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製作過程は難産の連続でした



 これだけ大型のインシュレーターは初めてでしたので、製作段階において難産を極めました。最大の難関は半田結合工程です。中ゴマの重さだけで300グラムもあるので、今まで使っていた大型のピンセットではつかめないとの連絡がありました。私自身がインシュレター製造の現場を離れて久しいのでそこまで気がまわらなかったのです。

 鍋型の母材と中ゴマの間の直線部分のつまみしろはわずかに1.7ミリしかありません。どう考えてもこれをつかめる工具などありそうのないので、すぐに旋盤職人の名人に専用の冶具を作ってもらうよう頼みました。


 出来上がってきた冶具の写真を嬉しそうに沢山送ってきました。その写真を見て私はびっくり仰天しました。コレクトチャック式のたいそうな物でした。技術屋という者は良い道具を手にした時にはやる気になるものです。

 安心したのもつかの間、その翌日のことです。泣きそうな声で『どうにもなりません』と電話してきたのです。スチールと真鍮の膨張率の違いなのかチャックを緩めてもインシュレーターが外れてくれないらしいのです。


 慌てて上の穴から棒でつついて放すと、高熱の半田が飛び散り大やけどしそうになったらしい。さりとて、のろのろしていると半田のツキが悪くなるので、数秒の間に決めてしまわなければなりません。精度は、まったくガタがないゼロゼロで作ってありますので、垂直にしたまま芯に合わせるのが至難のようです。

 大掛かりな冶具はスチール製で重たので微妙なコントロールが出来ないのでしょう。致命傷だったのはチャックの先に半田が付着して次の製品がつかめなくなるのでした。

 その報告を受けた時は次なる手を考える気力も湧いて来ませんでした・・・。


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