注目してください。手で触ったみるとおわかりのように、ロ−ゼンクランツケ−ブルは重いガチガチの被覆は使っていません。絶縁性や機密性の高い樹脂系の素材……
  つまりPVCやナイロン、ポリエステルなどで厚く厚く芯線部を覆いますと、ダイバ−がゴムのウエットス−ツをまとったように、体にピタッっと密着して動きが悪くなるからです。ノソノソとしか動けない澱んだ音。ヌケの悪い窒息したような音。これでは気持ちよく音楽を楽しむどころではありませんね。そこで思いきって被膜を剥ぎ取ってやると、「やっと楽になったよ!」とでもいいたげに、俄然フットワ−クのよさが生まれてきました。脱ぎ捨てた動きのよさができた。そこに最低限の絶縁さえしてやればいいというのが、ロ−ゼンクランツの結論なのです。
  構造は、ズバリ図のとおりです。テ−ピングの素材として(100%の天然綿)を用いたのは、生き物が呼吸しやすいように、通気性や躍動性を考えてのこと。芯線との間に十分な空気層ができるため、音の動きやすさや血流のよさが段違いとなってきます。
  作る手順でいいますと……まず0.6ミリの6N銅×7本をプラスとマイナスに一本ずつシ−ルドしてツイストさせ、その上この天然の綿布を巻きます。さらに銅の編みシ−ルドをかけそれらと同じものを3組作ったら、これをツイストさせ後、さらにポロプロピレンチュ−ブに通して、最後に黒のネットをかけた6重構造。
   RCAピンケ−ブルでは前述のように、さらに高域用に0.07ミリ×770本を巻いた、大変複雑な構造となっています。

Bグレ−ドによって、1S、3S、3EXの3シリ−ズを開発。
素材の方向性に、ここまでこだわる!

  それだけではありません。
ポイントベ−スのところでも解説したように、これらのロ−ゼンクランケ−ブルにおいては、音の方向、響きの流れという自然の法則に則った「素材の方向性」に格別なこだわりをもっています。
 木の響きには3方向がありますね。内から外へ、あるいは板目とまさ目の方向といったように……。キャビネットもオ−ディオラックの棚板も、「左右、前後、上下」と3次元の方向があるわけですし、その点は木も金属もすべてに方向性が存在するのです。
 ケ−ブルの場合ですが、具体的には芯線の素材であるOFC純銅を、まず加工時の結晶方向(つまり圧延の方向)から方向管理しました。これに手巻で丁寧に巻き上げたコットンの防振材やその上の網シ−ルド、さらに熱収縮チュ−ブなど……方向性を決める要因にも多くの項目が存在しますね。
 ところが世のケ−ブルの中で、「方向性あり」をうたった製品は数多くあれど、実際はそこまで研究しているブランドは希有に近いのです。いや、皆無とさえ断言できるでしょう。そこに敢えてメスを入れ、徹底的なものづくりのマインドを貫徹したのがロ−ゼンクランツの真骨頂なのです。
 さてロ−ゼンクランツケ−ブルは、入門者向きハイCPモデルの「1Sシリ−ズ」。定番品ともいうべき「3Sシリ−ズ」(高級モデル)と。さらに頂点を極めたトップバ−ジョンとして「3EXシリ−ズ」の3ライナップを用意していますが、もちろん構造の細部や方向性へのこだわり度は、少しずつ異なって当然といえるしょう。
 まず、構造面から各モデルの違いを述べますと……
 一番シンプルな「1S(スピ−カケ−ブル)」の場合の基本構造は0.6ミリ×7本の芯線部にエアポロエチレンの絶縁を施し、その上に綿テ−プ、網組、12ミリ径の保護パイプに最後は保護ネットという内訳になっています。
 「3S」の場合は網組までは同じで、図のようにその3パラを24ミリ径の太いパイプの中に1本にまとめたもの。
 さらに最上位の「3EX」においては、3本のうち2本に高周波ケ−ブル(線径0.07ミリ)を抱かせて、12ミリ径のポリプロピレンチュ−ブに各々を独立して通し、その後3本を寄りあわせている。
 つまり、「1Sシリ−ズ」を3パラ構造としたのたのが「3EX」というわけです。

パーフェクトモデル
ロ−ゼンクランツ哲学の集大成ともいうべき“夢のケ−ブル”
=「4EXパ−フェクトモデル(特注品)」では、
芯線の素材からすべての被覆材、さらに端子の素材など
全13項目にわたって音の方向性を管理した。

 さて以上3グレ−ドのほかに、 実は“夢のケ−ブル”ともいうべき受注生産品を開発しました。その名も「4EXパ−フェクトモデル」。一覧表は、これら3モデルとの違いを比較したものです。構成パ−ツのどの部分の方向性まで管理したのか、ひと目でおわかり頂けますね。基本的な考え方としては、先ほどらい力説している信号の流れと響きの方向性。
 この両方の要素を、ケ−ブルのどの構成パ−ツひとつとっても「完璧に揃えきる」という姿勢を貫いたのです。そのパ−ツ数は何と13項目!製作までにまるまる8時間を要し、製作しては試聴、また製作………をく繰り返し、まさに血と汗の結晶ともいうべき完全ハンドメイドの逸品。
 ピンプラグやスピ−カ端子といった、端子部(接触部)にまで徹底してこだわりト−タルの方向管理を実現しているのは、世界に例がありません。
 中でも注目して頂きたのが、「電気の流れ」というものの解釈です。従来電流はプラスから、マイナスへ流れる。そして俗に「行き」と「帰り」といういいかたをします。その考え方からすると、ケ−ブルの方向性は+と−では結晶方向が逆になるはずですが、ロ−ゼンクランツでは聴感の結果、「+も−もスピ−カへ向かって同一方向へ揃えるのがよい」と結論づけました。
 この思想のもと、ようやく完成したパ−フェクトモデルの音を、ぜひ一度あなたの耳でお試し下さい。一聴してまるで世界が違うといった印象。際立つ分解能とS/N。何よりも、音楽そのものが淀みなく流れ出て、感動がふつふつと湧き出すはずですね。
 まとめとして、「エビフライ論」で締めくくりましょう。中身のエビは同じでも、どんなコロモを巻いているか。その構造や束ね方、さらにはそれらの方向性でケ−ブルはガラリと変わる。素材も大事だが、もっと大きく変わるのは構造だ。
 この明確な主張のもと、今日もこだわりのケ−ブル開発に取り組んでいるのです。

各ケ−ブルの方向管理一覧表
構成/モデル名 4EXパーフェクトモデル
(受注生産)
3EX 3S 1S
ピンプラグ (+) ――→ (−) ――→ 不揃い 不揃い 不揃い
プラグチャック 外側 ――→ 内側 ――→ 不揃い 不揃い 不揃い
線材 (+) ――→ (−) ――→ (+)―→(−)―→ (+)―→(−)―→ (+)―→(−)―→
防振材 ――→ ――→ ――→ ――→
網シールド ――→ ――→ ――→ ――→
ビニールテープ ――→ ――→ ――→ ――→
熱収縮チューブ ――→ ――→ ――→ ――→
防振、保護材
(ポリプロピレンチューブ)
――→ ――→ ――→ ――→
保護ネット ――→ ――→ ――→ ――→
ローゼンクランツ
ネームプレート
――→ 不揃い 不揃い 不揃い
スピーカーケーブル
Y端子
8ヶ全部 ――→ 選別良品 不揃い 不揃い

ロ−ゼンクランツ・ケ−ブルの使用上の注意。ケ−ブルの使い方。
〜「ROSEN KRANZ」の真鍮プレ−トの文字の向きに音楽信号は流れる
(Rが上流、Kが下流)。
方向の指示写真

  ケ−ブルには、つなぐ方向の特に決まっていないものと、ハッキリとマ−クなどによって指定されているものとがありますが、ロ−ゼンクランツケ−ブルはまさに後者の代表です。 
  1S、3S、3EXシリ−ズのいずれの製品も、真鍮のプレ−トがついていますね。これはスピ−カ、ピン、電源の各ケ−ブルにすべて共通です。このプレ−トはただの飾りではありません。製作の段階から、厳正な試聴によってキチンと方向性が管理されており、その極性をプレ−トによって示しているのです。
  文字の流れに従って、「ROSEN KRANZ」の「R」の文字が上流、「Z」が下流になるように、必ず極性を守って機器に接続するよう心がけてください。
  電源ケ−ブルの場合は、アンプなどの機器側とパワ−ソ−スである壁コンセントの側とで、端子のカタチそのものが違っているので(オス、メスで区別)、間違いようがないわけですが、スピ−カケ−ブルやRCAピンの場合は、ウッカリこのプレ−トの指示とは逆方向につないでしまった。ということが、ないともいいきれません。
  特に他のケ−ブルとつなぎ変えて比較試聴などをしているさいおこりがちなミスですので、これは細心の注意を払って欲しいものです。
 流れに沿った正しいつなぎ方の場合と、反対極性での場合とでは、聴いていただくとすぐにもわかる音の違いがありますね。何となく音がつまったような感じ、くすんだようなモヤモヤしたキレの悪い音であれば、それは逆極性でつないでしまった場合です。
  これを指示どおりに直して聴き始めると……。
 とうとうと水をたたえた大河が流れるように、音楽が川上から下流方向に、「自然の摂理」どおりに流れていく様子が、ハッキリと感じられますね。
  体全体がリラックスしてくるような気持ちのよさ、ほぐれや広々としたステ−ジ感のでき方など、一聴瞭然です。
なお、ロ−ゼンクランツケ−ブルは単独でもそれぞれに素晴らしいものですが、電源ケ−ブル、ピンケ−ブル、そしてスピ−カケ−ブルと3つ揃えて使っていただくことが高い相乗効果をうみ、ベストの能力を発揮します。

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