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軟な床暖房フローリング、サウンドステーションUを試聴したい(REQST/RQ-F7)

サウンドステーションUはカイザー試聴室で既に体験済み

歩くと揺れる軟弱な床暖房フローリングに悩まされ、ローゼンクランツのサウンドステーションUが解決してくれるのでは?とのメールを、T.Eさんから頂戴したのは、カイザー東京試聴室で設置しているのを目にし、実際に音も体験済みだった事が基にあったそうです。

このサウンドステーションUが商品化される直接の切欠となったのは、10年前に開設した東京試聴室の床暖房の軟弱な床に私自身が悩まされたからでした。それまでは施工型のサウンドフロアーという商品を持っていましたが、さすがに借家のマンションに施工する事は出来ないので、必要に迫られ窮余の策として、誕生したのがサウンドステーションUなのです。

カーペットの上でも、畳の部屋でも使えるし、引越し先でも使えるユーティリティー性の高さと商品自身の性能が相まって、今ではスピーカーの足場の切り札的役割を担っています。

今回は持ち込み試聴という形でT.Eさん宅へ伺いました。事前にメールにて写真も頂いていたので、システムの概要は掴んでいました。その中で私の関心を引いたのはREQSTのスピーカーRQ-F7でした。

箱がマホガニーの無垢材、サブバッフルにはハードメイプルを採用するといった手の込み様です。無垢材はひび割れや接合部の口開き等の危険を伴うので、音が良いのは分かっていても中々踏み切れるものではありません。私も過去にはハードメイプルの集成材で箱を作った事があるのでその難しさはよく知っています。そういう事からしても大いに興味を持ちました。

最初に聞かせて下さったのは、USBメモリーに取り込んだ女性ボーカルでした。単板木ならではの自然な響きが魅力です。セッティングに問題がある中での音にしては上々です。利益追求を露にした昨今のスピーカーからは、逆立ちしても出る音ではありません。「よくぞ頑張った!」と賛辞の言葉を送りたくなりました。


瞬間買いだったサウンドステーションU

一曲聴いただけでその素性の良さが分かりましたので、善は急げで、今日の本来の目的であるサウンドステーションUの試聴に入る事にします。写真を頂いた時から気になっていた、スタンドのスパイクの止める位置が極端に上げ過ぎていたので、その修正を施してから設置しました。スパイク受けには"小さな巨人"と言われているBABYを使用しました。

手際よく設置を終え、ラフな状態のままでとりあえず聴いて頂いたところ、T.Eさんの口から、いきなり『おぉ〜!』という驚きの声が発せられたのです。それぐらい衝撃的な変化だったのです。

そして、何の躊躇もなく、『これ頂きます!』の一言でした。

正に瞬間買いです。

一気に、音から音楽に変わった瞬間だったのでしょう。


予定外のクリニックに発展

今日はクリニックでお伺いしたのではありませんが、実際に試聴して頂くにも最低限のセッティングはしなくてはならないので、僅かだけ頂戴して出来るだけの事はさせて頂くようにしました。

一番最初に行ったのはラックの位置決めでした。これが決まらない事には、左右のスピーカとの振動の収れんする場所を特定出来ません。この考え方には競泳のコース決めを例に説明させて頂きました。タイムの速い選手に波の煽りを受け難い4コース、5コースが与えられます。即ちオーディオラックに収まる機器達が真ん中のコースに該当する訳です。

予選タイムの悪い選手は、プールの壁の煽り波をもろに受ける条件の悪い1コースと8コースになります。左右のスピーカーがそれに該当する事になります。だから側壁との振動の周期・収束ポイントを耳で見切らなければなりません。

それとセンターラックとの振動の折り合いもつけながら、最終的には辻褄合わせをしなければならないのです。尚且つ前後・左右の気流との辻褄合わせも必要になります。即ち、振動の時間軸と気流の時間軸の調整をしなくてはならないので、耳を鍛えないと判断がつかないかもしれません。


電源ケーブルの「加速度配線」

壁コンセントから電源タップまでのケーブルを含めると、合計6本の電源ケーブルがあります。この6本のケーブルの適材適所を見切って、それぞれのケーブルを総入れ換えを行うのです。

この処置後の音は一糸乱れぬ立ち上がりと、リズムやテンポに関する収束や美しい余韻が得られます。演奏にしても、アスリート達の演技にしても、その差が一流と二流の違いとなって現れます。超一流の磨き抜かれた術は、見る者聞く者の心まで奪うのです。

『うわッ!!』

この音の変貌ぶりにもT.Eさんは驚きの声を上げました。

『目の前でこの音を聞かされたら、カイザーサウンドの実力は誰もが認めざるを得ないですね!』。

「常識を超えた理論展開を矢継ぎ早に発表する、ローゼンクランツのウェブだけを見た人の多くは、信じるどころか引いてしまう人の方が多いでしょうね」。

「だから、手間隙掛かっても、今日のように1軒1件根気良く実戦あるのみなんです」。

知識の量(丸暗記)が勉強だと勘違いしている、偏差値教育どっぷりの人達にとっては止むを得ないと思います。本末転倒である勉強の為に勉強をして得た知識は、知恵とは違って、殆どが役立たずで終わってしまいます。

本当の学問は自分の中から知りたいというエネルギーが湧いて来て、その解明に向って努力する事にあります。従って外部から与えられたテーマに取り組んでいる間はまだまだ半人前だと思います。


この世に同じ物など存在しない

作る側・売る側は「同じ型式の製品は同じ性能です」という考えの下でビジネスをします。だけど、厳密に言うと、この世に同じ物など存在しないのです。逆の言い方をすると、製造者は同じ物を作りたいと思って作りますが、ミクロレベルで見れば決して同じ物を作る事など不可能なのです。

だからモノ作りの現場では公差の幅が設けられているのです。100cmの±3%という公差であれば、97cm〜103cmまでが良品として許されるという意味です。私の場合はこの差の中で、どれを何処にどの順番に配してやれば、ステレオというチームが旨くまとまり、良い結果に繋がるかという考えに則っているのです。


加速度技術はカイザーサウンドのオリジナル

これらを、「加速度組み立て」、「加速度配線」、「加速度設置」という呼び方をしています。要するに最高難易度の仕事を常に心掛けているとも言います。だから、オーディオセッティングに関して、私が後塵を拝するという事は九分九厘ありません。

続いて、機器の側板に宛がい、その不要振動を吸収するという触れ込みのマッチ箱ほどのレゾナンス・ピットという焼き物についてですが、これの適材適所を見切り、加速度設置後の音を聴いて頂こうと思います。

予備も含めて24個ある中から8個の精鋭を選びます。右側の写真が分類した物です。更にその中からコンバーターやアンプ等とマッチングの良い物を響きの方向性等をチェックした上で適材配置します。

ラックの機材に加速度設置によりレゾナンス・ピットを再設置した写真です。DAコンバーターだけ棚板との折り合いが良くなかったので、機器が凪状態となる位置まで後ろに移動しました。左の写真の位置から右の写真の位置まで動かしました。一気に音の滲みが取れたのをT.Eさんは聞き逃しませんでした。

最後に先の音作りの参考にして頂きたいと思って、発売間近のデジタルケーブルを1本だけ試聴して頂きました。今日のクリニック及びセッティングはここまでですが、本日一番印象に残ったのはスピーカーの完成度の高さでした。生楽器のリアリティーがどこまでも向上し、未だ伸びしろがあるのが頼もしいです。


ご機嫌な音楽を聴いております

From: "T.E"
Sent: Monday, October 24, 2011 14:06 PM
To: <info@rosenkranz-jp.com>
Subject: ご機嫌な音楽を聴いております

T.Eです。

ごきげんな音楽を聴いております。
襖1枚隔てたところで鳴っていたものが、
まさに 、目の前で演奏しているかのようです。

これまで決して悪い音とは思っていなかったのですが、
最後の追い込みが出来ずにおりました。
床暖房による軟弱な床のせいで、
機器が大地に根を張っていなかったのですね。

サウンドステーションとインシュレーターの効果で、
やっと理想の音が自宅で聴ける ようになりました。


左右のスピーカーの音の出方の違いも、
自分自身気づかずにいたのですが、

言わずにはいられない(?)貝崎さんの嬉しいアドバイスで、
ウーハーの入れ替えとネジトルクの調整などで、
さらに5割増しの音となりました。

何のストレスもなく、
音が素直に出て来ている心地良さは、
何物にも代え難いですね。

有難う御座いました。

From: <info@rosenkranz-jp.com>
Sent: Monday, October 24, 2011 23:56 PM
To: "T.E"
Subject: Re: ご機嫌な音楽を聴いております

T.E様

お世話になります。
その後の音のご報告及び、
振込みのご報告有難う御座います。

音についてですが、喜んで頂けて、
私もステレオ屋冥利に尽きます。
この瞬間が、ステレオ屋をしていて一番嬉しい時です。

私も職業柄色々なスピーカーに出会いますが、
正面から勝負してみたい!
と思えるスピーカーに出会える事は、
そうそう有るものではありません。

まだ、私の腕の1/5程の力しか、
T.Eさんところのシステムでは出していません。
次なる音を聴いてみたい衝動に駆られる音を、
奏で始めた事は確かだと思います。
だから、T.Eさんが何物にも代え難いと仰ったのでしょう。

又、聴かせて下さい。

カイザーサウンド
貝崎静雄

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