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その18 「縦波」と「横波」


  ドルフィンキック

 この「縦波」と「横波」という言葉から私がいち早く想像するのがイルカの泳ぎです。大半の魚は尾ひれを横に振って泳ぎます。その中でも特に「鯖」や「鰹」や「ブリ」といった回遊魚は大砲の弾のような形をしていてとても速く泳ぐことが出来ます。食物連鎖からしてもそれらを餌にして生きて行く為には、更にもっと速い泳ぎを身に着ける必要があります。その為に編み出されたのがドルフィンキックなのでしょう。

 愛嬌のあるイルカがジャンプして輪くぐりする様子を見ていますと、もの凄い力であることが分ります。最近人気が出てきたシンクロナイズドスイミングでも水中からジャンプしますが、それも何人もが力を合わせて持ち上げても足首が水面以上まで出ることはありません。それぐらい強い力を彼らは持っているという事になります。

  回遊魚は全身が筋肉

 空気中よりも大きな抵抗のある水の中で、疲れを知ることなく泳ぐのですからその身体能力の高さには驚かされます。その力の秘密はどこから来るのだろうか?、とふとそんな事から鯖を輪切りにした煮付けを食べる時を思い起こしてみます。その身のほぐれ方から年輪のような形をしているのがそれら回遊魚の特徴で、全身がプリプリとした筋肉であることがよく分ります。鯛やヒラメのように平べったい形をした魚とは身の付き方が全く違います。

 こうした身体の構造が強い力を生み出す源だということが分ります。イルカの肉体構造こそ知りませんが、それらを更に上回る身体能力を持っていることだけは確かです。ただ見ていて分ることですが、パッと身をこなす左右方向への急旋回ということについては「横波」の方がどう見ても有利ではあります。そのことはピアニシモの微弱音あたりの表現には向いていると言えるかもしれません。

  形状の違う物は波動が合わない

 ここで我がローゼンクランツのインシュレーターに話を戻しますが、表面が平らな形状の物とディンプル型のBIG JAZZを同じ機器の中で混ぜたが故に波動が合わず、ハーモニーを生み出せなかったものと思います。特にスピーカーの場合は振動エネルギーが強いものですからその差がより顕著に表れるのでしょう。 

 4段のラックにはCDトランスポート、DAコンバーター、パッシブコントローラー、パワーアンプとBIG JAZZを3X4の12個使い、スピーカーのみPB-BIGにDADDY、MB-18とした場合が現時点において一番私の好みとする鳴り方がします。ただ、当社の場合は3段直重ねの特殊なスピーカーであることをお断りしておかなければなりません。まだ実験はしていませんが単体のスピーカの場合であれば間違いなく全部同じタイプのインシュレーターで揃えるのが、より一層足並みが揃って音楽の抑揚が出るものと思います。

  「棒と板」より、「棒と棒」の方が波動が揃う

 この「縦波」と「横波」の違いということと関連して似たようなことを過去に経験しております。それはCD及びアナログのディスクスタビライザーの開発実験の過程においてのことです。2枚の真鍮板を貼り合わせる際に、「薄い鍋型の母材」と鳴き止めに使う「ドーナツ型の副材」の組み合わせの違いによる音の違いを調べたものです。「棒と板」、「棒と棒」の組み合わせた物を聴き比べますと、明らかに「棒と棒」の組み合わせの方が音楽が流れるようにハーモニーがより美しく聞こえます。

  目は騙せても、耳は騙されない

 この事は伸銅品が出来る時に加えられるストレス(一種の波)は外から中心に働きます。方や板材はローラーで伸ばされますので当然ストレス波は水平方向に加わります。その波動の違う物を組み合わせた時には、何とも両者が嫌がっているような感じが、否が応でも、もう一方の波動の揃った「棒と棒」で出来た物と比べてしまうと判ってしまうのです。目で見ただけでは誰も製品の違いを言い当てることは出来ませんが、音としての違いは誰が聴いても分るのですから、「目は騙せても、耳は騙されない」、人間の耳の力というものは恐ろしいものです。またこれは回転するものですから、なおの事同心円状の波動の棒が良かったのです。


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