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和室の縁側に設置した(JBL4344)の音が冴えない

無料電話相談

夏のオーディオ界が静かなのは当たり前ですが、政治の混迷などで今年は例年以上にその感が強くなるだろうと予測して、早めに無料電話相談(オーディオクリニック)というサービスを7月初旬から始めました。滑り出しの反応は今一歩でしたが、野田政権に代わったかのように、問い合わせや注文が目に見える形で増えて来た事に驚いています。

地震、津波、原発と言った戦後初の未曾有の国難の時に、信も義も徳も情もない菅総理であった事が日本国の不幸でした。所信表明演説では最小不幸社会を目指すと言ったにも拘わらず、皮肉にも最大不幸社会にしてしまっただから・・・。それにしても、政治がこれほどまでに私達の生活や経済と密接な関係にある事を知らしめられる事は戦後に於いてありませんでした。

いけません、いけません、暗くなる政治の話題は口にチャックして、食欲の秋、音楽の秋の話題に戻しましょう。その無料電話相談の一つに、今件の4344に関する相談を頂きました。

『六畳和室の縁側に置いてある4344が情けない音しかしなくて、どうしようかと迷っていた時に、たまたまローゼンクランツの「無料電話相談(オーディオクリニック)」に目が留まり電話しました』。

「先ずスピーカーをどのように設置していますか?」

『合板の上に御影石の板を敷き、鋳鉄製のスタンドにスピーカーを設置しています』

この時点でかなりアウトなのですが、尋ねる内容毎に私の頭の中で減点数が増します。なまじその音が想像出来るだけに、さぞかしストレスが溜まっているのだろうと感じました。

「それでは、機材の組み合わせと、機器の置いてあるレイアウトと結線しているケーブル類等をメモしてファックス頂けますか?」。


ケーブル類の貸し出し試聴

届いた内容を見て、スピーカーの設置以上にケーブル類の方がもっと大変である事が分かりました。言葉で幾ら説明したところで音はお聞かせ出来ないので、ローゼンクランツの各種ケーブルをお送りして一先ず試聴して頂く事にしました。以下がその内容です。

スピーカーケーブル  :SP-RGB2a/\157,500
ピンケーブル  :Matrix PIN1/\54,600
デジタルケーブル :DIG-B7/\55,650

8月末で送料片道負担の「ダブル31記念無料貸し出し試聴キャンペーン」が終わったので、着払いでの発送となりました。翌日すぐに、次のような感想の電話を頂きました。

『今スピーカーケーブルだけを交換した状態で聴いているのですが、これだけで悩みは解消したのではと思うほど変わりました』。『自分の使っている有名メーカーのケーブルの酷さには愕然となり、又雑誌の誉めるだけの論評にも暗澹たる気持ちになりました』。『それにしても、スピーカーケーブルでこんなに音が変わるなんて思いもしませんでした』。


訪問クリニック

「それは良かったです。この先明かりが見えて来たようですね」。「無料電話相談と共に、カイザーサウンドでは訪問クリニックというのもやっていて、日本全国どこへでも伺います」。「9月中旬に広島に帰りますので、その便に合わせて受けられたら如何でしょう」。

今回の件ですっかり信用して頂き、『是非訪問クリニックを受けたい』という事になりました。お伺いして分かった事ですが、六畳と言っても畳1枚のサイズが今迄に見た事も無い程の大きでした。中京間とか三六間と呼ばれる3尺X6尺よりも更に大きい京間と思しき物で、今時の狭い八畳はあろうかと思うほどです。


T.Iさんのシステム概要

CDトランスポート  : COPLAND/CDA-288
DAコンバーター : Marantz/Project D-1
プリアンプ : Jeff Rowland/カプリ
パワーアンプ : Jeff Rowland/モノラル

Maranz/Project D-1は世に誕生した数あるコンバーターの中でも傑作中の傑作です。だから私も長らくリファレンスとして使っていました。それとトランスポートとして使っているCOPLAND/CDA-288との相性がすこぶる良く、耳に心地良いアナログのような音楽を醸し出すのに大きな働きをしています。


スピーカーではなくラックの調整

スピーカーの置いてある位置は以外にも良く、修正するほどの事はありません。むしろオーディオラックの位置を前に出し、スピーカーとの振動の周期の折り合いを良くしてやりました。もっとも貸し出ししたケーブルが3本繋がれていたからでもあるのですが、4344の魅力は結構出ていました。

又、パワーアンプがモノラルなので、棚板の置き場所によっては大きく振動の煽りを受ける事になります。今回は特にそれが良くありませんでしたので、振動の影響の少ない場所に移して安定した音を手にしました。この二つの修正によって音楽性がかなり向上しました。

左の写真が良くない位置の物です。前後にずれてあるのはどれ位動かしたかを分って頂く為の物で、奥にある方が音の良い位置であります。音のにじみが取れると共に力のある音に変化しました。

縁側にスピーカーを置いてある為に、垂れ壁に遮られる形となって上方に音が溜まり、聞き手の方に音が届き難くなっている点を改善してやる必要があります。これはかなり厄介なのですが、今回に限っては人の背丈ほどあるオーディオラックが味方してくれる事になりラッキーでした。

一番上の棚板の位置を変える事によって、旨く音を前に送り出す事に成功したのです。当初は背の高いラックが悪戯をしていたのですが、アイディアさえあれば何とかなるものです。自分でも驚くほど、現場、現場で次々と閃きます。それもこれも、数え切れない種類と数のオーディオシステムのクリニックをこなしてきた賜物です。 

 
元の状態 処置後

スピーカーの加速度組み立て

こうして音が大分良くなった所で、T.Iさんの方から『スピーカーの"加速度組み立て"というのは効果があるものでしょうか?』という質問を頂きました。ローゼンクランツのウェブをよく見て下さっていたのです。

それについては調整している時点で、右のスピーカーの繋がりが良くない事に気づいていました。加速度組み立ての利点と効果を説明させて頂き、ミッドハイのドライバーとウーハーの方向性を是正しました。特にドライバーは天地反対にしました。ウーハーは時計方向に120度回して取り付け直しました。

この処置は大きな効果が得られ、広がりと高さ方向に素直に音が伸びると共にとても美しい響きがするようになり、楽器の持つ音色の魅力が現れました。少なくとも部屋の広さが倍になったような感覚を覚えるほどです。

調教は大変難しいですが、4344はJBL特有の魅力を感じさせてくれるスピーカーです。一度に掛けられる予算も限りがあるとの事なので、先ずはスピーカーケーブルを購入して頂き、他は今後の楽しみとして一つずつ買って行くという事になりました。

今回はクリニックとセッティングによって、先の見通しの明るさを手にして頂く事が出来ました。広島に定期的に帰った時に声をかけて貰えればどんどんと音は良くなって行くでしょう。

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