トップノウハウ振動の時間軸の研究

振動の時間軸の研究


ピアノにも”1kaiser”が採用されている? 2002/10/29


 全部で88あるピアノの鍵盤の右端にある最高音の基音部分にあたる発音弦の長さ(スピーキングレングス)が、実は平均すると52,5ミリ(0,05kaiser)だと言うのです。「ええぇぇ〜!」と言う感じです。死に物狂いで見つけた「音の波動のモーメントの瞬間」を捕らえた言って、4年ほど前に大騒ぎしたものです。

52.5mmのスピーキングレングス。

 ローゼンクランツ製品は、私の立てた仮説を元に音の良い長さの単位105ミリの整数倍によって設計されていますから、音が音楽に生まれ変わるのは実はこうしたところに秘密があったのかもしれません。これで、また一つローゼンクランツの「音のカラクリ」が証明されたのです。


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「音楽電振エネルギー」の正体とは? 2002/02/05


 「電気」と「振動」が一つになって「音楽エネルギー」として、私たちに語りかけて来るものが「音楽電振エネルギー」であると説明してきました。しかし、これだけでは十分に分かって頂けにくいでしょうから、日常の生活の中で感じることを例にあげてみる事にいたします。

 喜怒哀楽の感情がごく自然に表情に出る人と、それがうまく表現できない人とがあります。同じディスクを聴いた時でもステレオ装置によってそのことと同じような印象を持つことは経験上ご理解いただけると思います。

 元々、子供というものは本能のままに自分というものをさらけ出すのが自然なのですが、社会生活を営んでいく上で必要なマナーを身に付けさすために、親は「それをしてはいけない」とか、「こうしなさい」とか、時にはきつく「しかることもあります」。そうしているうちにどのような場面にどうしたらいいのか判らなくなって、自分らしさを表現できなくなってしまうのです。

 人間がそうであるように、ステレオだって同じです。機械には感情など無いはずなのに、何故そのような事が起きるのでしょう?それはそうしたくってもそうさせてくれない原因がそこにあるからなのです。電気や振動が「流れにくい素材」があったり、また良い素材であってもそれらが「流れにくい方向」に組まれていたりとか、また決定的なのは「理屈に反した形状や構造」の場合です。このように邪魔をする反対勢力が多ければ多いほど、手かせ足かせとなって元の情報どおりに素早く正確にスピーカーを動かせなくなるのです。

 即ち、「電気と振動」=(音楽電振エネルギー)の一瞬のたじろぎや戸惑いが信号を後ずさりさせ、またひどい場合にはそれがループ化し、アンプにフィードバックがかかり音を濁してしまうことにつながる訳です。人の脳も良くも悪くも色々な指示命令を出すように、ステレオにおいても目的とは違った指示命令を出すからに他ありません。

 ローゼンクランツのインシュレーターやーブルを使うと、「音楽が楽しく、また気持ちよく聴けるようになった」。・・・と、頂く言葉は皆さん決まって共通です。それはとりもなおさず「音楽電振エネルギー」の方向がリスナーへ向かって気持ちよく流れているからであります。

 特に顕著な例はスピーカーケーブルとスピーカーの間に装着するローゼンクランツ独自の音質改善グッズ=スピーカーアタッチメントの効果はゴール前でラストスパートをかけたように音楽のエネルギーがパワー全開になりますので聴き手の心を揺さぶるのです。 


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歯と歯茎構造の全インシュレーターに波動コントロール完了! 2001/09/21


 マイクロベースMB-18が完成した事によって、サイズ順にPB-BIG、PB-DADDY、PB-REXU、PB-JRU、MB-18と全ての「歯と歯茎の構造」をしたインシュレーターのラインアップの「波動コントロール」化がこれで完了したことになります。1/100ミリの精度で「振動が瞬間にクラッシュアウト」=(最大のエネルギーを取り出せる)するピンポイントを見つけ出す製法を、PB-BIGの製作時に編み出したのを機に、残りの製品にも適用される事が待ち望まれていました。

 ローゼンクランツのリファレンススピーカーのツイーターの所だけ、初期のマイクロベースでしたので取り替える事にしました。正直言ってそんなに大きな期待はしないで淡々と、勿論最初は片チャンネルだけ交換して違いをチェックします。頭を右に左に振りながら違いを確認、「・・・ううん!」、ただならぬ予感に引きずり込まれ、直ちに残りの片方も交換です。

 こうなると何を聴こうか?山のようなディスクの中から一瞬目に止まったのがコレ!、しばらく聴いていないJustin Timeレーベル。 取り出したディスクはオーケストラをバックに従え、堂々とピアノを弾くOLIVER JONESのFrom Lush To Lively。アレンジと指揮はRick Wilkins 初めて今名前を書きました。Linda Ronstadt のBallad3部作で有名なあのネルソン/リドゥルの編曲にそっくりです。このディスクはかなりいいのだけど何か今ひとつ中高域から高域にかけて少し気になるところがあった。そしていつも気になり、何か改善した際にはよくチェックに使う1枚でもあります。その都度ディスクの評価は少しずつ好印象を持つようになる私にとっては何か不思議なディスクであります。

 そんな彼のアルバムの中から2曲目を選んだ。Oscar Petersonの曲で「Why Think About Tomorrow」、イントロからいきなり雄大で豊かなサウンドに始まり、ゆったりと時が流れて行くようなテンポに乗ってピアノが優しく語りかけてきます。この「スリリングな感覚!」、一気に私の耳は10日ぶりぐらいに、もの凄い速さでハイテンションモードに突入です。「いいですねぇ!」、こんなきれいなストリングスがこのディスクから聴けるなんて信じられません。先だってSACDのデモディスクを聴いた時の感覚に近いものがあります。

 アナログのように超高域まで消え入るような揺らぎが出始めました。更にそれに伴って基音が生まれ、よりローエンドまで正確に再現出来るようになり、大きなステージを再現し、それも隙間無くビッシリと美しい音で埋め尽くされているではありませんか。スピーカーの存在は完全に消え、じっとスピーカーを眺めていてもそこから音は聞こえて来ません。

 PB-BIGはウーハーに、ミッドにはPB-DADDYをツイーターにMB-18を揃えた事により見事なサウンドに仕上がりました。ローゼンクランツのリファレンススピーカーは、ユニットをバッフルのセンターに取り付けている為に、反応がとてつもなく速く、エネルギーに満ち溢れていますから電気を使ってドライブしているスピーカーの音とは思えない生きた音楽を再現します。


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「連続波」と「断続波」 2001/08/31


アナログのように波動が連続波であると人間には心地よいのですが、デジタルの場合、全てブツ切り状態の断続波になっていますので少しでも振動の時間軸のずれた信号(本来私達が生きている実社会には無い音楽情報振動、少なくとも私はそう感じています)を聴いていますと人体に良くありません。この事と同じように元々地球上には無いとさ れているダイオキシンにもいきおい思いが行ってしまいます。

 アナログの音を知らないで、生まれた時からデジタルの擬似音の中で育った子どもたちが中心となる今後の社会の弊害を考えたら怖くなります。最近無気力、無表情の子どもが多いのはその事が原因のかなりの割合を占めているのではないかと、実のところ私は疑っているのです。

 その因果関係を電機業界からの自浄作用に期待するのは無理があると思いますので、どなたかこのページを御覧になられてこれをきっかけに研究して下さると嬉しいのですが、これは私自身が24時間音漬けの中で生活をしてきた中での直感であり実感なのです。

 ただ一昨日のSACDを聴いた時に……私の身体が初めて、デジタルの音を欲しがったのです……。永年かかって続けてきた「振動の時間軸の研究」が実を結んだ一瞬です。CDがこの世に産声を上げて約20年ですが記念すべき出来事でした。私の音に対して敏感な五感がそう反応したのですから、あきらめかけていたこれからの将来に期待が持てます。

 どう頑張ったところでデジタルではその事は不可能ではないかと思っていて、今回のこのテーマについては書きかけて途中で投げていたものです。ただSACDさえ手に入れれば、そのような音で聴けると勘違いをされては困るのです。あくまでキチンと「政振」=(筋道を立てて振動が流れる状態)出来ていて、なおかつ「音楽情報電気振動エネルギー」が揃っていることが絶対条件ではあります。

 現時点に於いてそれを可能にする事が出来るのは、ローゼンクランツのインシュレーターの力を借りずしては無理だろうと私は思っています。ここまで自信をもって言う事が出来るその真の実力をまだご存知ない方はこの機会に是非ご体験下さいませ。


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「音楽情報電気振動エネルギー」・・・略して「音楽電振エネルギー」 2001/08/21


 どうやら電気も振動も別けて考えないで、音楽を伝送するエネルギーとして考えると色々と楽になってきます。「音楽情報電気振動エネルギー」。略して”音楽電振エネルギー”と名付けたいと思います。「(電気の時間軸)と(振動の時間軸)を揃える事が大切である」。と随分前からローゼンクランツでは言って来ましたけど、それは直感的に私の心と肉体が感じ取っていたのかもしれません。スポーツの世界でよく使われる言葉として、「心、技、体」というのがあります。すなわち心と肉体が一つになった時にいい結果が出るといいます。そうした時のエネルギーをイメージして頂くといいと思います。

 政振という言葉のところで、ステレオを構成するそれぞれのコンポーネントたちが有機的に一つのチームとして心が一つになった時に良い音になると発表しました。甲子園で準決勝が昨日行われましたが、試合後の松山商業沢田監督の談話が印象的でした。「このチームはノーシードからここまで良く頑張りました」。この言葉はそのことを端的に物語っていると思います。ほとんどが一点差のゲームで勝ち上がってきています。正にみんなの気持ちが一つになった結果でしょう。私はステレオというものをいつも野球のチームとして考え、取り組んでおりますので、ことさら感激しました。さすがに全国制覇を5度もやっている名門校です。

 話をもう一度ステレオに戻しますが、アンプ等について行きと帰りという言い方をよく耳にしますが、私の場合はこう考えています。人間の身体で例えると心臓から送り出される血液からエネルギーとして姿を変えて外へ出て初めて心臓に戻ってくる。その血液の流れの方向は確かに行きと帰りになっていますが、そのバランスは常にゼロを保っていると感じています、勿論アンプについても同じように思っています。そして空気を揺るがし人間の耳に音楽として感じるモノがエネルギーであり、その”音楽電振エネルギー”そのものにはプラスもマイナスも存在せず、行きっ放しの一方通行と考えております。それを証明するのにスピーカーケーブルもアンプの内部配線も全てプラスもマイナスもエネルギーの流れる方向に揃えた方がスムーズに音楽が流れる様になります。


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電気も振動も実は表裏一体のもの 2001/08/20


 10進法が染み込んだ私の身体にはデジタルの2進法がなかなか馴染めないでいます。CDによる音楽再生時に感じるストレスの原因を振動の時間軸の研究の中から何とかその因果関係を見つけようと頑張っています。ほんの数年前まではデジタル技術の日進月歩が速い為にDA変換技術が充分に確立されていないと見て、価格の高いCDプレーヤーについてはお客さんには積極的に勧めてきませんでした。ですからその間は、音楽性に優れていたCECの5枚チェンジャーCH-5000RとTL-5100Zをデモ機に使用しておりました。

 TEACがP-0を発表した時に初めてどこまで進歩したのか、楽しみに”聴きたい”という欲求が久し振りにもたげてきました。そしてその音を最初に聴いた時の感想はアナログ時代には得られなかった驚きを覚えたのは事実ですが、それでもやはりアナログには敵わないものがどうしてもありました。それからの事はP-0の所で書いていますので割愛致しますが、その時に感じた事を率直に申しますと、「長所短所を差し引きすれば引き分けかな・・・」。CDの操作性の手軽さも入れてです、しかしもしその長所が無くて音だけの事をいうのであれば、やはりまだ私はアナログに軍配を上げます。

 私の経験上デジタルの場合、最初の時点で「何処か」が「何か」がずれていると最後までずれっぱなしで、音楽を聴いていても落ち着きません。アナログ時代にはどんな安いシステムでもそういった経験は一度も感じた事はありませんし、そんな話は聞いたこともありません。その事は私だけではなく多くの方達からも同じように頭が痛くなるとか、聴き疲れがするといった症状を訴えられることからしても、何かデジタルには人間と仲良く出来ないものがあるようです。

 それがローゼンクランツのインシュレーター使うと、うんと聴き易くなって音楽を感じるようになるのです。それも不思議な事にアナログ部のDAコンバーターばかりでなく、ゼロと1のデジタル信号しか扱わないはずのCDトランスポートにしても同じ現象が起こるのです。

 という事は電気が流れれば振動が発生し、振動が発生すれば電気も発生する。表裏一体のもので、電気と振動とを別けて考えないで同じモノ=(エネルギー)と考えるのが妥当のようです。そのエネルギーがぶつかり合ったり、流れにくかったりする事が音楽の良し悪しに大きく影響しているようです。その点「歯と歯茎の構造」のローゼンクランツのインシュレーターは、振動の逆流を許しませんので音にストレスが掛からないのです。またその物性の特徴というものを知り尽くして響きの方向を「垂直」、「水平」共に管理して製造していますので流れるような音楽性が生まれて来るのは容易にうなずけますね。

 P-0クラスのコンポになるとコンバーターまで入れれば200万円仕事です。いい音で音楽を楽しむのにこれだけの物量と金を投入しなければならないのかと思うと悲しくなってくるのでした。酒もタバコもやらない、オーディオが唯一の趣味だという人にとってはそれでもいいかもしれません。しかし、趣味というものが、”いくらお金を使っても惜しくないと思えるもの”とはいえども、またどれほど身びいきに見たって一般的には理解の範囲を超えています。


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空気中を伝わる波動も物体の振動も理屈は同じ 2001/07/23


 音を濁す原因としてフラッターエコーが悪玉に挙げられます。これは相対向する面 がプレーンな時にいつまでも同じ音が反射を繰り返しぶつかり合う事によって生じる二次的な原因です。前後の壁、左右の壁、天井と床などがその代表です。音波にタバコの煙のように色がついていたならその動きが良く判るのですが、なにせ音というものは姿が見えません。

 また部屋のそれらの構造が空洞になっていたりすると今度は三次的 な現象としてその太鼓状態になったところから独特の低いコモリ音となって、今度はマスキングといわれる現象が起こり、ボワーンというこもった音に包まれる感じです。ガラスであったり、木や紙であったりによってその音の種類は幾分違いがありますが、いずれにしても不快な音には変わりありません。

 フラッターエコー、これはお互いが大きな声で口論しているのによく似ています。このような場合、相手の話しているときは聞 き手に回ってゆっくり聞きますと、言いたい事を充分に言ったら満足して今度はこちらの話を聞いてくれるようになるものです。このように少しずつ音がずれて自然に減衰して行くと、それは心地良い響きとなって私たちは感じます。このように響きには嫌な響きと良い響きがあります。

 この場合大きく別けて反射と吸音と拡散の三つのバランスが大切です。程よく反射、程よく吸音、程よく拡散するのが理想です。その目安は言葉に表すのは難しいのですが、とにかく心地のいい音といいましょうか、心地のいい響きと感じる状態です。どなたでも簡単に出来るのは、折りたたみ式になった籐の衝立をスピーカの背後に置いてやる方法です。屏風式の構造と複雑な凹凸が音をあらゆる方向に拡散し、美しい残響を生み出してくれると同時に見事なサウンドプレゼンスを演出してくれます。視覚的にもこれ見よがしではなく、また不要になってもブラインドとして使えるから便利です。何より10,000円前後の値段で美しい音が手に入るのが1番でしょう。

 壁材の理想としてはやはり振動の減衰特性が柔らか過ぎず、硬すぎずの自然の木が良いですね。そしてその形状がランダムであれば更に申し分ありません。安いところでは杉やヒノキ、高価な物で桜、もしくは楓といったところがあげられます。木は人に優しく酸素と二酸化炭素をお互いに摂取しあう関係にもありますので生活面でも大変良いわけです。生活とは活用して生きると書きますように正にその文字どおりです。

 今度はある日の貴重な体験をお話いたします。300年ほど続いた静岡県の古いお寺の離れの8畳ほどの部屋での事です。B&W/801-Vが大変いい音で鳴っていまし た。801特有の粘質系ウーハーから出て来るドロンとした低音は何処にも無く、それはきれいな低音の響きが何ともいえない魅力ある音でした。30mm厚位の木で出来たスピーカーベースの上から5寸釘を打ち込み、畳に貫通させ、その下の板で受けている状態 です。勿論純正のアンカーベースを使っての事でした。

 考えられる事はその建物の構造が100%自然材料の木で出来ている事にあると思います。そのスピーカーから発 せられた振動は床から柱や天井へと無限の複雑な振動の絡み合いとなってその音は何処までも自然できれいな放物線を描いて美しい響きとなって消えていくのです。それも自然木ですから音にしなりがあり、それは・・・、それは・・・歌うのです。音を特別良くしようとして建てたわけではありません。オーディオ機器(コンポ関係)の置かれ方といったらこれまた無造作なものです。そんな事は些細な事だといわんばかりに実際に良い音でした。

 話が後先になりますが、このお客さんにインシュレーターの貸し出しをして、返ってきた試聴の感想があまり良くない上にちょっと想像もつかないような音の表現だったものですから、その事には絶対の自信がありましたのでどうしてそのような事が起こるのか私自身大変興味を感じ、勉強にもなると思い、いつか機会があれば必ず寄せて頂 こうと思っていました。半年もしないうちにその機会が出来ました。

 どういう理由だか良く判らないのですが、その方のいったように、ローゼンクランツのインシュレーターを使用しても殆どその音には変化が表れませんでした。それよりもそういった物の力を借りなくてもいい音なのです。要するに鳴るように出来ているものは鳴るということです。何の小細工も要らない訳ですね。このようにしてみますと、お互いが関係しあう物同士、如何に仲良くいい関係であるかに尽きるようです。オーディオラックとコンポの関係、そのラックと床の関係。壁と床等、あらゆる関係する物のハーモニーという事になります。総じて言えることは自然素材には魅力ある物が多いと思います。この時の体験も後に「政振」という言葉を生み出すきっかけの一つではありま した。


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振動は一斉に始まり一斉に止まらなければならない 2001/06/29


 当社のベストセラーインシュレーターである(PB-REX)のごく初期のころの事です。未だ金属の響きの方向管理も垂直方向のみです。この頃は音決めをする方法として、使用するハンダの量(1mm径の長さ)の調整によってやっていました。しかし音に結構なバラツキがあるのが気になっていました。特に最後の音の消えぎわが綺麗に伸びない感じのものがあるのです。

 それらの症状が顕著にあるものをじっくりと観察しますと、溶かしたハンダが冷え固まる時に凸凹の状態になります。その山と谷ができる事によって振動が早く止まる所とそうでない所がおこり、せっかく寝た子を起こすような感じなのです。この時の経験が後の私を大きく成長させる事となるのです。

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左が半田の量で音決めをした時の物。右が彫る深さによって音決めをした物。

 イメージとしては軍隊の行進の時、「全体〜い止まれ」。と号令をかけた時に”ピタッ”と止まらないでバタ、バタ、バタとだらしなく止まる感じです。このとき振動は一斉に立ち上がり、一斉に止まらなければ、アコースティックな響きはとても表現できないと思いました。この時点でも音色と音の力強さはかなり良いところまではきていましたので、後は瞬間の時間軸の追込みをする事です。量で音決めしてきたノウハウの蓄積は全て捨て、新たにこれからは掘る深さの調整によって音決めをする事にチャレンジです。

 その為にハンダの溝を掘る治具を特別に作ってもらい、1回転で1ミリのピッチのネジのストッパーを設け、1/2回転、1/4回転、1/8回転と言う具合で最終的に1/32回転(約時計の針で2分)の角度まで追い込み、全て自分の手でやるわけですから、すぐに水ぶくれが出来て最後には血が出ます。血の出るような努力と言いますが正に文字どおりそれを地でいったわけです。

 旋盤でやれば簡単な事ですが、とにかく自分でやらなければ気がすまない性分なものですから、自分で考え、自分で苦労して、初めて何かが掴めると信じていました。当然徹夜になる事はしばしばです。このような頑張りと根性は学生時代野球でそれは無茶苦茶しごかれましたので身についたのだと思います。その当時はしごく先輩が憎くて仕方ありませんでしたが、今となっては有り難いと思えるようになりました。

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インシュレーターの溝を掘る専用治具。

 こうして、緩衝材としての役割のハンダの溝の表面は綺麗に加工できるようになりました。当然音のほうはというと期待どおり非常に綺麗な残響が出るようになり、大成功です。これをきっかけに「振動の時間軸のモーメントを揃える」ということの重要性に対し、確固たる確信を得ました。それと同時にローゼンクランツのインシュレーターの評判と信用が一気に上がっていったのです。今現在ではハンダの溝を掘るのは旋盤でやっていますので、更に綺麗な音がするようになっています。PB-REX(A)タイプも初期の頃からするともう5年以上の歳月が経ったこととなり、音の進化に呼応するかのように評判の方も、お客様の「音が良い」という口コミでドンドンと上がっていっています。これからもインシュレーターのトップランナーとして走り続けることでしょう。


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生きた音のエネルギーとは?・・ 2001/04/26


お客様自身にオルゴールのゼンマイを巻いて貰い、ブレードがピンによってはじかれ、瞬間に発せられる『生きた音』の『エネルギー』を実際に体験して頂きます。この音を聞くと、皆さん自分が普段聴いているステレオの音が「何と生気のない音」か、よく認識できます。なぜこのような事をするのか?・・・それは、大型スピーカーを何百ワットのアンプで鳴らそうと、死んだ音がただ音量が大きいだけだということを。改めて、『脳』と、『肉体』と、『ハート』にインプットし直して欲しいからなのです。

 世の中に出ている多くのアクセサリーは、音のエネルギーを抑える方向のもので、場当たり的対処療法といっていいでしょう。上手くセッティング出来ていないシステムは、ある部分にピークやディップがある為、音量を上げると、うるさく聞き疲れします。そのような方法で、それらから逃れられると、「楽になったぁ・・・」。「良くなったぁ・・・」。と錯覚するのです。でも生気のない音からは、音楽の喜びや醍醐味を味わう事は出来ません。またしばらくすると不満がもたげて来るわけです。

オルゴール写真1

 このような経験をされた方が、決まって口にされるのが「ローゼンクランツに巡り合えて本当に良かった。目からウロコが落ちた!」という心からの感謝の言葉です。特にインシュレーターについては絶大な評価を頂いております。嫌な音を押さえ込むという方法はとりません。エネルギーを最大限に引き出し、埋もれていたあなたの機器の潜在能力を100%開花させるというローゼンクランツ哲学。時々刻々と変化する複雑な音楽振動を『瞬時に受け止め』、『瞬時に反応し』、処理してしまう、『歯と歯茎の理論』の構造は、1/100mmの精密な振動の波動コントロールと呼ばれる独自の方法によって、目に見えない形で日々進化を遂げています。

オルゴール写真2

 その時「あらゆるものがフッきれた!」と、多くの方々が共感してくれるのです。そうです、ローゼンクランツには「無くす」という考えはありません。良さをいかに伸ばすか・・・・・。長所を伸ばせば短所は目立たなくなる!この基本的理念は、ローゼンクランツのすべての製品に生かされています。迷いのない一貫した考え方を元に、筋道を立て、基本に忠実に、物の本質に学び、不変の真理を求めてやみません。


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振動とは何と難しいものか?(2)・・ 2001/04/11


 全身に力が入りすぎ、『ガチガチ』の感じの音といったらいいでしょうか、『潤い』とか、『ゆらぎ』とは程遠い音です。剛性を強めすぎた結果だったのですが、この時も私は判断を誤ってしまうのです。インシュレーターのハンダの量を減らせば、ゆらぎは出せると見ました。その為に100個近くもあるインシュレーターを全てを分解し、入れ替え、組み直す羽目になるのです。しかし結果は、またも空しく、その傾向は何一つ改善されませんでした。情けなくて何日かは、力が抜けてしまいました。

 当初の設計の段階で、その壁の締め付けや、止める個所の調整で最終的には音の微調整をするつもりでしたので、思い切って底の部分を遊ばしてみました。予想どおり結果は大成功でしたが、前回の見込み違いで、インシュレーターのハンダの量を減らした弊害として、以前には無かった真鍮の固有の音が出てきました。「こうなったらもう一度、ハンダの量のバランス微調整を徹底的に取り直してみよう」。すると、その甲斐あって以前より抜けの良い物に仕上がったので、何が幸いするやら解らないものです。

 この時の教訓として、剛性を高め過ぎたり、制振しすぎると音楽の潤いを無くしてしまうという事を身をもって体験しました。弱すぎても、強過ぎても駄目、ちょうど良いのが良いという事です。この時の教訓がローゼンクランツのインシュレーターには生かされていますので、何ともいえない音楽を奏でてくれるのです。

  •  制振・・・・・・力ずくで振動を押さえつける、がんじがらめのイメージ。
  •  整振・・・・・・整理整頓された、面白さとかゆとりは感じにくいイメージ。
  •  征振・・・・・・自由に音楽を表現させてもらえないイメージ。
  • 政振】・・・・・全ての振動が筋道を立てて、流れているイメージ。 (振動に対して、私が想い描いているイメージに一番近い。私の新造語です)。


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振動とは何と難しいものか?(1)・・ 2001/04/10


 先日の芸予地震以来、被害のあり方について目に入る情報のありとあらゆる事が、職業柄の性ゆえなのか、色々と頭の中で、スピーカーとインシュレーターの関係に当てはめてついつい考えてしまいます。

 2〜3日して、気になっていたので、お墓に行って見ました所、幸いにも我が家の墓は何も無く無事でした。倒れている墓はほとんど見受けられませんでしたが、私はそこで不思議な現象を目にしたのです。それは想像だにしなかった事ですが、一番上の墓柱だけが見事に45度水平にクルッと時計回り方向に、同じように向きを変えているのです。それも台座の中心はほとんどずれていないのです。恐らく上下動しながらひねりの力が加わったのでしょう。物の『理屈は嘘をつかないのだなぁー』と改めて驚かされると同時に、変に感心もしてしまいました。

 それと、そのような影響があった場所と、何も無かった所が『乳牛の模様のように』飛び飛びなのです。この事は地盤の関係だろうと思います。これらの事から考えますに、『運、不運』、『偶然と必然』の結果とはいえ、限界値を越えた時に症状となって現れる事です。普段、音の研究をしている時は全て耳で行なっているわけですが、これならどなたに説明しても簡単に理解できると思いました。

 さて、話は変わって、わが社のパワーアンプ(P-1EX)の約4年前の開発途中のことですが、電源部とL,Rの信号部分をシャーシーの部分において部屋分けをする為(S/Nを上げる)に、建物の梁と壁の役割のように、上下インシュレーターのマイクロベース8個でパネルを挟み込む構造をとりました。そうこうしながら、やがて記念すべき第1号が完成するわけですが、ここからが苦労の始まりなのです。

内部写真
 
 期待に胸を膨らまして初めての、音出しです!!。その瞬間は、今でも覚えていますが、いまだかって聴いたことの無い、S/Nの優れた音でした。一瞬これは、『凄い事になった』、『ヤッター』と思いました。ところが、その時は興奮していますし、やるだけの事はやった、という気持ちですから、自分の製品を客観的に分析したり、批判したりするような冷静さなど持ち合わせていない訳です。この興奮を抑えきれないで、すぐさま懇意にしているお客さんに電話をして、「とうとうアンプが完成したのでこれからでも聞きに来ませんか」?夜の9時ごろの事ですが二つ返事でKさんは、「行きます、行きます」。

P1−EX写真

 1時間ほど経ったでしょうか、友人のMさんと一緒に祝いのシャンパンを片手に、『おめでとうございまーす』の、大きな声とともに、勢いよく入ってきた。そしてシャンパンで乾杯し、早速聴いて貰うわけですが、なんと!、音出しして、一曲聞き終え即座に、そこで二人とも”シラー”として、前の安いプリメインの方がいいというのである。確かに性能的には、圧倒的に良いのは認めるけど、音楽として聞いていて全然楽しくないと言うのである。なんと情け容赦なく言ってくれたものだと、私の顔は見る見る血の気が引いて行くのが自分でも解った。その場の気まずい空気はさっきとは『天と地』ほどの差があった。ふたりもさすがに、まずいと思ったのか、明日仕事がありますので今日はこのくらいでといって帰って行った。

 徹夜で、今、朝の6時です。頭がもうろうとして来たので続きはまた書きます。


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P-0・・・はなぜ聴き疲れするのか? 2001/03/20


 P-0の最大の長所は、信号の読み取り精度の正確さと、アルミダイカストの堅牢なボディーから得られる力強さにあります。わたしがP-0を導入する気持ちになったのは、根本からCDトランスポートというものを見直し、全てを捨て、ゼロからの出発をするのだという、技術者の魂を感じさせられたからに他なりません。

 そのときの気持ちというものは、買った後、もしも音が気に入らなかったとしても、何の悔いもないという思いでした。それともうひとつの感じ方、それは拍手を送りたいという気持ちの方が、どんな音か聴いてみたいということより強かったと思います。

 さすがにメカを得意とするTEACならではの骨格のしっかりした、いまだかって聴いたことのない、次元の違う音を聞かせてくれました。そのときは期待をはるかに上回る音に感じましたが、何ヶ月たっても一向にエージングが進まない感じです、私の今までのリファレンスは、CECのTL-2です、その流れるような音楽性は感受性豊かな音楽ファンの心を強く捕まえています。

 その音に馴れている私にとっては、音としては優秀であっても、音楽をどうしても楽しめないのです。P-0とTL-2は全く正反対の音(欠点で言うとガチガチの音と軟弱な音)です。しかし両方の良いところを組み合わせることが出来たら申し分ありません。

 かくして私はこの2台のトランスポートで、CDの音の研究をすることになり、結果としてCECのTL-2には専用のCDスタビライザー(STB-1)を、P-0には専用脚(RK-P0)を作ってしまうのです。

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 P-0の問題点は、足の設計にあります。アルミのボディーに対して随分硬いTAOC製の鋳鉄の足とその受け皿に原因があります。イメージとして『鉄下駄を履いて歩いている感じ・・・』。私は履いた経験がありませんが、おそらく3分も歩けば頭が痛くなると思います。モーターやメカから発生した振動が脚を伝わって移動するわけですが、『振動というものは、硬いものから柔らかいものの方へ行きたがる』ので、結局柔らかいアルミのボディーの方へ逆流するのです。

 そして角張ったその十文字型の形状が振動のループを作り、微妙にずれた振動となって音を濁すのです。そして私の調べた限りにおいて、その脚についても金属の『結晶の方向』と、『加工の方向』など管理して作られていません(P-0に限ったことではない)ので、音がキツく濁るのもそこにもう一つの原因があるわけです。

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 ローゼンクランツのRK-P0(歯と歯茎の理論)は、何億年という年月をかけて、生き物が進化を遂げ、厳しい淘汰の結果生き残った最良で、最強の構造であり、理にかなったメカニズムなのです。厳しい耳を持ったオーディオファイルの絶大な支持を受け、PB−REX(A)に代表される一連の商品はインシュレーターのリファレンス的存在であります。そのノウハウが十分に生かされて完成したRK-P0は、あなたのP-0を最高のものへと引き上げる約束を致します。


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振動の伝播速度の落とし穴 2001/03/14


 オーディオにおいて良い音を出すには、振動の伝播速度が速ければ速いほど良いと思わされているフシがありますが、これは大きな誤りです(正しい部分もあるのですが)。条件付で正解という事です。

 先ずオーディオシステムというのは沢山の製品や、部品によって構成されている一つのチームと言い換える事が出来ます。この事は皆さん容易に理解できる所です。一連の流れがなければ音楽のメロディーは生まれません。音楽において一番の約束事は先ずテンポです。仮にそのメンバーの中に一人でも速く演奏する者がいたとしたら足並みが揃わず全く音楽になりません。

 よくある例としては、銀線を入れた時に高域がギンギンにギラついてキツくて聞けなくなったという話をよく聞きますね。これなどは速いが故の問題点です。あるところにピークが発生したり、高域の先走りであったりするわけです。何も銀線が悪いといっているのではありません。それを生かす技術と感性がなければせっかくの物も台無しになります。2人3脚のように足並みを揃えることの方が大切なのです。

 インシュレーターについても同じことが言えます。振動の伝播速度が速いということは、分子の目が詰まって、硬いということです。硬いということは反発も同じように大きいということです(振動のループというタイトルで以前に書いております)。そのことは振動面に於いてのフラッターエコーとなり、音を濁す大きな原因となります。

 理想のインシュレーターは、しっかりと振動を受け止めることが出来てなおかつ、その振動が逆流しないメカニズムを持っていなければなりません。最大のエネルギーを取り出すには、それを瞬時に大量に処理できる能力がなければならないのです。現時点において、この相反する2つの問題点を解決出来るのは世界中で『歯と歯茎の理論』のローゼンクランツのインシュレーターしかありません。言い換えますとリズムがキチンと表現できるということです。

 ローゼンクランツにおきましてはインシュレーターの貸し出しをしております。


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ダイレクトアースセッティングとは? 2001/03/04


ローゼンクランツが推奨している、スピーカーのセッティング方法です。

 写真を見て頂くとお解りいただけると思います。簡単にいいますと『スピーカーからエンクロージャーに伝わった振動をいち早く確実に床に逃がしてやる』という事です。具体的には、「ウーハーユニットの『直下(最短距離)』で、ローゼンクランツのインシュレーター『PB−REX(A)』又は、『PB-BIG』を使って振動エネルギーを真芯で捕らえ、瞬間に床に逃がし、二度とその振動がスピーカーに逆流して戻って来ないと言う方法」です。

 解り易い例えとしては『金槌のヘッドを効かしてその芯で釘を打つ』イメージ、あるいは『バットの芯でボールをインパクト出来た』イメージ。すなわち最小の力で最大のエネルギーを取り出す。そのためには完璧を要求しますので、次のような条件が必要不可欠になります。


  • スピーカーバッフルの木口(こぐち)で受ける。
  • オス、メス方式のPB-REX(A)又は、PB-BIGによる、前1点の3点支持。
  • 3点の振動の支点の時間軸とそのモーメントを揃える。
  • ブックシェルフの場合は、そのサイズに合わせた専用のスタンドが必要。(全ての材料=板、釘、パイプ、スパイク、ナット等は、完璧な響きの方向管理済み)
                                     オーダーメイドにて注文を承ります。

 その効果と音の特徴
  • スピーカーボックス特有のこもり音や濁った付帯音がない。
  • ピアノやパーカッションの打音の切れ味が見事である。
  • 音の立ち上がりの速さといったら、それは正にマッハクラス。
  • 何処までも澄んだソプラノは、潰れたり、割れたり決してしない。
  • 今まで埋もれて聞こえなかった、通奏低音のメロディーが浮き出てきます。
  • 全ての音にエネルギーがあるので、クレッシェンドして行く様子が見事に描き切れる。
  • S/Nが良いので、音の出る間際の緊張感、静寂感が何ともいえない。
  • 弦楽器特有の、気品ときらびやかさは例えようもなく美しい。
  • JAZZに於ける、ベースとドラムの両リズムが音楽をグイグイと引っ張って行く。
  • 音と、音の分離が極めて良いので、各楽器の定位が良く判る。


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塗料による音の違い 2001/02/18


オイルスティン系、ラッカー系、ウレタン系等、塗料には沢山の種類があります。私の経験上、表面に硬い塗膜(ウレタン系=特に硬化剤の入った物)で厚く覆いますと、振動の逃げ道がなくなり、いつまでもそれが内部に閉じ込められて、その箱固有の付帯音となって残り、肝心な原音と重なりマスキングしてしまいます。その結果、見透しの悪い混濁音となるわけです。
 
 箱の不要な響きを嫌うが余り、本来あるべき自然で、澄んだその響きまで殺してしまい、面白くも可笑しくも無い音にしているのです。その時の音たるや、音楽とは遥かにかけ離れた、『無表情な音の羅列』と化しているに過ぎません。特に箱の内部については、塗装していません(100%といっても過言ではない)ので、『板厚の中心』に『振動の基軸』が無いため、不自然な振動が繰り返され、更に振動は弱いほうへと進み、箱の内部に偏って集まり、俗に言うヌケの悪い音となるのです。

 それでは理想の塗料であり、理想の箱とはどうあるべきなのかということですが、その答えは、スピーカーの『外に』、『前に』、『奥に』、そして『上に』と、音楽の響きが部屋中に充満する状態の事を言います。
 
 塗料については、板の内部まで充分に含侵し、なおかつ表面に硬い塗膜を作らない物(ローゼンクランツではドイツ製で植物製の自然塗料)を使用し、それと大変ではありますが、理想は板の裏と表を同一条件の塗装にすることです。この条件が揃って初めて、瞬間のアタック音にも反応し、なおかつ消え入るようなピアニシモの表現も可能となる訳です。

 当社ローゼンクランツにおきましては、エンクロージャーの6面全てが発音体であるという考えを持っております。

 最高の音を造る=その為には、手間が掛かっても、コストが掛かっても、箱の裏と表を同一条件にて塗装することは、当たり前のことなのです。



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木の材料による音の違い 2001/02/05


私達がなじみ深い材料といえば、MDFと合板と集成材の三種類でしょう。その事について、私の日頃の研究の過程の中から感じた事を述べてみますので、今後の皆様のより良い音作りの一助になればと思います。

 ● 『MDF』・・・これは皆様も良くご承知のように、おが屑のような状態にした物をボンド等を使って板材にした物です。ですからどちらかと言うと紙に近いかも知れません。長所としては加工がし易く、変形しにくい。又何と言っても値段が安いと言う事が最大の利点で、量産に適している。その為にスピーカーのエンクロージャーやオーディオラック等に、現在では主流として使われている訳です。

 音質傾向

 音にバラツキが少なく、これと言って大きな癖も無いが、音は概して重めで振動の伝達速度が遅い為、多少アタック感が弱い。

 ● 『合板』・・・ベニヤ板に代表されるように、薄い板が90度ずつずらして交互に何層にも貼り合わせてある物。これも比較的安く出来る上に材料として狂いが少ない、しかしオーディオ製品には少ししか見かけない。

 音質傾向

 よく言えば張りのある音、しかし限界を超えると暴れやすい、ジャジャ馬的なところがある。木の繊維がお互いに交差している関係上、音が金縛り状態のような感じで流れるようなメロディー感は出にくい。

 ● 『集成材』・・・無垢の木の切れ端しを貼り合わせて作った物。色々な材質のものが最近ではあるが、オーディオ製品に於いては桜とカエデ(ソフトメイプル)が主流である。自然の木であるが故に音に個体差がある事がある。

 音質傾向

 材質による音の違いは勿論あるが、無垢の木特有の自然な振動減衰があり、輝きのある魅力的な音がする。ただ縦方向にフィンガージョイントと呼ばれる継ぎが有る事によって、MDFや合板ほどでは無いが、音の流れという点において若干のストレスがある。

 以上簡単に傾向と特色を書きましたが、当社ローゼンクランツにおきましは、カエデ材の中でも繊維の密度が倍ほどあるハードメイプル、それも縦方向継ぎ無しの一本通しの材料を特別に誂えています。材料費は目が飛び出るほど高いのですが音には換えられません。ローゼンクランツにおきましてはオーディオラック、コンポ用ボード、スピーカーベース、ウッドブロック等を生産しております。


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振動のループの問題 2000/12/11


 フロアー型のスピーカー「JBL-4343」のセッティングを頼まれた時の事です。既にそスピーカーの寸法に合わせて、あるお店からカエデのスタンドを用意しておられました。10cm角、高さ20cmで、4本を5cm位の幅の板で連結しているタイプのものです。

 いつものようにPB-REXを入れて鳴らしてみたのですが、私のイメージした音が出て来ません(当社の場合は独立したブロックでセットします)。音が金縛り状態なのです。朗々とした力強い低音が出て来ないのです。そして音も濁っています。原因は時間のずれた振動がいたずらしているのです。「買われたばかりで勿体ないですが、思い切って板の部分を切って外してみては如何ですか?」と提案させて頂きました。

 そしてその日はそんな事で失礼した訳ですが、2〜3日して電話がかかって来ました。『思い切って切ってみましたよ!、随分良くなりましたよ!』とその声は弾んでいました。買ったばかりなのでまさか即、切るとは思っていませんでしたのでビックリしたのは私の方でした。けしかけた責任上と、私自身も興味がありましたので、早速訪問し、聴かせて頂きました所、案の定、良い鳴り方になっていました。それにしても大した勇気です。敬服いたしました。
 
 これと同じ事は随所にあります、”箱型になったラック”、”御影石にスパイク”、”ガラスと金属”、等々です。”振動の道筋が決まらず”、”逃げ道を失い”、”ブツカリ合いになり”、”エネルギーが減衰する典型的な例です”、この状態を膨らんでいた低域が締まったと勘違いすることが多いのです。そしてその後が更に怖いのです。力の無い鳴り方ですから、アンプのパワーに頼るしか方法は無くなる訳です・・・・・・。

 かくして100W、500W、1KWの果てしない旅に出る事になる訳です。「時間軸のずれた音」に是非気がついて頂きたいと思います。簡単な様でこの事は難しいのです、何故なら、お店であっても、オーディオショウのような音のプロといった人達が鳴らしている現場でも良い音がしている事は滅多にありません。即ち良い先生が少ないから良い生徒が育たないのです。

 一度、『振動の時間軸が揃った音』とはどんな音なのか?貴方も体験してみたいと思われませんか?。

  ローゼンクランツのインシュレターはまさに端的にその事を教えてくれるのです。


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スピーカーのエンクロージャーの考え方 2000/11/30


  ローゼンクランツのスピーカーは各ユニットが生き生きとそして最大のエネルギーを発揮できるように、バッフルのセンターに取り付けられているのが特徴です、これはユニットに帰り波として戻ってくる振動の時間軸を揃える為にこの様に作られています。そして箱その物(6面全てがスピーカーである)という考え方、楽器としての捕らまえ方もして、音作りを追い込んでいます。

 更にその振動の時間軸の揃え方の徹底ぶりは、先ずウーハーユニットとスコーカ-ユニットのメカニカルフェイズを合わせた後にその同じ長さの奥行きを持たせてエンクロージャーを設計してあります、それによってミッドのエンクロージャーはウーハーエンクロージャーと呼応して一緒の動きをするようになる訳です。

 大半のスピーカー技術者の設計はエンクロージャーは振動してはいけないと言う考え方ですから剛性を高めることだけに意識が行っています。そこにはそもそも無理と矛盾があります、振動発生源であるスピーカーには振動を命じ、それと繋がっているエンクロージャーには振動するなと言っているのと同じことです、そのことが大変不自然な音となるわけでして、無理やり鳴らされていると言ったらいいでしょうか、そしてその不自然な音を聴いても不自然と感じない感覚の持ち主が物作りに携わっていることに大きな問題点があるでしょう。

最終的に結論からいいますと、弱くてもだめ、強過ぎてもだめ、いつも言っていますが丁度良いのが丁度良いのです。


             基本的な考え方の立脚点が二つ有ります。

  ダメなものはダメ、文句を言わせず封じ込めてしまえ

  避けて通れないのならどうしたら両者が上手くやっていくことが出来るのか?
 
    とい事です。  ローゼンクランツでは後者の考え方です。

スピーカー写真1 写真図1

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オーディオラックのセッティングの怖さ 2000/11/12


 ある日のこと、300BとVV30の音の違いを聴きたいという要望がお客様からありました、前日の夜準備をしてから店じまいをしました。当社の場合24時間、365日、音は鳴らしっぱなしです。そして翌朝確認のため聴きなれたディスクをかけてみるのですが、どうもいつもより音が悪い、躍動感はないし、なにより聴いていて落ち着かないのです。

 いくら考えても原因が解らない、いつもとの違いといえば、比較試聴しやすいように2台のアンプをラックの一番上に横に並べただけである、条件の違いがあるのはただその一点だけである、いくらか違いがあるのは理解出来ても、これ程の音の違いが、そのことの違いとはどうしても仮説が立てられないのです。しかしいくら考えてもそれ以外何も心当たりが無いわけですから、元へ戻して見るしか方法は無いとは思えども、どうしても気が重いのです。

 しぶしぶ300Bの方を降ろして、いつものとうりにA-30-IN(真空管インテグレ‐テッドアンプ)を棚板の真中に戻して置き直したら、全くいつもの音に戻ったではないか。何たること、何故ここまで大きな音の違いが出てしまうのか?こうなったら徹底的に究明してやろうと、俄然やる気になってきた。さしを片手にインシュレーターを1mm単位で調整していくと爆発的なエネルギーが部屋中に充満して来たではないか、「ジャストヒット」、まさに「ピンポイント」である。この時以来私はセッティングの鬼となっていくのである。

  ローゼンクランツのオーディオラックはカエデの積層材「縦方向継ぎ目無しの一本通し」で出来ていますので、振動の移動速度が大変速く、瞬間の「アタック」、「抑揚」、そして最後の消え入るような「リリース」が豊かに表現されます。圧縮ボードのように繊維が切断されていませんので、音が鞭のようにしなり、まさに楽器と同じようにこのラックは歌うのです。

 その為に置き方次第でこれほどまでの変化が現れるという事です。機器の重心が棚板の中心からずれていますと前後左右の振動のモーメントに時間のずれが生じ、一斉に動き始め、一斉に止まる事が出来なくなると思われます。棚板の中心部は振幅が一番大きいから強い振動にさらされるので敢えてオフセットに置くのがよいという説がありますが、一見理屈が通っているように思えますが実際は違います。

 オフセットにして置くと、波にあおられ、実は振動の影響を一番大きく受けるのです。そうではなく、波と一緒に動く笹船を思い浮かべてみてください。振動に呼応して動けば、動いていないのと同じ事です。皆さんも早速、是非テストしてみてください、見違えるように良くなりますよ。


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デジタルオーディオのなぞとその長所と短所 2000/11/08


CDによる音楽再生に於いて、聴いていて疲れる、頭が痛くなる、音がキツイといった不満を訴える人が少なくありません。中にはいまだにアナログしか聴かないという人もいるのが現状です。そして作る側、売る側の立場の者もそれを認めていることも事実です、しかしながら世界のコンセンサスはデジタルで記録し、CDという形で販売されています、特に新譜についてはアナログは期待出来ません、そんな状況の中で私は数年前にある決心をしました、20世紀一杯はLPを封印してデジタルの研究一本に絞り、そしてその不愉快な音の謎を必ず今世紀末までに解き明かしてみせるという事です。

いま11月8日の午前4時13分です、ほぼ徹夜状態が4日続いています、随分前から「振動の時間軸」という言葉を使っていますが、この事について経験した事をさかのぼって少しずつ活字に残していこうという気になりました。自分なりにおぼろげながらではありますが見えてきたことが沢山ありそして、自信もあるからにほかなりません。

先ずはオーディオエキスポで私が作り出す音の世界を皆さん楽しみにしていてください。


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