ボルケーノさんがかなり頑張ってくれたようです。自然な繋がりと、まとまりの良さがすぐに分りました。オーディオ的特性面では全くもって申し分ありません。
でも気になったところが無いわけでもなく、具体的には次の2点です。”ちょっと閊(つか)えた感じ”と、”流れるような音楽性”に欠ける点です。
彼の報告では6dB同士でも、12dB同士でも良くないので、6と12の組み合わせでやってみたところ、どちらも良く、ウーハーを6dB、ツイーターを12dBにした時が一番良かったようです。
その確認をする為にウーハーには何も入れず、ツイーターにコンデンサーだけを入れた音をチェックしました。出来るだけウーハーの良さを出す為に、フルレンジとしてどんな表現を見せてくれるのか知っておきたかったのです。
数値は3.3μと1.5μをパラった4.8μ。
悪くはないがこじんまりした鳴り方です。両ユニットの重なる部分が多いだけに僅かに混濁した感じがあります。
次は彼が2番目に良かったという、ウーハーを12dB、ツイーターを6dBにして聴いてました。”これで決まりじゃない”と思えるほど良い感じです。開放感ある鳴りっぷりです。
次は一番最初に聴いたウーハーを6dB、ツイーターを12dBに戻して聴きます。低音がグッと締まったオーディオ的な魅力も同時に備えた音です。
「微妙だけどやっぱりこっちの物か・・・!」
「よし!これで行こう!」
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完成に向けての調整 |
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ここから先仕上げに入ります。先ずコイルとコンデンサーの方向性をチェックし、左右のマッチングも合わせてペアリングを組みます。
「この状態で組み直して聴いてみましょう」
音楽が美しく流れるようになりました。方向性を揃えるだけでかくも変わるものか改めて驚いた次第です。コイルに関しては巻き始めの内側から巻き終わりの外に線材の方向性が向いているのが望ましいのですが、今日あるパーツは全て外から内に向かっていました。この場合は凝縮した長所があります。
内から外へ方向性がある場合は開放感のある音になります。凝縮と開放のバランスが大切です。
コイルは何重にも巻きますので、線材の方向性による音の違いはピンケーブルやスピーカーケーブル等に比べてその変化量が大きいのです。
それでもこんなに良くなるのですから方向性がもたらす音の違いは怖いものがあります。
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コンデンサー、コイル、抵抗の脚の長さ調整 |
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配線の為の数センチほどある脚の長さを音楽性の良い長さに切って調整します。このアプローチはリズムの切れ、抑揚等グルーブ感が生まれ演奏が一気に上手くなったような変わり方です。
長さ調整したパーツ類の脚の長さを記録し、量産時の物も製品毎のバラツキが出ないように、世界一拘ったネットワークにしつらえる考えです。同じ部品を使い同じ回路で組めば、同じ音になると思っている人達が如何に多いことか??・・・。
見た目には真似が出来ても、この音楽性のあるネットワークを越える事は不可能な領域にまで持って行きます。『こんな簡単なネットワークなら俺にでも出来るよ!』という方は、是非挑戦してみて下さい。
最終的にスピーカーが完成したらこのスピーカーを聴いた人全員が度肝を抜かれるでしょう。
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