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2002年8月28日 石川県 Y.A様


 別件で急に金沢へ行くことになり、この最近ローゼンクランツの音にハマッテイルというY.Aさんのお宅にお伺いさせていただくことになりました。以前Y.Aさんにはいくつかお叱りを頂いたことがありますので、そのお詫びも兼ねての訪問です。

 当社からほんの100メートルほどのところに、JR西日本にお勤めのお客さんがおられます。私はいつも切符を買うときには、彼に相談をして便利の良い旅のプランを立ててもらいます。本当にありがたい存在です。

 新大阪まで新幹線で、そこからはサンダーバード27に乗って金沢まで行くのですが、在来線の窓から見える琵琶湖の景色は何とも美しいものです。何年もこの味は忘れていたものです。電車の速度と目に入る外の景色の移り変わりが丁度いい感じなのです。それらからは人々の暮らしが色々と想像できて、時間のたつのも忘れるくらい窓の外の町並みや自然の光景に釘付けになりました。子供のころにタイムスリップしたような不思議な感覚です。

金沢の駅の構内では、今話題のNHK大河ドラマ(利家とまつ)に関連した百万石展が催されていました。

 金沢駅の西口を出てすぐ左に立派なホテルがあります。そこに宿を取ろうと思って伺いますと、あいにく満室でした。タウンページを見て手当たり次第に電話をかけると、何とか空いている旅館を見つけることが出来ました。


 私は柔らかいベッドに寝ると腰が痛くなるので畳に布団が一番です。すぐそばには野球で有名な星稜高校があります。頂いたお風呂はそこそこの温泉みたいで、肌触りが良く、匂いもその風情を感じました。夕飯まで作ってくれる大変家庭的な旅館ですから、長期滞在者が多いみたいです。

 瀬戸内の広島ではタオルケットすら必要ないくらいの残暑ですが、金沢は少し涼しく、薄い掛け布団が丁度いいくらいで夜もよく眠れました。早めに目が覚めましたので、30分ほどあたりを散歩し、朝のすがすがしさの中で田舎の光景が目に入りましたのでカメラに収めました。少し体を動かした後には、ボリュームたっぷりの朝食が待っていました。何とそれで1泊5,250円。

 宿からほんの10分ほど歩くと、大きなはす畑が広がっていました。近くでは環状線の工事が急ピッチで進んでいました。失う自然と交換に手に入れる便利さを天秤に掛けると、はたしてどちらが得なのでしょう。

 約束の9時きっかりにY.Aさんは迎えに来て下さいました。そこから彼の自宅まで15分くらいでしょうか、新築間もない立派なお家に到着して改めて名刺交換させて頂こうとした時に手帳がありません。切符や免許証も入っている大事な物なのに、どうやらを旅館に忘れてしまったようです。最近物忘れが多く、こうしたことが3度ほどありました。

 2階に案内されたのは寝室でした。まだお子様が小さい関係上居間にはステレオセットを置けないのが理由とのこと。つい2〜3日前にピンケーブルPin−1S(8NPerfect)を2組買って頂いたばかりでしたから、私の希望通り結線できているのか、それが気になって観察すると不安が的中し信号の流れと結線の順番が逆でした。

Pin−1S(8NPerfect)

 それはどういうことかと言いますと、CD⇒プリ間とプリ⇒パワー間に同じピンケーブルをつなぐのですが、実は、作る工程において線材、防振材、被覆等、全ての材料の響きの方向を徹底して管理しております。特に、この度の物は信号の流れの方向とリンクして製作しているスペシャルメードなのです。

 しかし、比較試聴するのにはその方が却って好都合です。今現在聴いている曲を理想の順番につなぎなおして聴いていただくわけですが、その前に今回の製造ナンバー020820と020821という数字についてですが、これは実際に作った日にちを表わしており、’02年8月20日ということになります。

+と−を逆に結線していました。 正しくつなぎ直した状態 高域側からの信号供給を提案
 ローゼンクランツのジャンパーケーブルはL・Rそして+・−までも管理して作られておりますので、ついうっかり間違って結線することがあります。こうした考え方は世界広しといえど他にありません。



 ステラメロディーのツイーターは口径が大きいので、音楽のファンダメンタルな表現を大きく担っています。そのために高域側から音楽信号を入れるとよりいっそう力を発揮します。
PB-REXUによる前1点の3点支持。 CDプレーヤーにはY.Aさんお気に入りのPB-JRU。

 これからが本番で、020820⇒020821というように、信号の流れの順とケーブルの響きの方向に合わせた製作順に正しくつなぎ直した状態で聴きます。音が出た瞬間に、それを作った張本人の私の方があまりもの音楽表現の豊かさが出てきたことに驚いてしまいました。

 何度も、このような場面に居合わせているにもかかわらず、こうした感情の伝わり方が高まるように、人の気持ちが切々と伝わってくるのが本当に不思議というほかありません。でも偶然ではなく、この方法に則って、物作りを進めて行けば行くほどその感情表現が豊かになってくるのです。

 これは技術とか科学とかを超えたところの現象と思いがちでしょうが、実は私はそうとは思ってはいません。この宇宙のメカニズムは、元に回帰して行けば行くほど非常にシンプルなメカニズムでバランスされていると見ています。ですから、ローゼンクランツでは生き物の進化の過程に関心を示して研究を進めているのです。

 そのためには、自分自身が生き物として敏感なセンサーを常に働く状態にしておかなければなりません。別件でこの金沢に来たと言うのは実はそれと関連があるのです。人から見れば少し頭がおかしいのじゃないのと思われるようなことですが次回に触れてみたいと思います。


 後日、Y.A様よりメールをいただきました。

 ----- Original Message -----
 From: Y.A
 To: kaisersound@rosenkranz-jp.com
 Sent: Sunday, August 25, 2002 7:39 AM
 Subject: 先日はありがとうございました。

 貝崎様

 大変お忙しい中、遠いところまでお越し下さり、本当にありがとうございました。

 大変感謝しております。

 お蔭様で、現用のシステムが見違えりました。

 今まで気になっていたのは、アキュフェーズ独特のキンキンの音。綺麗に聞こえるのは良いのですが、綺麗過ぎるのも困り者。ピンケーブルの交換で、まずそこが改善され、柔らかく、温かみが出てきました。

 レンジがどうだとか、S/Nがどうだとか言う前に、美味しい所がきちんと出る。そこが凄い事だと感じました。

 それと、直接お話をさせていただくというのはとても大事なことだと思いました。実際に喋ってみないと、その人の思いの微妙なニュアンスが分からないからです。ですから、今回実際にお話させていただきまして、勉強になる所が多かったです。感謝しております。

 今度は電源ケーブルの番だなと、考えておりますので、今から本当に楽しみです。予算が出来次第、またお願いしたいと思っておりますので、また、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。



  -----Original Message-----
  From: info@rosenkranz-jp.com
  Sent: Sunday, October 13, 2002 8:03 PM
  To: Y.A
  Subject: 商品発送のご案内

  Y.A様

  パソコンが故障していた関係でメールでのご案内が出来ませんでした。

 今回まとめてご注文頂いた事から、特別に4本のケーブルを全ての材料を順番通りに組み上げる方法にて作らせて頂きました。製品として公表はしておりませんが、ローゼンクランツケーブルの特別仕様として用意させて頂いております、パーフェクトモデルの更に上の究極の物です。

 このケーブルをお使い頂く時には信号の流れの順に合わせて、製造番号の若い順に結線してお使い頂くと本来の効果を発揮するようになっております。お間違えの無いようCD⇒プリ⇒パワーの順にお願い致します。

  また、試聴のご感想でもお聞かせ頂けると嬉しく存じます。

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  貝崎静雄
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  http://www.rosenkranz-jp.com
  -------------------------



 ----- Original Message -----
 From: Y,A
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Thursday, October 17, 2002 3:41 AM
 Subject: RE: 商品発送のご案内

 貝崎様

 パソコンが直って良かったですね。

 さて、今回もまたお世話になりまして、本当にありがとうございました。特別仕様にして頂いて、とても感謝しております。

 前回の注意を踏まえ、今回はきちんと番号を確認の上、結線させていただきました。

 とは言うものの、1週間ほど我が家のシステムに電源を入れていなかったせいで、音の状態があまりしっくり来ません。ですので、しばらく様子を見ることにしました。(アキュフェーズは本当にエージングが長いですね。)

 その後3日間程通電しっぱなしの状態で、機器達もようやく落ち着きを取り戻し、ケーブルの真価がようやくハッキリしてきました。

 まず感じたことは、ケーブルを交換するごとに、音楽が確実に音楽的になって来たという事です。

 確かに今まで使用していたS/Aラボ製品は、実に繊細に細やかに微妙な歌い手のニュアンスまで表現され、結構気に入ってもおりました。

 ところが聴き慣れるにつれ、どこかパサパサとして味気ない、綺麗に聴こえるのはいいのだけれど、何かどうにも物足りない所をずっと持っており、ひょっとしてアキュフェーズの傾向なのかなぁ、と機器の性能まで疑いもしました。

 しかし、です。
 RosenKranzケーブルに変えてハッキリと分かりました。
 楽器それぞれの音色が実に音楽らしくなっていくのです。

 ピアノが、
 ギターが、
 ボーカルが、
 綺麗と言うより、瑞々しく、
 細いと言うより、しなやかで、
 艶やかに、芳醇に、
 音楽が奏でられるのです。

 本当に良いケーブルに巡り合いました。
確かにこのケーブルだと、他社のケーブルとの組み合わせでは、なかなかその真価を体感できないのは頷けます。

 しかしまだ、スピーカーケーブルが残っております。次回これを交換すれば、どうなるかと思うと、今から本当にワクワクしております。1Sで行くのか、張り込んで5EXで行くのか、本当に悩ましい問題でもありますが、それも楽しみの一つ。

 予算が取れ次第、またお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


 全てがローゼンクランツ製ケーブルで揃った音とは

 その後立て続けに、Y.Aさんにはスピーカーケーブル、スピーカーアタッチメント、ジャンパーケーブルとお求め頂きました。これで一通り電源ケーブル、信号ケーブル、スピーカーケーブルと全てローゼンクランツ製で揃ったことになりました。そのラインアップは次のようです。

  電源タップ   PW-3
電源ケーブル AC-1S(8NPerfect)3.045m/タップ用
AC-1S(8NPerfect)1.785mX3/CD,AMP用
ピンケーブル Pin-1S(8NPerfect)1,05mX2
スピーカーケーブル SP-1S(8NPerfect)2,1m
ジャンパーケーブル JP-105(8N)
スピーカーアタッチメント SP-8N(Perfect)



 ----- Original Message -----
 From: Y. A
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Tuesday, November 19, 2002 3:12 PM
 Subject: RE: ありがとうございました/Y. A

 貝崎様

 連絡が遅くなりまして、申し訳ありません。商品の方、無事に到着いたしました。ありがとうございます。

 さて、ちょっと仕事が立て込んでいたため、セッティングは昨夜になりました。

 最初はSPケーブルだけ交換し、ムジカライザーに繋げての試聴です。試聴曲はSTACEY KENT。聴くなり、!?何?この変貌ぶりは!?今まで聴いてきた音楽って一体何だったんだ?それ程凄い変化、なのです。

 まず、音量が増え、(ボリュームの位置は同じなのに!?)そして、今までローゼンクランツケーブルへ交換する度に感じてきたように、

 ―音楽が、
 ―堰を切ったように、
 ―溢れ出した、
 のです。

 まさに、「流れ出す」というのがローゼンクランツの真骨頂。これだけでも充分すぎるほど凄い。が、しかしです。まだやる事が残っています。

 次に、ムジカライザーを外し、SPアタッチメントと、SPジャンパーを試してみました。一聴、もう―、ものが違う!今まで流れ出したと感じていた音とは全然別世界。

 弾ける。

 ほとばしる。

 顔に浴びせかけるような音の粒子。

 まるで音楽のシャワー!

 これが上から下までローゼンクランツで揃えた効果なのか?とても、2ウェイのブックシェルフとは思えない。空気が畳み掛ける様。

 即座に、ムジカライザーの売却を決定しました。

 そして、こうなると、次回はナイアガラの番ですね。頑張って貯金するのが、本当に楽しみになりました。ありがとうございます。



 ----- Original Message -----
 From: Y. A
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Thursday, December 05, 2002 12:01 PM
 Subject: RE: ありがとうございました

 貝崎様

 東京と広島の掛け持ちは大変ですね。

 それと、昨日不思議な発見をしました。レゾナンスチップです。

 一度ご覧になったと思いますが、我が家のスピーカーは、スペースの関係上オーディオラックの上に設置してあります。

 そこで、オーディオラックの側面にレゾナンスチップクライオを張ってみたところ、!?まるで精気が無くなってしまいました。

 音が広がらなくなり、実にこじんまりしてしまったのです。慌てて剥がしてみると、元の通り、堰を切ったように音楽が流れ出します。何故でしょう?うまく音を逃がしていたのが、突然遮られたからでしょうか?



 ----- Original Message -----
 From: info@rosenkranz-jp.com
 To: Y.A
 Sent: Thursday, December 05, 2002 12:51 PM
 Subject: Re: ありがとうございました

 Y.A様

 ちょっとしたチョンボでケーブル製作に時間を要することになり、すみません。

 レゾナンスチップの件ですが、自由闊達に動いていたのに、手かせ足かせを付けさせられたような形になったのだろうと思います。自由なのと、野放図なのは大きな違いがあって、おそらくレゾナンスチップを付けて良くなったと感じる状態は、後者のコンディションにあった方ではないのでしょうか。

 Y.Aさんの場合は、スピーカーや他のオーディオコンポーネントがしっかりとしたインシュレーターによって、自分の動きたいように動ける状態になっていたものと思います。音楽振動に対して素直に動けていたから、かえって悪影響が出たのでしょう。すなわち、健康なのに薬を飲んで体調を崩したのと似ていませんか?。

 また、大方のケースでは良くなったと感じる方が多いですから、いかにステレオのコンディションが病んでいる状態にあるかと言う事ではないでしょうか。そう考えてみると、必要としている人達が多い限りは良い製品と言えるのかもしれません。実は、先般のムジカライザーもそうではないのかと思っています。

 ここが、オーディオの高い次元へとつながるターニングポイントだと思います。

 お客訪問(オーディオクリニックの旅)

 このページを参考にして頂くと、その件に関してのローゼンクランツの考え方をよくご理解頂けると思います。

 kaiser sound
 貝崎静雄



 先日C-1EXご購入頂き、感想のメールを頂きました。

 ----- Original Message -----
 From: Y.A
 To: kaisersound@rosenkranz-jp.com
 Sent: Thursday, March 25, 2004 2:38 PM
 Subject: ありがとうございました。


 貝崎様

 しかし、

 それにしても、

 このパッシブコントローラーの威力は、本当に凄いですね。

 以前使っていたアキュフェーズのC-275Vは、100万以下ではピカ一だと思ってましたが、どうしてどうして、こんなに音楽を生き生きと鳴らし込むプリなんて、初めて体験いたしました。


 しかも、

 昨年東京視聴室へお邪魔させていただいた時の音とも全然別物。その時の体験も、大変、素敵なものでしたが、音が、こんなに前へ来る感じはありませんでした。

 音楽が立っているのです。

 以前、菅野沖彦さんが、

 「正確に再現する事と、音楽的に良いという事は、全くの別物なのだ」と言う事を、講演で仰ってましたが、本当にその通りです。

 もっと詳しく述べさせて頂くと、譜面を正確に表現する事も大事なのですが、人間が演奏し、人間が聴くものですから、いかに聴いてる人を夢中にさせる事ができるか?

 と言う技術こそが、音楽が音楽として芸術たり得てる所以(ゆえん)なのである、

 と言う事も仰ってました。


 そして、

 オーディオとは、個人が芸術を所有できる最高の趣味なのだ、とも。

 私は、このパッシブコントローラーを、拙宅のシステムに組み込んだ時、まざまざと菅野沖彦さんの言葉を実感いたしました。

 まさしく、貝崎さんがお持ちの技術が、今まさに旬に入っているのだと断言できます。


 また、

 C-1EXのフェイスに漂う風雅な香りには思わずにんまりです。(私は、見てくれ派でもあるのです)

 高いお金を出して買うのです。眺めて、うっとりするものでないと、やはりいただけません。(余計な事ですが、HP上の写真は写真写りが悪過ぎますね)

 見目麗しき風貌と、音にも、圧倒的な存在感。

 幸せな一時を、また一つ手にする事が出来ました。

 今までは、機器の買い替えが激しかった私でありますが、恐らく、プリに関しては、もう悩まなくて済みそうです。

 何せ、これだけの音を出せるプリなんて、私の拙い経験を紐解いてみても、今まで一度も味わった事がありませんから。

 ですから、今回も、非常に良い買い物をさせて頂きました。

 本当に感謝させて頂きます。

 ありがとうございました。

 これからも宜しくお願いいたします。


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