トップノウハウ再生現場から感じるソフトの問題点ゴージャスな音とリアルな音の違い

ゴージャスな音とリアルな音の違い



 全ての楽器の音を漏らさずに録音しようとすると、実際には小さい音なのについついマイクレベルを上げてしまう傾向があります。こうして隙間なく盛り沢山に録音されると、パッと聞きには確かに高性能に感じるでしょうが、よく出来たオーディオシステムで聴くとすぐに不自然なのが分かります。

 それは倍ほど背丈の違う親子の写真が、同じ大きさに写っているような不自然さに似ています。

 音の大小、遠近、強弱の関係をある一定以上歪曲してしまうと自然界に存在する倍音関係が成立せず、それはかえってリアリティーを失い、「虚」であり「嘘」と人間は認知するようになります。何事もやり過ぎはいけません。

 雷、地震、突風等の音や振動に代表されるように、自然界には人間が敏感に反応する生きた見本が沢山あります。何が高性能なのか?、そしてリアルなのか?、もう一度音作りや物作りの現場に携わる人達は原点に立ち返る必要があるのではないでしょうか。


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