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演奏の強弱に対して忠実な再生をする



銅 賞

 ----- Original Message -----
 From: K.I
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Saturday, April 16, 2005 12:33 AM
 Subject: RGBケーブル試聴
 
 こんばんは。 K.Iです。
 原稿を仕上げていまして、30分ほど時間が過ぎてしまいました。
 出来上がりましたので、添付してお送りします。

 NIAGARA Jrと相性が抜群だったので、そのままアートクルーで購入し、聴いています。 いいケーブルですね。ありがとうございました。


 AC-RG2 試聴の感想

 まず、今私がオーディオを聴いている環境と、好んで聴く音楽、狙っている再生と現在のシステムの現状などについて簡単に触れておきます。
  • 部屋は8畳くらいの和室です。聴く位置からスピーカーユニットまでの距離は約2m20cm。
    音響はデッドで、特に調整はしていません。
  • よく聴くのはクラシックで、弦楽合奏、交響曲など。たまにジャズ(ピアノトリオ)。
  • 求めるのは、演奏の繊細な表情をうまく捉え、切れ味とともにしなやかさを感じる再生。
    演奏が決して冷たい印象にならず、かといって迫力だけでごり押ししてくるのでもない、バランスの良い再生。
    特定の帯域が目立つのではなく、音にストレスがなく、伸び伸びとした心地良さがあることの方が重要です。
    特にホール、教会などでの録音では反響音もしっかり再生できること。
  • 現在のシステムは、完成形のイメージからすると6、7割です。

 ケーブルについては全てのケーブルを納得のいくように選択しているわけではなく、まだ先が長いな、というところです。
 CDプレイヤーは堅実なタイプ、プリメインアンプはパワー感で圧倒するのでなく柔軟な聴かせ方がうまい、反応も良いタイプで弦楽は得意だと思います。スピーカーは3ウェイで上ふたつがホーン、ウーハーは30cm、能率は高い方だと思います。

 実は1年ほど前、ケーブルの構成も今とは違うときに、ナイアガラJrの電源ケーブルとしてAC-1S(8N Limited)を試聴する機会がありました。このときはほかの部分の調整が不充分で、各機器の実力をどこまで引き出せていたかはかなり疑問ですが、他社のケーブルにくらべてJrとの相性はさすがにいいな、と感じました。弦楽器など、のびのびと明朗に鳴る印象でした。

 今回の試聴に当たっては、手持ちのCDの中からいくつか選んで聴いてみました。


 1.女性ボーカル

 ベテランらしい成熟した味のある歌唱に、しみじみとしたバックの演奏がよく溶け合っています。 しっとりと柔らかく歌い上げる線の細いボーカルの質感をうまく引き出したいのと、バックの演奏とのバランスがうまく取れるかに注目しました。

 まずエージングを全くしていない状態のAC-RG2を接続した直後の印象。
 明らかに、高域方向の音楽情報が明瞭に聴き取れます。それも、例えばJBLのスーパーツイーターを足しました、という感じではなく、再生レンジは充分に伸びていて、でもそれより、今まで埋もれていた微妙な音が聴こえることによってボーカルの雰囲気が生々しくなる感じ。
 バックの演奏もいろんな繊細な音が鳴っているのですが、弱音もしっかり聴こえるし、楽器の表情もアコースティックギターなど以前より随分それらしく聴こえます。


 2.アコースティックギター

 ギター1本だけがシンプルに鳴る演奏を選びました。きめ細かい音がどこまで出せるかに注目。

 これは圧巻でした。特に中域のホーンの帯域から圧倒的に生々しい繊細な音が聴こえて、思わずぞくっとする瞬間も。音の立ち上がりも充分な鋭さを感じました。微妙な音の絡みや余韻も聴き所で、オーディオならではの美味しい音。しばらくCDを止めることができませんでした。

 3.チェロ

  録音の良いCDを選びました。チェロの独奏。XRCDなどではなく、普通のCDです。
弦楽器の艶、色気のようなもの、そのほか様々な表情が入り混じったチェロの独奏をどこまで心地よく聴かせてくれるかに注目。

 これも満足できる再生になりました。演奏の抑揚感が良く伝わり、繊細な音から勢いのある弓の動きまで目の前にはっきりと見えるような印象です。チェロ特有の繊細な音が一層鮮やかに聴こえるようになったのは嬉しいことです。


 このほかにもいろいろ聴いたのですが、オーケストラでも弦楽器の表情がぐっとしなやかになる一方、金管楽器の輝きもあるし、間接音の表現も正確で豊か。総合的なバランスの良さを感じました。
 こうして言葉にするとうまく伝わらないのですが、このケーブルとJrとの相性はかなり良いようです。
実は、私が実際比較したのはノードストのエルドラドという電源ケーブルで、Jrと組めばエネルギー感豊かな、暖かみのある独特の再生を聴かせてくれていたのですけど、高域方向の音の抜け具合が少し不満でした。
 
 “帯域”という狭い見方をすると、低域方向が薄くなったのはエルドラドとの違いか、あるいはシステム全体の調整の影響が素直に出たのかもしれません。が、ここまで音楽の表情が豊かに生々しくなるのであれば、それはほかの部分で調整可能だと感じました。
 一方で中域〜高域にかけては言うことなし、特にクラシック系に関しては、重要といっていい“繊細な音の表情”“抑揚”“間接音、反響音”などの要素がことごとく質感を高められた印象です。

 エネルギー感では、エルドラドもそこそこいけてるのではと思うのですが、AC-RG2の場合、迫力で聴かせるという単純な表現ではなくて、あくまでも演奏の強弱に対して忠実な再生をするという印象なのです。全体にしなやかな音の感触なのに、表情は生々しく、かつ抑揚はダイナミックで、反応も鋭い。まるでスピーカーの能率が高くなったかのような鳴りっぷり。
だから、クラシック系の音楽だと“演奏者の溢れる情熱”などという言葉で表現したくなる再生になるのです。これは私が今求めている方向とぴたり一致するし、Jrを使ってこういう再生を引き出すことができれば、思い切ってJrを導入した甲斐があったというものです。

 私はアンプの電源をJrから取っています。この再生なら間違いなく、壁コンセントから取るよりもこの方がいい。試聴を忘れてすっかり音楽に浸りながらふと思いました。これはアンプが本来持っていた可能性がやっと出てきたのだな、と。私のシステムにおいてはJrを完璧に生かすことができるケーブルであると感じました。

 以下は余談ですが、今のアンプではポップス、ロックに関してはちょっと不向きかなと思っていましたが、AC-RG2では予想以上にこれが聴けるようになったのは嬉しい収穫でした。

 また、エージングしていないのにいきなり良く鳴ったケーブルは初めてでした。


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