トップノウハウ一気に2本の専用電源ケーブルの開発に成功!

一気に2本の専用電源ケーブルの開発に成功!



クロックジェネレーターには弊害もある

 ローゼンクランツのウェブはあまりにも膨大な情報量なので、書いた内容こそ憶えているものの、果たしてどこのページだったか探すのに苦労することがあります。そうです、それはこれから書こうとしている「クロックの同期」についてです。

 「デジタル機器の性能が上がれば上がるほど、音は良くなる傾向にあるのだけれども、肝心要の音楽の良さが遠のいて行くような気がする」と、どこかに書いたはずなのですが直ぐには探し出せませんでした。

 その「私の感覚に間違いはなかった!」と確信に至る出来事が最近立て続けに起こったのです。


誰も異論を唱えないクロックの落とし穴

 クロックの同期を取るのはデジタル機器群のみです。プリアンプやパワーアンプのアナログ機器類はその仲間に入れてもらう事が出来ません。従いまして、水晶発信機であろうが、ルビジュームであろうが、精度が高ければ高いほどアナログ機器とのタイミングは差がつく一方になります。まるで勝ち組と負け組みに別けられたみたいです。それは貧富の差が大きくなりつつある今日の世の中にも似ています。

 思い起こしてみますに、デジタル機器のないアナログ時代には、現在のような不快な症状を訴える人は一人もいませんでした。音の性能に差があっても、どんな装置でも音楽が楽しめました。今日の一番大きな問題は、製品のグレードやその金額の多寡と関係なく、音楽を楽しめないケースが多い点です。また、ストレスという言葉もデジタル機器の誕生と時を同じにしているのではないでしょうか?。デジタル機器がこの世に誕生して四半世紀ですが、未だに両者がガッチリと握手出来ないでいるのです。


デジタルオーディオに見切りをつける人がけっこういる

 ハイエンド機器を買うだけ買って自分好みの音作りを試みても、イメージする音楽を手に入れられなかった。そんな時に、ふとビンテージスピーカーを聴いてそちらに走る方が結構いるのです。50年前に逆流する事への抵抗があったとしても、「これこそが求めていた音楽だ!」と身体が正直に反応するのですからどうしようもありません。

 それに待ったを掛けられないのは、私自身も含めて業界人としてのプライドはズタズタのはずです。そんな時ほど無力感を感じることはありません。バブル崩壊以来、失われた10年と言われて久しいですが、50年前の機器に負かされるのは正直言って非常に悔しいです。それほどまでに、デジタルとアナログの真の意味での共存が難しいのです。
 
 幾多の優秀な人材を持ってしても未だに解決出来ないでいるのですが、「カイザーサウンド」では、その音楽性の秘密と解決法が何とかモノになるところまで漕ぎ着けました。その一つがDAコンバーター専用電源ケーブルの開発です。


DAコンバーター専用電源ケーブル(AC-DA614)の開発

 DAコンバーターだけは他の機器と違ってデジタルとアナログの二つの信号を扱います。全く言語の違う二ヶ国語を喋るバイリンガルなのです。そうであるなら、単一語しか喋れない他の機器と動作のあり方に違いがあるのは当然です。しからば、自ずとDAコンバーター専用の電源回路や電源ケーブルが必要なはずです。そんなイメージが出来た1年半ほど前に開発に着手しようとしたのですが、その後どうやっても設計図が書けませんでした。
 
 それがこの最近、ひょんな事からひらめいたのです。方向性の見直しに始まり、戸籍簿順にもメスを入れ、その結果、プロトタイプながらDAコンバーター専用電源ケーブルが完成したのです。その名はAC-DA614です。その記念すべき6月14日の日にちをそのまま型番にしたのです。それぐらい私にとっては忘れられないオーディオのターニングポイントとなる出来事でした。デジタルという無敵のボクサーに対して、カウンターパンチで初めてダウンを奪ったような感覚でした。また一つ「音のカラクリ」を暴きました。


逆起電力の考え方に疑問

 その気になるDAコンバーター専用電源ケーブルの音なのですが、押し一辺倒の音から引き際の音までも同じようにダイナミックレンジが上がってきたのです。すなわちクレッシェンド時と同じくらいの表情がデクレッシェンド方向にも見えるようになったのです。催眠術を掛けられたようにスピーカーが自在に動く感じと言えば分かってもらえますでしょうか・・・。

 常に問題とされるスピーカーの逆起電力など全くゼロのようです。強力な電流供給能力こそが逆起電力を防ぐという考え方を私も長年信じていましたが、ACケーブルの設計次第でこの鳴り方の変化が生まれることを見れば、逆起電力という考え方そのものに間違いがあるのでは?と思うようになって来ました。パワーではなく技、すなわち理に適った構造が解決したものと思います。

 JBLの4344MkU38センチ口径のスピーカーもまるで無重力のように軽々と動くのです。ですからスピーカーの音として認識するような事はありません。目に浮かぶのはミュージシャンの姿と楽器だけです。特筆に価するのはこうした大型スピーカーであっても、ミニマムボリュームで音楽の迫力を感じ取れる事です。


電源工事をしても音のバランスを崩す事がある

 クリニックとセッティングをさせて頂いたお客さんから、『おかげで毎日音楽を聴くのが楽しくて仕方がない』と喜びの声を聞かされていたのもつかの間、『電源工事をして以来、音楽を聴く気がしなくなった』と沈んだ声で相談がありました。「エージングが進めば・・・!?」と、待ってもみたそうです。こなれ具合こそ少し良くなったけど、それとは根本的に違う何か他の原因で、バランスを崩しているに違いないと判断されたようです。勿論悪い事ばかりではなく、音質面においての向上は認めつつも、気持ちとは裏腹に身体が聴きたくなくなるのだそうです。人間とはそういうものなんでしょうね・・・。
 
 お伺いして判ったことは、音楽にとって一番大切なテンポやリズムが崩れていました。配電盤から強力な三相用のケーブルを引いたのはいいのですが、その長さがまちまちなので足並みが揃わないのです。これは決してエージングで解決出来るものではありません。オーディオ専用電源工事の考え方は、各々の機器に独立したブレーカーを用意し、余裕のある電気とクリーンな電気を供給する事にあります。

 この考え方に間違いがあるとは言いません。6個、8個と機器の数だけコンセントが用意されます。でも、そのケーブルの音の良い長さまでは考慮に入っていません。料理で言うなら魚の鮮度は文句なしなのだけど、調理法と包丁の入れ方が合っていないと言ったらいいのでしょうか・・・。素材が良いが故に、わずかな差がかえって大きく出てしまうのです。

  「音質が良くなる事」と「音楽性が良くなる事」とは別の話です。その両輪で良くなっていく事が望ましいのです。その序列は音楽性が優先すべきです。どなたの心の中にも機器の音の良し悪しを超えて音楽を聴いて感動した体験をお持ちのはずです。そんなコンディションをお届けしたいものです。


電源タップ「ナイアガラ」シリーズの優位性

 それは1点集中アース方式によって各コンポーネントの足並みが揃う事にあります。購入された方達の感想は異口同音で、『音から音楽に変わった!』に集約されます。ただ、そのナイアガラのタップを使ってしてでも、未だヘッドフォンで聴くスピード感のあるリズミカルな音には素直に申し上げて敵いません。そしてまだ生音に比べるとわずかにタイムラグがあります。

 一体何が不足しているのだろう・・・?。コンポーネント以外は全ての方向性を揃える事もしました。インシュレーターに限っては瞬間に反応するところまで追い込みもしました。「電気の時間軸」、「加速度組み立て」、「空間の時間軸」、「振動の習性の研究」etc・・・。ありとあらゆる角度からトライしました。
 
 ステレオ機器としての理想を描き、試みるだけの事もしてみて、ほんの僅かでも理想とする結果に到達出来ないとすると、視点を変え別の方法でトライするしかありません。

 そのヒントは、良いはずの電源工事をしてみても音楽の足並みが崩れる点にありました。工事をした事でタイミングを失ったわけですから、やり方次第ではベストタイミング、ベストポジションがその同一ライン上の中の何処かに必ずあるはず!。ならば、先回りしてそのタイミングを待つぐらいの余裕を持てば、各機器の足並みを揃えることは可能ではないのか?。


タイミングの問題

 電源トランスの巻き線の先に繋がるACインレット端子までのリード線の長さの違いによってそれぞれ微妙にタイムラグがあります。それはメーカーの数だけ、またその機器の数だけ、スタートダッシュや踏みきりのタイミングに違いがあります。楽器の調律とて同じです。違う種類の楽器を各自『しっかりとチューニングして来ました!』と言っても、音合わせ無しで、そのまま本番に入ったら不協和音で大変なことになるでしょう。

 誰かの楽器に合わせて再調律する作業が必ず必要になります。オーディオ機器もこの工程をどこかに入れない限り音楽には到底辿り着きません。その方法論を皆さんで考えて欲しいのです。揃っていない状態の物の集まりだという事を初めから認識し、みんなの知恵で揃える事に努めるという考え方から始めない限りはコンポーネントから音楽は生まれて来ません。
 
 例えて言うなら、仲間の中に集合時間に遅れる者がいたとします。スピーカーという最終現場で各自待ち合わせをするから集合時間がまちまちになるのであって、実際よりいくらか早目の余裕ある時間を告げ、待ち合わせには電源タップという一歩手前の場所に決めます。そこで全員が揃った事を確認した上で、目的地のスピーカーまで一緒に移動すれば間違いなく出音であるスピーカーの足並みは揃うはずです。

 この理屈をコンポーネント間で実現出来たらスピーカーは理想どおりに動いてくれるのでは?・・・・。それには配電盤から最終の各コンポの間で成し遂げれば良いはずです。アナログ機器、デジタル機器を問わず、電源回路が繋がっている事が不利に働く事もあれば、繋がっているが故に有利に働く事があるはず。これこそががキーワードです。この仮説と直感には間違いありません。あとはそれを達成する為にどういうメカニズムをその回路の中に仕込むかに掛かっているだけです。


指揮者に相当する電源ケーブル(AC-Music Conductor)の開発

 ミュージシャンもデュエットですとアイコンタクトで完璧に音楽のタイミングが取れますが、人数が増えるとそれも不可能になります。渾然一体となる為には必ず指揮者が必要となります。オーディオ機器達の中にも誰か一人指揮者の役割を持つ者が必要なようです。指揮の勉強をした人から聞いた話ですが、タイムラグを見込んでタクトは僅かに速く振られるそうです。

 そのコンダクターとしての役割は、コントロールアンプという名がついておりますように、オーディオシステムの最適コントローラーはプリアンプが良いのではないでしょうか。こうしたフォーメーションのイメージが出来上がったらしめたものです。あとはそれに向かってまっしぐらです!。

 各機器の動きがコントロールアンプの下に繋がっている家計系統図を思い浮かべてください。この図式を電気的に完成させればオーディオコンポーネントの一糸乱れぬ組織に生まれ変わるはずです。
 
 こうしたイメージを基に、とうとう完成しました!。

 AC-Music Conductorと命名しました。
 
 そのAC-Music Conductorは、強力な支配力で、全ての機器を統率します。繋いで直ぐの音はひどいもので、音楽はバラバラになり、ぐしゃぐしゃに崩れてしまいます。30分ほどこの不快な音は続きます。事前の説明なくしては、このケーブルの音を受け入れられる人は一人もいないでしょう。しかし、30分を境に潮目が変わり、今まで聴いた事の無い一糸乱れぬ足並みの揃った音楽が目の前に現われるのです。こんな種類の変化は今まで誰も経験したことがないでしょう。


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