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VISATON MONITOR 890Mk2 & EAR 509Ux4

常に申し上げているように私のビジネスモットーは、「顔の見える商売をしたい!」に尽きます。人間関係がどんどん希薄化して行くネット通販たけなわの時代だから尚そうありたいのです。私は時々何年にも遡ってメールや売上台帳に目を通し、目に止まったお客さんにアフターフォローの一環で電話を差し上げることがあります。人生勉強になったり、開発のヒントになったり、得るものがとても多いのです。

今回クリニックに伺うことになった豊田市のH.Yさんもそうでした。H.Yさんの場合は、PB-Rosenkranz(インシュレーター)を筆頭に、カイザーゲージ、瀬兵音鏡等々、数年に渡って7品目もお買い上げ頂いていました。


「電話でお話させて頂くのは初めてですが、宜しくお願い致します」

「VISATON MONITOR 890Mk2という本格的ホーン型スピーカーをお使いであると伺っていましたが、如何ですか?」


『自分では先ず先ずと考えておりますが、プロのカイザーさんから見れば問題が色々あるのではと思います』。


「ドイツの名門であるVISATONのスピーカーを私は聴いたことがないので、勉強方々一度お伺いさせて頂きたいのですが・・・」。


『願ってもないことです、色々とアドバイス頂ければ幸いです』


H.Y邸 システム

・スピーカー Visaton Monitor 890Mk2
・パワー EAR 509X4
・プリ EAR 912
・イコライザー EAR 8250
・CDプレヤー EAR Acute


オーディオルームをD.I.Y.にて独自にチューニング

一ヶ月ほどして訪問する事が出来ました。

壁全体にパイン材を張り巡らせているので、一般の部屋とは違ってゆったりとした潤いのある音が特徴です。大成功のひとつであると思います。アメリカパインは杉ほど柔らかくはありませんが、柔らかい中にも若干の粘りがあるのでオーディオの壁材としてとても優れています。どう使っても先ず失敗がありません。


VISATON MONITOR 890Mk2を鳴らすポイントは中音にあります。上下の開口角度が極端に狭いので全体の調和を取るのが難しいです。オーディオのセオリーの一つに「ツイーターは耳の高さに」というのがありますが、このようなスピーカーの鳴り方がひとり歩きして出来た経緯が分かる例です。

論より証拠、H.Yさんは椅子の高さを20センチほど嵩上げして聴いておられます。でも、私がセッティングすればその必要は今日を限りに無くなります。スピーカー自体の問題である各ユニットの音源軸を合わせメカニカル波動の調和をとります。


スピーカーと部屋がお互いに織り成す主音と間接音の辻褄合わせをします。壁一面に張り巡らされたパイン材の残音保持力の高さを存分に取り込む為です。

その残音保持力を証明する又と無いエピソードが今回ありました。

話は前後しますが、諸々セッティングを終えて二日ほど経ってのことです。広島、神戸での仕事を終え東京へ戻ろうと高速へ乗った時に、H.Yさんから『左チャンネルの中高音から音が出ていない』という内容の電話がありました。

「各々のユニットに耳をそばだて確認をした上で音合せをしたので、その時点では少なくともそうした症状は確認出来ませんでしたけど・・・」。どちらにしましても、3時間後位にはそちらに立ち寄れますから、どこに問題があるのかハッキリすると思います。

H.Y邸に着くやその状態を確認すると左の高音部を受け持つアンプの不良が判明しました。何かの拍子に音が出たり出なかったりします。しかし、片方の高い方のユニットから音が出ていない時も明らかに出ていないというほどには感じないのです。

これほど指向性が狭いスピーカーであるのに、僅かに右が強いかな・・・、そんな差なんです。その秘密は壁一面に張り巡らせたパイン材にあります。直接音・関節音の反射周期を合わせた事で音の保持力が高まり、部屋全体に音楽が充満しているから、片側の中高域エネルギーだけでも不足感を感じないのです。

本件はオーディオルームの設計に大いに役立つデーターとして、私のデータバンクにしっかりと刻み込まれました。オーディオ機器のみならず部屋の力は恐ろしい物があります。


四番の一振り(パワーアンプ・アタッチメント)

一度目のクリニックでは、『ここまで機材に投資したので、存分にシステムの力を引き出してやりたい!』そんな前向きな要望を頂いたので、最新の傑作であるパワーアンプ・アタッチメント(四番の一振り)を繋いで聴いて頂きました。


持ち込み数は既に10軒近くになりますが、ことごとく大成功を収めています。アンプとスピーカー間の呼吸がピッタリと合ってくるのです。だから今回もすぐに導入が決まりました。

この音には参った!!

そんな出来事が目の前で起こります!


スピーカー用サウンドステーションの納品

H.Y邸の秀でたところはパイン壁ですが、一方でスピーカーの足場の不安定さを目にして、これは拙い! と瞬間に感じたので、足場にはサウンドステーションをお勧めしました。


エンクロージャーの袴部分に鋲があるではなく、スパイクが付く様子もありません。要するに50年前の設計なのであります。安定性と振動対策の両面を考え、インシュレーターには上下面が平らなCaptainの4個受けにしました。

このように足場が決まるとオーディオシステムと部屋の息が合ってきます。ここがオーディオセッティングの”いろはのイ”であります。Visaton Monitor 890Mk2にはミッドとハイにアッテネーターが付いてあるので、腕と耳に自信のある者にとっては、ピタリと合わせ込む事が出来るのでとても重宝です。

スピーカーの音と振動が部屋の響きとシンクロするので、音楽の魅力とオーディオの醍醐味が溢れんばかりです。コントラバス、チェロ、ビオラ、バイオリン、ミクロマクロに色彩豊かな音色が共鳴します。

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