トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅ディナウディオC2のセッティング

ディナウディオC2のセッティング



 ディナウディオC2の美しい立ち姿に目を奪われました。18畳程のリビングの雰囲気と凄くマッチしています。中央には42インチのディスプレイがあり、アンプとCDはシンプルなデザインのYBAであります。


 この組み合わせは申し分ありません。YBAは真空管アンプと同じようなシンプルな回路構成でリアルな音楽表現が得意ですから、ディナのような癖の少ないスピーカーには打ってつけであります。

 そんな勘所を持ったコンビネーションを組み上げているのは、アメリカで学生時代を過ごし、ジャズトランペッターとしての経験もある国際感覚豊かなS.Kさんであります。

 私がクリニックに伺った時の様子をメールで頂きましたので、以下に原文のままご紹介させて頂きます。





 ----- Original Message -----
 From: S.K
 To: <info@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Monday, March 17, 2008 12:09 AM
 Subject: 昨晩のレポート

 カイザー様(今日はこう呼ばせてくださいませ)、

 お世話になります。

 我が家のリビングルームでは、午後10時を過ぎておりますが、正にナイアガラの滝のように、音楽が溢れ出ています。。。

 ただ今、パバロッティのビブラートがリビングルームで「全面解放」しています。。。


 今まで、私は「奇跡」を信じたことはありません。が、今回のクリニックは、間違いなく、、「奇跡」でした。。。

 目の前で起きたことを忘れないように、ここにメモします。内容が間違っていたら大変恐縮でございます。

 既に、多くのローゼンクランツ製品を装備した現況から、システムに進化といっても、その改善幅は限定的だと、これ以上の上はありえない、と毎回思うわけですが、、、

 今回のクリニックの効果は、信じがたい改善でした。一切、新しい製品を購入せずして、音がアップグレードしているのですから。

 お越し頂いたカイザー様は、オーディオが設置してあるリビングルームに入るなり、部屋中をきょろきょろと見回す。既に診断は始まっていたわけです。


 カイザー「とりあえず何か聞いてみましょう。」

 私「はい」

 カイザー「ふむ。たいしたものですね。色々なお客さんを訪問してますが、音はかなりいいほうですよー。スピーカーの位置はかなり最適に設置されています。」

 私「そうですかー。カイザーさんにそのお言葉を頂けるとは大変光栄です!。サウンドエクストラクターをスピーカーに設置する段階で耳をかなり鍛えられたと思うので、いいと思ったところが、現状の位置です。」

 カイザー「ははー、なるほど」

 私「は?」

 カイザー「このTV(42インチのPDP)とラックが悪さしてますなー」

 カイザー「この位置を最適化しましょう。これだけ大きい平面(TV)がスピーカーの間にあると影響は大きくなってしまいます」

 私「なるほど。そうでうかー。オーディオ専用部屋が欲しいのですが、一応リビングルームなので、ここは割り切って、PDPをおいているんですよ。」

 壁をちらっと見ながら、「では、AVラックを右に少々。そして、次 に、前に15ミリずらしましょう」


 二人でAVラックの前後位置をずらす。


 カイザー「このスピーカー(Dynaudio C2)は、YBAの実力を出し切れてない感じですなー」


 私「は?」

 カイザー「ほら、左右のバランスが。左のスピーカーの方がよく鳴ってるでしょ?右はこもってる。。よし。左右のスピーカーを入れ替えましょう。」

 一つのスピーカーをカーペットに平置き。そして、もう一つのスピーカーを反対側へ。雑誌四冊を敷いた上にスピーカーを仮置き。

 そして、一個ずつスパイク受けPB-Basieを設置。

 私「なるほど。雑誌や新聞紙を一冊ではなく、四冊使うと、一個づつスパイク受けを履かせることができる。これはよい方法ですね。さすが、手際の良さが光ります。」と、関心していると、

 カイザー「このスパイク受けを方向感が出るように順番付けしましょう」と。まるでおはじき遊びのように、8つのスパイク受けを指先でヒュッヒュとテーブルの上に並べて、順番に並べ始める。

 カイザー「これとこれを左スピーカーの前後に、これとこれを右スピーカーに。。」


 私「あのー、何をされているんでしょうか?何をどうみてその順番がわかるんでしょうか?私にはようわからんのですが。。。」

 カイザー「うーむ、なんというか、見ただけで、わかるようになるんですわ。」

 私「は?」

 自信ありきに選ぶ姿に、あっけに取られるも、言われるがままにスパイクを履かせる。。見ただけで、結晶構造の方向性までわかるのかしら??と目の前で 起きていることに半信半疑になる。。。

 最後に、左右のスピーカーの位置を微調整。

 重いトールボーイスピーカーを手元で、クイックイッと前後に揺らしながら、ミリ単位で位置決めをしてます。すごい早業です!職人を感じます。ここまで美しいスピーカーの位置決めをできる人は他にいないのではないでしょうか?


 次に、

 カイザー「この左のスピーカー(鳴っていないと言われた)のツイーターは、上向きに音が出ていない。。ほら」

 確かにツイーターの上位部分に耳を近づけてみると、音のエアーポ ケットのような感じがあります。一方、右のスピーカー(鳴っているほう)の同部分に耳を近づけてみると、音がちゃんと聞こえます。

 カイザー「これから、スピーカーユニットの方向を調整します」、と、ズボンのポケットから六角ネジ回しを取り出す。。

 私「すごいですね。ドラえもんのポケットのようです」

 カイザー「私の七つ道具です」

 手際よく、ツイーターの周りのネジをはずす。

 そして、先ほどのスパイク受けと同様に、ネジの順番付けと微調整を実施。その手際の良さといったら、とにかく、作業が早い!!宮大工さんの釘打ちをみているようです!

 カイザー「よっしゃ!ほら、よくなった!!」

 本当にすごいです。。マイルスのラッパが部屋全体で鳴り響いてます。ライブホールの真ん中に立っているようです。

 奥さんもその変化にはびっくりしたようです。

 カイザー「左右のバランスがよくなったからです。これで、スピーカーがようやくアンプの実力値に近づいたかな。」


 カイザー「次は電源や」と、電源タップNiagara-IIの配置を見直す。スパイク受けやネジと同じように、指を動かしながら、順番を決め直します。

 4つのコンセントタップ(左から)を以下の順番に変更。

 変更前:CDプレーヤの電源→CDプレーヤのメカ部専用
 電源→プリアンプの電源→空。

 変更後:CDプレーヤの電源→CDプレーヤのメカ部専用
 電源→空→プリアンプの電源。

 なんということでしょう!更に、エネルギーが体にぶちあたってくるではありませんか!!。まるで、シンガポールのマーライオンの前に立って、大量の水を体いっぱいにかぶっているような、そんな感じです。

 私「いやー、本当にすごいですねー。セッティングだけでこんなに変わるんですかー」と驚いていると


 カイザー「この(ウッド)ブラインドや!」というと、背中に面したウッドブラインドの向きを上げ下げし始める。

 カイザー「聞いててくださいね。これが、一番よい位置。次がこれ。」


 私「あ、確かに、ブラインドの角度で、部屋が共鳴しますね。お、これはすごい。音場が広がった!」

 カイザー「この部屋はこのブラインドがいい音を出しているんです。機器だけではないんですわ。この一枚板だからなおよい」とお褒め頂きました。


 ということで、約3〜4時間の間に、色々なお話をしながら、クリニックは終了しました。ねじ回しと身体一つで、、、ここまで音が改善するのは「奇跡」としか言いようがありません。

 オーディオファンの皆様、一度、このクリニックを受けることを強くお勧めします。理由は、機器を買い替える前に、自分で「できること」があること を再確認できること、

 自分の耳で「システムの最強レベルの音」を確認できること、などかと思います。機器のレベルが高ければ高いほど、威力を発揮するものと思います。

 おかげさまで、自分のYBAもDynaudioも惚れ直すきっかけになりました。

 本当にありがとうございました。

 S.K





 2回目の訪問

 
----- Original Message -----
 
From: info@rosenkranz-jp.com
 
To: S.K
 
Sent: Sunday, May 04, 2008 2:42 AM
 
Subject: 今日のセッティングは私の読み違いがありました


 S.K様

 今日のセッティングは私の読み違いがありました。

 スピーカーの基本的能力を上げてから性能アップの為のアプローチを試みるべきでした。その答えは先ず初めにスピーカーの足にジャイアントベースを履かせた後に今日のACケーブルであり、スピーカーのセッティングポジション決めをすべきでした。

 それにしてもこんなにも早々と能力の限界を露呈するとは思いませんでした。最近のトールボーイ型スピーカーはもやしっ子が多いですね。方や、YBAの能力を再認識することにもなりました。

 なにわともあれ今日は大いに勉強になりました。


 カイザーサウンド
 貝崎静雄


 ----- Original Message -----
 From: S.K
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Wednesday, May 07, 2008 11:34 PM
 Subject: Re: 今日のセッティングは私の読み違いがありました


 貝崎様、

 先日は長時間に渡り、真にありがとうございました。あれから数日が過ぎてかなり部屋に馴染んできたようです。

 今回のクリニックでは、リビングルームから小部屋への移動によるシステムの再設定とカイザーウェーブラックの導入という内容でしたので、音場の縮小を懸念していたのですが、それどころか以前よりも、更に音場に広がり、録音環境によると思われる背景の響きや反響まで聞こえるようになったのは正直驚きでした。



 部屋の大きさよりもセッティングによる効果の方が重要であることを再確認いたしました。しかし、いつみても神業のようなスピーカーの配置設定は圧巻ですね。おかげさまで、夢心地でオーディオライフを満喫しております。本当にありがとうございました。

 また、今回のクリニックでは、追加的に、1.Dynaudio C2のスピーカー背面のバッフルのネジ止め位置の調整、2.スピーカーの前面のネジ止め調整、3.電源ケーブルの変更(AC-RL(Limited) -> AC-RL(Maximum)とBloodstream -> デジタル専用ACケーブル(AC-DA(Silver)、を実行して頂いたのですが、その過程で一つ明確になったことがございます。

 それは、YBAのCDプレーヤとアンプの音楽再現性の高さと深みを再確認する一方で、DynaudioC2スピーカーは物足りなさ(この言葉を使うのは辛いのですが、はっきりいって認めざるを得ないでしょう)といいますか、改善余地が残るということです。貝崎様のご指摘を繰り返すようですが、もう少し自ら噛み砕いた結果、改めてそう感じるのです。

 まずは、YBAですが、電源ケーブルを交換することで、今まで優しいイメージだったMargareta Bengtson "I'm Old Fashioned"のボーカルがあれほど生々しく、いや、ギラギラというべきでしょうか?な音を奏でるとは。まるで別の生き物のようです。



 推測ですが、恐らくこれはYBAのCDプレーヤとアンプ、そしてACケーブル群による音楽再現性能力の結果だと思います。「玉虫色」という表現がありますが、あれです。今まで、シルキーでやさしい、きれいなイメージの音しか聞けなかったYBAが遂に本性を表したようです。

 まるで赤ちゃんの喜怒哀楽が瞬時瞬時に激変するように。これは、これからが楽しみな機器です。音源の善し悪しもあぶり出してしまうほど、深いです。シンプルな機器構造が活きているようです。これからも、末永く付き合える機器だと確信しました。


 一方、DynaudioC2は、見た通り、ウッディーな音(やさしいがボーっとした、エッジが弱い感が否めない)が以前から若干気になっていました。当初はこれが味で気に入っていたのですが、カーディナルスピーカーを東京試聴室で試聴してから、どうも見劣りしてなりません。

 これが、スピーカー前面のネジ止め調整と背面のダクトのネジ止め調整によって、低音を中心にボンボン前に競り出てくるようになり、シンバルなどの金属音もだいぶ前に飛んでくるようになりました。かなりの改善です。たかがネジの強弱でここまで変わるのか?と未だにカイザークリニックの深さには驚くばかりです。



 ところが、主にピアノの響きに対して付帯音といいますか、共鳴しきれない部分が残ってしまうのはやはり残念でした。原音はもっと美しい響き、倍音の響きがあるはずなのですが、どうも汚い。

 あくまで推測ですが、ご指摘の通り、足回りにより大きな金属体、すなわちGiant Baseのような大型のシンシュレータを導入することによって、ピアノの金属的な響きが更にでてくるのではないかと思います。


 現在使用しているPoint Basieでは力不足である可能性があります。スピーカーの上部に真鍮性のSound Extractorを設置すると音質の改善がみられることも、同様の理由に起因しているのかもしれません。エネルギーがこもる感じが耳で聞き取れてしまい、ピアノの場合、それが顕著にでてしまうようです。

 インシュレータを履かせるようになってから、かなり気になっているのは、ディナC2の足回りはかなりちゃちで、これが、音に悪さしている可能性が高いと思われます。スパイクはカチャカチャ鳴って頼りないですし、これが左右前後の4つの箇所ですべてバラつくのです。

 固いのもあれば、締り方の緩いスパイクもあります。これだけ重いスピーカーを支える足下がふらついていては、エネルギーの変動についていけないのではないでしょうか?。ディナのファン向けにローゼンクランツでスパイクとナットを開発して頂きたいものです。

 Dynaudioは鳴らしにくいスピーカーの代名詞のように言われるきらいがありますが、これはきっと、図体の割に足回りが貧弱、音の抜け難いダクト設計、スピーカーの左右による方向性管理ができていない、などに起因しているのではないかと思います。

 大変もったいないなというのが正直な印象です。デザインも最高だし、ユニット自体もよい、弦や声の再現力は抜群なのに。。うまく改造すれば、更に上があることを見込んで、また自らの耳で聞いた感性を大切にするためにも、あえてここに駄目だししておきます。

 ここまで自分が良いと思って買った高額なオーディオ機器をけなすのは心苦しいですが、きっとカイザーパワーで更なる改善が見込めるだろう!と見越して、正直になるしかないのです。

 次の改善策はGiant Baseの設置かと思われますが、オーディオ基金を貯めるまでしばしお時間をくださいませ。いかんせん、高価なものなので!

 こちらこそ、物事を深く、広く、知見を広げるうえで、大変勉強になりました。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。

 S.K


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