トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅急激に「ローゼンクランツ」の虜に

急激に「ローゼンクランツ」の虜に



 PB-BIGX9、RK-PA01、「ナイアガラJr.」と、立て続けにローゼンクランツ製品を購入して下さり、それらを導入する度に新鮮なご感想を頂くので一度お伺いしたいと思っていました。部屋は6畳の洋間ですが、四方が薄い板張りなので反響処理が一般には難しい部屋です。

 スピーカーは一世を風靡したハーベスのHL-5。10センチ角ほどのウッドブロックの上にPB-BIGを置いてフロント1点の3点支持で聴いておられます。どう見ても床にスピーカーが近いので広がりや高さが出ていません。

 即ち、部屋の真ん中から上に当たる1/2の空気がほとんど動いていない状態です。


 ここから先は息子の出番です。

 さて、今日はどこから手を付けるのだろうと見ていたところ、

 『先ず左右のスピーカーを入れ替えてみましょう』。

 『そして、一旦その状態で音を聴いてみて頂けますか?』。

 「おおッ・・・、今日はオーソドックスだな!」。

 そう思ったのはつかの間・・・!、やってくれました。


 『それと、この引き出しの左右を入れ替えたら音が良くなりますよ!』。

 入り口の左側にあった本棚の引き出しの事です。

 これにはOさんもビックリした様子です。

 私が通訳をするように割って入り、

 「何事も結果です!、実際に音を聴いてみてから判断してみて下さい」。

 これで、拡がりが相当出ると同時に、音が前にも出て来るようになりました。

 彼の聴く音楽はクラシック、その中でもシンフォニーが多いみたいです。

 その点では、ハーベス/HL-5の選択は良いですね。

 [凄いですね!、一気に音が豊かになりましたですね!、

 これも方向性の見極めなのでしょうが、

 どの部分がどのように作用しているんですか?]。


 『厳密に言いますと、このウーハーのセンターキャップはこちら向きで、コーン紙はこちらです』。

 『そしてこのエッジは、フレーム側とコーン紙側にロールの真ん中から反対方向に向いております』。

 『また、ボイスコイルの向きは時計の1時方向で、

 金属のフレームはこっち向きなんです』。

 『もちろん箱の方向性も大きな要素です』。
 

 「最終的には、これらの力がベクトルとして最終的にどちらを向いているかという事になるんですね」。

 [へぇ〜、そんな事がすぐに分るんですか?]。

 『大した事じゃないですよ!、誰でもその気になれば分りますよ・・・』。

 
 『次はどうしようか?』。

 と、珍しく私に話し掛けてきます。

 「ウッドブロックとBIGの順番を調整するのが良いんじゃない?」。

 『ううん・・・、そうしようか!?』。

 『マジックをお貸し頂けますか?』。

 『あとで分るように、裏の方に矢印を書いておきますから・・・』。


 こうして一旦はあったままの状態で音作りをしましたが、

 何かの話のきっかけで純正のスピーカースタンドも有ると彼が言ったのです。

 何度かチャレンジしてはみたものの、良い音で鳴ってくれないので使っていなかったらしい。

 その言葉に息子が反応して、

 『ちょっとそれを見せてくれませんか?』。

 二人で一階に下り、数分でそれを持ってきました。

 
 『よし!、こうなったら徹底的にやろう』。

 急に息子にやる気が芽生えて来たようです。

 ははぁ〜ん・・・、これで何とかなると踏んだのでしょう。

 それまでの乗り気がしなかったのがここに来て判明しました。

 一番彼がやりたかったのは、スピーカーの高さを稼ぎたかったのです。

 板と脚をバラバラにして組み替え変え始めました。

 
 そして、そのスピーカースタンドの下に付いていた4つの金属性ポイントは使えないと判断したらしく、さっさと外してしまったのです。しかしそれを外してしまうと、柱を止める為のネジの頭が底に出っ張ったままですからそのままでは使えません。

 「さて、どうするのだろう?」と見ていますと、

 その下にウッドブロックを使ったのです。

 『ある物は何でも使わないと!』と言うのが彼の普段からの口癖です。

 その後の音については、Oさんからメールを頂きましたのでそちらをご覧下さい。



 ありがとうございました


 ----- Original Message -----
 From: "N.O"
 To: <info@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Sunday, January 11, 2004 10:58 PM
 Subject: ありがとうございました


 貝崎様

 先日は、わざわざ拙宅までおいでいただきありがとうございました。

 長時間熱心に調整いただき、投宿されたのが日をまたいでしまったのではのではないでしょうか?。

 心から、御礼申し上げます。

 特にご子息の、浄君にはすべての調整と、興味深いお話を伺い、

 その感性と技術力に感嘆した次第です。

 よろしくお伝えください。


 帰り際、浄くんはこう言い残しました。

  • 「戸は空けても、閉めても音は変わりません」。
    • (確かにそうでした。これで四季を通じていつでも楽しめるわけですね。)
  • 「カーテンは開けても閉めても変わりません」。
    • (これも、たしかにその通り。昼も夜も楽しんでます。)
  • 「ナイアガラJr.からサブシステムの電源をとってもメインシステムに影響はございません」。
    • (影響が無いどころか、逆に良くなったくらい。)
  • 「エアコンの音が気にならなくなります」。
    • (お蔭様で、寒い冬も快適、快適!音楽のエッセンスがちゃんと聴き取れます。)

 彼の話だと、決して尻尾を出さないように、遊びを持たせて音を作っているとのこと。

 おそらく、私の余裕の無い音の作り方に「もっと気楽に楽しめる方法があるのですよ」

 というメッセージを送ってくれたのだと理解しております。

 浄君の手により、私は、家庭と共存できるホームオーディオのあり方を教えてもらったわけです。


 しかし、彼はこうも言いました。

 「全部やったらつまらないから、やることは残してあります」。

 「ラックの締め付けトルクの具合と、アンプの位置とインシュレータの位置はご自分でおやりください!」。

 実に振るった言葉に、私は嬉しくなってしまいました。

 もちろん、それに対するヒントだけはさりげなく教えてくれたことは言うまでもありませんが・・・


 お二人が帰宅した後、実はもうひとつ驚いたことがありました。

 例のスピーカースタンドを取り上げられた、一階のスピーカーのことです。

 「これ無くなったら困りますよねえ?」。

 『メインの音が良くなるのなら、使ってください』。

 「じゃあ、そうします。ここに置いとけばほとんど同じ音で楽しめますよ!」
 
 といって無造作に(私にはそう見えました)二三秒でスピーカーのセッティングしてくれました。

 
 寝る前ちょっと気になったので聴いてみたところ、驚きました!。

 左右のバランスはもちろん、細かいニュアンスまで見事に再現してくれるのです。

 音楽性ということで言えば、このスピーカから発せられた最高のものでしょう!本当に驚きました。

 今回の訪問は、私にとって刺激のカタマリでした。

 再度御礼申し上げ、感謝の言葉とさせて頂きます。

 N.O


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